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オズ  作者: 紗パカルギ
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第十話 疑惑

※中丸先生視点です。

昨日は検査をした。勿論、オズかどうか判断するためのだ。

必ず一人はあぶり出せるとは思っていた。

予想通り一人がオズであることが発覚した。

二年一組十五番

九十九つくも 優輝ゆうき。男子サッカー部で一年の時からレギュラー入りしており今はキャプテン候補となっている。

成績は学年で二桁になったことがない。勿論、三桁もだが。

成績優秀スポーツ万能か…しかも、顔も整っており、全学年の女子から絶大な人気を得ている。


こりゃまた完璧人間なやつが来やがったな。


中丸は資料を見ながら溜め息をつく。


「中丸、いつもよりだるそうな顔してどうしたの?」

「別に、昨日オズと発覚した生徒の情報を見てただけだが」


「相変わらず冷たいのね~?ま、そんなところもス・テ・キ!」


そう言って中丸に抱きついてきたのは同じオズ学園の教師であるステラ・ウォーカーだった。彼女は金髪碧眼の美女(自称)である。

まぁ、確かに整った顔立ちでスタイルもダイナマイトボディ(自称)だが、中丸は興味なしつまり眼中には入らない女性の一人だ。


「ステラ。暑い」

「…あ~ぁ、こんないい女に抱きつかれてその反応だなんて、可愛くないわよ?中丸先生?」

「本音を言ったまでだが?」


ステラは中丸の頭をベシリと叩いた。が、未だに抱きついたままだ。


「ステラ。もう一度言うぞ、暑い」

そう言うと同時に中丸はステラを無理矢理自分から引き剥がした。


「何よ~!あのお気に入りの生徒には優しいくせにっ!」


「お気に入りの生徒?誰のことだ」

「とぼけたって無駄なんだから!一年の奥橋真って子のことよっ!」


ステラは中丸を指差しながらそう吐き捨てる。

「奥橋さんか?あの子は今回俺達のオズ探しを手伝ってくれているだけだ」

「じゃあ、どうして昨日の頭なでなでの時あんなに優しい眼差しだったのよ!」

「頭なでなで…あぁ、記憶の読み取りの時のことか?…他の生徒と何も変わりない接し方のつもりだったが?」

「嘘よ!なんかしゃべってたじゃない!」

「挨拶しただけだが」

「なんでその子にだけ挨拶するのよ!」

「なんでって、だから今回俺達の仕事であるオズ探しを」

「手伝ってくれているだけの子でしょ!!」

「…何をそんなにヒステリックになっているんだよ…」


中丸はステラの勢いに若干引き気味だった。

するとステラはまるで拗ねた子どものように頬を膨らませてもういい!とどこかへ駆けていった。


訳が分からん。


中丸は同僚の子どもっぽさに呆れて溜め息をついた。


だが、ステラの言うお気に入りとは違うが奥橋真には少し不思議な点はあった。

昨日の検査の時、体調が優れないのか顔が青白くなっており目の下にクマが少し目立っていた。


一応寝不足か聞いたが奥橋は笑顔で大丈夫と言っていたのでそれ以上何も言わなかった。

この時中丸はもしかしたら、奥橋はオズ学園の生徒達に恐怖を抱いているのではないかという不安があった。中丸が記憶の読み取りを始めると奥橋は体をピシリと固めさらに顔色が悪化した。


やはり、オズに恐怖症がある子か?



オズではない人間がオズである人間を恐れることは当たり前と言っていいほどよくあることだ。


オズ恐怖症という病名まであるほど有名である。


初めて奥橋と対面した時はただ緊張しているのだろうと思っていたが、昨日の検査の時は中丸の顔を見た途端に顔色が真っ青になった。


見間違いではない。

そして記憶の読み取りの時の怯え方がもう結論を出していた。


中丸はそのことがわかっていても少し悲しかった。

奥橋はなかなか普通にオズの生徒達と会話をしていた。だが、やはりオズに対しての恐怖はないわけではなかったようだ。



仕方ない。この子は普通の人間なのだから。とりあえず安心させるために気休めだが言葉をかけると奥橋は小さく「すみません」と呟いていた。



奥橋の記憶を見た。



すると始まりが五歳の時からだった。

おかしい。普通は生まれた時から始まるはずだ。これは誰でも一緒のことだった。




五歳から今までの記憶はすべて読み取ることができた。どうやら彼女は養子として奥橋家にきたようだが、それより前、つまり五歳より前の記憶がわからない。




とりあえず、後日詳しく聞くということにした。

が、奥橋にはまだ言っていない。




記憶を読み取った後にすぐ言えばよかったのだが、彼女の安堵した表情を見た時ふと何か違和感を感じた。


まるでオズに怯えていりというよりも何かがバレなかったことに安心しているような顔に見えた。


そういえば俺が挨拶をしたときやたら手を見て何かを確認していたな。



中丸は自分の手を見つめる。


「…あの指輪か?」もし、彼女が俺に自分の内心が見られることがないかを確認していたとしたら…?



だとしたら顔が真っ青になり怯えていたのは自分がオズだとバレないか不安だったため…いや、考えすぎか…



中丸は頭を掻きながら考える。



もし、奥橋真がオズだとしても…あのブレスレットは何故光らなかったってことになるな…




考えれば考える程中丸の頭の中では奥橋真の存在感が強まるばかりだった。





「中丸先生!何やってんすか?」


その声で自分が考えに没頭していたことに気づいた。

「霧、お前が何してんだ?ここ職員室だぞ?」


オズ学園の生徒の一人である新崎霧はキョトンとした顔で中丸を見つめる。


「霧?」

「中丸先生…今日の昼休みミーティングするって言ったじゃんか!オズ学園の関係者たちだけで」

「あ、あぁ、そうだった」

「忘れてたのかよ!?」

「いや、違う」

「違わないだろ!?」


そういえばそんなことするって言ってたっけな~俺。


「皆待ってるから早く行こーぜ」

「霧、奥橋真って生徒知ってるか?」

「は?そりゃ知ってるけど…」

「どう思う?」


霧は少し目を見開いて中丸から目をそらす。


「中丸先生…生徒に手を出すのは」

「違う。奥橋真の様子は普通か?」

「?…まぁ、まだ3日間しか見たことない子だけど多分普通」

「多分?」

「初めて会った時、奥橋からなんの匂いもしなかった。つまり、そういう人物は人間としての能力がない(つまり影が薄い)か強大なオズの持ち主かなんだけど…」

「そうか…わかった。参考にする」

「中丸先生、奥橋のこと」

「さぁ?ほら、ミーティングするぞ。校長室でだったよな?」

「あぁ」

霧は何か言いたげだったが黙って校長室へ向かった。




中丸は霧に続いて校長室へと歩き出した。

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