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オズ  作者: 紗パカルギ
32/72

第三十話 係員になりたいです

少し時が経過しました。

奥橋真16才。只今絶賛学園ライフ満喫中です!!


不運にも実技中心クラスとなってしまいましたがそこから早一か月が過ぎ、なんの苦労もなく学園に溶け込めています!!


もう季節は秋。十月に突入しました。

読書の秋、食欲の秋、スポーツの秋…私はやっぱり食欲の秋かなぁ…

甘栗を口いっぱいに頬張って食べたい…あ、いかん、涎が。


「真、何にする?」

「うん?何の話かな?」

今日もいつも通り、省略しすぎた言葉を投げかけてきたのは可愛い私のルームメイトの恋だった。


「私はオズ戦の治療係担当なの」

「あ、ちょ、話を進めないで!お願いだから何の話か教えて?」

「学園祭の話だよ!今月の!!」

恋は少し興奮気味にそう言って目をキラキラと輝かせている。

「あー…そんなのあったねー…」




学園祭。オズ学園高等部で行われる秋のイベント行事。

出店や自由発表など内容は普通の高校と変わらないらしい。しかし、一つだけこの学園でしか行われないものがある。それが『オズ戦』というその名の通り生徒同士で各々のオズで戦い、誰が一番強いかを決めるというイベントである。ネーミングセンスはどうかと思うがこのオズ戦は学園祭の一大イベントらしい。勿論ほかのイベントも見どころ満載だそうだが。


参加者の条件はオズ学園高等部学年の一年から三年生なら誰でもエントリーでき、受付は当日のオズ戦が始まる直前まで受け付けるという。太っ腹だね!!

学園祭は二日間にかけてあり、一日目のオズ戦で勝った者は二日目のオズ戦に出場できる。

優勝者にはポイント100000000pらしい。私にはそんなにすごい事なのかいまいちわからない。

恋曰く優勝したら『キング』は確定する程のポイントとのこと。


まぁ、私には関係ないけどね!とか思ってたら今までの経験上巻き込まれるので一応警戒はしておこう。


「で、真は何するの?」

「何をすると言われても…」

「まだ決まってないなら、一緒にオズ戦の係員にならない?」

「オズ戦の係員?」

「私は治療学科なのもあって治療係を頼まれたんだけど、他にも係員が人数足りなくて…必要で…だから、もし良かったらどうかなって」

「やります」

「ほ、本当!?」

「はい、是非とも!!」


私がオズ戦にないとは思うけどもしも参加させられるようなことはなんとしても避けたい。だからこそあらかじめオズ戦の係員となっておけば大丈夫なのではないか?と考えたのだ。


また銀城先生あたりが私を巻き込みそうで怖いからね…自分の身は自分で守らなくては!!


「ふふっ!真も一緒に係員!!」

恋はさっきよりもより興奮気味にそう言って真に抱き着く。


何、この可愛い生き物…癒されるなぁ…

そんなことを思いながら真は恋の頭を撫でる。


最近、恋は他の生徒達とも少しずつだが会話ができるようになってきた。最初は人見知りが激しすぎて真の後ろに隠れているばかりだったが今では普通に皆とあいさつもできるようになった。


成長したなぁ…なんか我が子のような感覚だ…


「真?」

「ん?どうかした?」

「学園祭の二日目の最後にダンスパーティーがあるって知ってる?」

「だんすぱーてぃー?」

「だから、一緒、踊ろう?」

「だから…?う、うん。私でいいなら。でも、私ダンスなんて踊ったことないy」

「いいの。ノリで踊れるから」

「そ、そんなもんかな?」

「そんなもんだよ。とにかく、約束ね!!」

「わかった」

もう、すでにオズ戦の係員の募集は始まっているらしく今すぐにでも言いに行こうと恋に言われてので昼休みに行くことにした。


オズ戦の係員は生徒会が主に仕切っているので係員になりたい人は生徒会室に行き自分の口でやりたいと言わなければいけないのが暗黙の了解らしい。

真は恋に生徒会室まで案内してもらい、一緒について来てくれるのかと思っていたら恋曰く「一人で言いに入る」のがこれまた暗黙の了解らしい。


随分と面倒くさい決まり事ですね。



生徒会室の入口は真っ赤な扉でいかにも高級感漂う金のドアノブがついている。なのに、その扉に似つかわしくない白い紙の上に筆で書きなぐるように書かれた『生徒会室!!』という文字がバン!とあった。


「…いくか」

真は恐る恐るコンコンとノックをする。

そしてドアノブに手を掛けようとしたらすぐに向こうから扉が開いた。


「はいはーい!!どなたどなたー??」

というすごく小さな子供のような声と共に身長120センチ程の女の子が出てきた。

瞳がピンク色で髪は同じ色でおかっぱ。とても色白で少し小首を傾げながら真を見上げる大きな瞳はとても可愛らしい。まるで座敷童のようだ。


「どうしたのかな?」

その幼女はその容姿に似合わないしっかりとした態度で真にそう問いかけてきた。

なので真は慌てて要件を伝えた。すると幼女はパァッと顔を輝かせてバタン!と扉を閉めてしまった。


「…えっと、どうしよう」

扉の前で真はそう呟く。まさかこれは「お前じゃ務まんねぇよ」という意味で…??


と不安になった時、再び扉が開き先ほどの幼女が真の腕を掴んでグイッと引っ張り込み生徒会室の中に入れた。


「会長会長!!この子この子!!」

そう言って幼女は真の腕を掴んだまま前方に向かってそう話しかける。

真もつられるようにして幼女が見ている方向に顔を向けた。



そこには一人の男子生徒が高価なイスに足を組んで座っていた。

「へぇ…その子が?」

会長と呼ばれたその人はそう言ってイスから立ち上がる。

そして真の目の前まで歩いてくるとすぐさま真の手をとり手の甲に軽くキスをした。


真はあまりにも急な展開に追いつけていなかったが会長と呼ばれた男の人はどうやらこのような行動は手馴れているのだなと理解する。


「君、名前は?」

「実技中心クラス、防御学科一年、奥橋真です」

「そうか。俺はオズ学園高等部生徒会長の真城麗矢ましろ れいや。よろしく。真ちゃん」


そう言って真城会長は真にニッコリと微笑んだ。

真城会長は瞳が金色で髪は真っ黒。まっすぐに見つめてくる瞳はまるで獲物を見ているかのような威圧感があり、とても力強い。でもほほ笑むと一気に優しい雰囲気に変わった。

一言で言うと強そう。という人だった。


誰が見てもカリスマ性があると空気でわからせてしまう程の存在感を持っている真城会長を真はただポカンと見つめていると真城会長はクスリと笑った。


「真ちゃん、可愛いね。どう?俺とこの後お茶でもしない?」

「へ?い、いや、あの」

「会長、真ちゃん困ってるよ!」

そう言って真と真城会長の間に割って入ってきたのはあの可愛らしい幼女だった。

「あぁ、ごめんごめん。あんまりにも真ちゃんが可愛らしい瞳で見つめてくるものだからつい」

「まったく!あ、ごめん、自己紹介がまだだったね!!私は会計委員の花守はなもり 千幸ちさだよ!!チー先輩って読んでね!!」

そう言ってチー先輩はパチリとウインクをした。


「あ、じゃあ俺のことは麗矢先輩って呼んでよ」

真城会ty…麗矢先輩はキラキラとした瞳でそう言ってきた。

「あ、はい。わかりました。チー先輩に麗矢先輩ですね」

「「!!」」


何故か言われた通りに言っただけなのに二人から感極まったような眼差しで見られた。

「あの…何か問題がありましたか?」

「う、ううん!!全然!!むしろ嬉しすぎてっ…初めて『え?この人先輩?』って表情もせずにすんなりと『チー先輩』って呼ばれたから…」

「会長と呼ばずに麗矢先輩と最初から言ってくれたのは真ちゃんが初めてだよっ…」


そう言って二人とも同じように顔をふせて震えていた。

そんなに嬉しかったんだ…泣くほど嬉しかったんだ!!

ってなんか話が進まない。


「あの、麗矢先輩、私、オズ戦の係員になりたくて…」

真は本題を切り出した。

「あぁ、そうだったね。勿論大歓迎だよ!真ちゃんみたいに良い子が手伝ってくれるなんて嬉しいな」

そう言って麗矢先輩は真の手を自分の両手で優しく包み込んだ。

「つまり、オズ戦の係員になってもいいってことですか?」

「そうだよ」

「ありがとうございます」

よし。とりあえずはオズ戦に参加する可能性が一気に低くなった!!


「そんなに喜んでくれるなんて…俺は嬉しいよ」

違う意味で喜んでいるなどとは思ってもいない麗矢先輩は真の手を離す気配がない。

「…あの、麗矢先輩、手g」

「やっぱり俺は真ちゃんともっと話がしたいな。よし、放課後に生徒会室でお茶をしよう!!」

「お茶会はしないけどオズ戦の係員の説明をするから放課後また来てね!!」

麗矢先輩の言葉をかき消すかのようにチー先輩がそう言って真の手を麗矢先輩の手から引きはがしてくれた。


真は二人に見送られて生徒会室を出る。

バタンと扉を閉めてから真はこれから先が少し不安になる気持ちがするのを自覚した。

ここまで読んでくれてありがとうございました!!

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