移動
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翌日、高校に行くと簡単に真がオズであることが説明されて短い別れの言葉を告げると本当にすぐにオズ学園へ行くこととなった。
最後真は美夏の方を見た。すると美夏はいつもの笑顔で口だけ動かした。
『いってらっしゃい』
確かにそう言っていた。真は美夏に小さくうなずいて教室から出る。
昨日嫌という程美夏と話したせいなのか、真はなんの後悔もなく今は前を向いて進めるような気がした。
真はそっと心の中で呟いた。
『行ってきます』
今、美夏にテレパシーを使ってみたのだがうまくいったのかどうかはわからない。
でも、いいや。二十歳になればまた会える。
こうして随分と落ち着いた気持ちで真はオズ学園へと転校することとなった。
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真の高校で発覚したオズの生徒は真を含めてたったの二人。
だが、全国でオズの捜索は行われているので全国各地で発覚したオズを合わせると、なんと百人弱いるそうだ。この情報は中丸先生が教えてくれた。
「意外と多いんですね…」
真は小さな声でそう呟く。
「いや、全国でたったの百人弱ってのは結構少ないぞ?」
「そうなんですか?」
「オズ学園の生徒数知ってるか?」
「いや、知りません」
「一万人」
「…そうですか」
「なんか反応薄いな」
「いえ、その、なんというか中丸先生」
「どうした?」
「今、どういう状況ですか?」
「どういう状況と言われても、学園に移動中としか言えないんだが…」
中丸先生は平然とそう言って困ったように首を傾げる。
「ですよねぇ、あはは…」
今の時刻は約午前十時、天気は晴天。気温も暖かく風は心地よく感じる程度に吹いている。
真は風を肌に感じながら先ほどから考えることを止めていた頭を動かし始めた。
たった今、真は中丸先生と少しの会話を交わしていたのだがその間目の前に映っていたのは広い広い海の青色だけだった。
しかも船ではなくなんかよくわからない大きな絨毯の上に計十数名が座っていてなぜかその絨毯はフヨフヨと少し上下に揺れつつどこかに進んでいる。
真は真下を見てみた。結構な高さがある。
うわぁ、絵本でしか見たことのない魔法の絨毯だぁ!と素直に喜んで楽しめたらよかったのだが、いくらオズにいろんな能力があると知っていても真は今の今までオズではない人として生きてきたのに突然こうもオズを見せつけられると戸惑ってしまう。
いや、怖くはないんだよ?でもなんかもっと効率のいい移動の仕方があるんじゃないかなぁって思っただけで…
「なぁ、中丸先生!テレポートすれば一発じゃないですか?」
そう元気よく質問したのはキラキラ笑顔が眩しい新崎霧だった。
よくぞ私の言葉を代弁してくれました!新崎君!!
真は内心で新崎に拍手を送った。
すると中丸先生はだるそうに口を開いて答える。
「俺もそれができるならとっくにやっている。ただ、この海域はできない」
「なんで?」
「オズ学園の半径十キロ圏内の海域では限られたオズしか使えないように結界が張られてるってこの前言わなかったか?霧」
「そうだっけ?」
「言いましたよ」
新崎に言葉を返したのは腹黒天使(真が勝手に読んでいる)こと若宮光だった。
「言ったっけ?」
「言いました」
「いつ?」
「一週間前に一度」
「…まじd」
「マジです」
若宮と新崎はそんなやりとりを繰り返していた。
真はそんな二人をただただ見守っているようなかたちになったので周りを見渡してみる。
今乗っている大きな絨毯は結構な広さなので皆余裕を持って各自自由に座っているのだが、中には思いっきり寝っ転がって爆睡している者もいた。
爆睡しているのはやはりと言ったら失礼かもしれないが真のクラスにいた海藤拓斗である。
うつ伏せ状態でまるで死体のようだった。※寝ているだけです。
寝ることが好きなんだろうな…と真は海藤を見ながら思う。
ボーっとしている真は完全に気が抜けていた。そんな時、
「奥橋、真っ」
「!?」
突然後ろから可愛らしいが少し怒っているような声が聞こえてきた。
振り向くとそこには真の顔のすごく近距離まで近寄ってきているエメラルドグリーンの瞳が真の瞳を覗き込んでいた。
「っ!?」
真は思わず少し距離をとった。
「奥橋真、ですわね?」
そう言って真を睨みつけているのはオズ学園生徒の一人、宮崎愛奈だった。
明るめのオレンジ色の髪でツインテール、肌は透き通るようにきめ細かでとても白い。
一言で言うと美少女だ。
宮崎はとても顔が小さく瞳は大きくクリッとしているが少しツリ目で気の強そうな感じがする。
「聞いているの?」
「は、はい!?」
「あなた、奥橋真って言っていましたわよね?」
「はい」
何故か敬語になってしまっているが宮崎は構わずに話しかけてくる。
「私の名前は勿論知っているわよね?」
「えと、宮崎愛奈さん…」
「よろしい。じゃあ私のことは『愛奈』とお呼びになって、私はあなたのことを『真』と呼びますわ」
「……りょ、了解です」
睨まれていたのに頬を赤らめて目をそらしながらそんなことを言う人には初めて会ったので真は返答に少し戸惑ってしまった。
すると、愛奈はパッと目が輝いたかと思ったのも束の間、ふんっとそっぽを向いてしまう。
「これからは遠慮なんてせずに頼ってきても特別に許可しますわ」
「…はぁ」
「ま、まぁ、なっ仲良くしてやってもいいですわよ!?」
「えっと…」
「と、とも、お友達とやらにも特別になってさしあげてもよろしくてよ?」
「…」
そっぽを向いているが顔を真っ赤に染めた愛奈はそう言ってチラチラとこっちを見ている。
何この可愛い生き物…生まれて初めて会いました。
「つまり、『これからわからない事があったら何でも聞いてね!私は真ちゃんと仲良くなりたい。お友達になりたいな』って言ってるんです。愛奈は」
「こ、琴音!」
愛奈の言葉をよりわかりやすく説明してくれたのは真っ赤な髪に真っ赤な瞳の優しそうな笑みを浮かべたこちらも美少女の白木琴音だった。
「改めて自己紹介をするね。私は白木琴音。私も奥橋さんのこと『真』って呼びたいな。私の事は『琴音』って呼んでほしい。愛奈はこんな感じで少し不器用だけどあなたと仲良くなりたいだけなんだ。勿論私も」
そう言って少し照れくさそうに琴音は微笑む。
め、女神、今私の目の前に女神様がいらっしゃる…!!!
真は美少女二人に見つめられて女のくせにドキドキしてしまう程照れた。
「こ、こちらこそ、わからない事とか遠慮なくバンバン聞きますけど、よろしく!勿論、二人と友達になりたいです!てか、是非友達になってください」
「ほ、本当?」
愛奈は少し涙目で真を見つめてそんなことを言う。
「本当に」
真も愛奈の目を見つめ返しながら頷いた。
すると本当にうれしそうな顔で愛奈は真に微笑んだ。
ま、眩しすぎるっ!!
「やった!よろしくね、真!」
琴音もニッコリとほほ笑んでそう言うので真は目を開けられない程の輝きを浴びたのだった。
「よし、仲良くなったところでもうすぐ学園に着くぞ~」
中丸先生がタイミングを見計らったかのようにそう呼びかけた。
真は前方をふと見る。
そこには大きな大きなお城のような建物があった。
「お、おぉ、すごい迫力…」
中丸先生は大きなあくびを一つした後、真に向かって微笑みながら口を開く。
「ようこそ、オズ学園へ」
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