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 Side:橘八重



 警視庁で色々と担当の人に話されたが、やっぱり俺が警察を信用する事はこの先永遠に無い。

 そう断言できる内容だった。

 簡単に言うと、賠償をたっぷりとっておいたから、これ以上警察の立場が悪くなる事を言うな。


 長々と下らない話をされたが、要約すると結局はこういう事だったので、俺は受け取りを拒否して帰ってきた。

 金の問題じゃなく、納得が出来なかったからだ。

 というより、これで金を受け取ったら、俺はこの件に関して発言出来なくなる。

 なので金は一銭も受け取っていない。


 更には七尾さんに言われて、SCSの専用機器で録画をしていた。

 どうもカメラやノートパソコンが無くても、現在の俺の視覚と聴覚の情報を送る事は可能ならしい。

 ただし機器が無ければ意味が無いうえに、記録に残せないので無価値な機能だ。

 普通なら。


 「しっかし、それにしても酷いわねえ。まさかお金を渡すから黙ってろ。

 こんな事を警察が平然と言ってくるとは………工作員なんて関係なく腐ってるじゃない。

 私がここで中継して配信している事も知らずにペラペラ言うんだもの。笑っちゃうわ」


 そう。俺は七尾さんに言われるまで知らなかったが、別に俺自身が配信するのでなければカメラを持つ必要が無いんだ。

 ついでにノートパソコンも必要ない。


 中継する人が持っていてくれれば、それでいいというだけだ。

 ただし解像度が低く、あまり良い映像は撮れない。


 とはいえそれで十分だし、しっかりとした証拠になる。

 担当者の顔もばっちり映ってるし、掲示板ではもう祭りになっているらしい。


 「どこまでも組織防衛が下手なのは、日本の役所のお約束なのかしら?

 大企業も下手だけど省庁も下手とか、もう救い様が無いわね。

 あれで上手く丸め込めると思っているなら、幾らなんでも頭が悪すぎるでしょう」


 「ところで今、七尾さんの顔が出てるけど良いんですか?

 またぞろバカな人が下らない事を書き込みそうですけど」


 「魔王様に多少なりとも目を掛けてもらってるからね、それで十分よ。

 バカが百万回下らない事を書きこんでも意味は無いわ。

 魔王様に多少でも目を掛けてもらっている。それだけで勝ち組よ?」


 「まあ、それはそうですね。じゃあ、そろそろ買い物に行きましょうか?

 家電量販店に行かなきゃいけませんし、向こうで色々「その必要は無い」と購入しな」


 突然被せて乱入してきた声はエルトアリアさんだ。

 他にもエギルターサさんとグラドウェムさんもいる。


 「せっかくなのでな、第一位魔製貴族の者と我らで新しいカメラシステムを開発しておいた。

 簡単に出来たのは、90%が虚界の素材で出来ているからだな。

 コレだが」


 そう言ってエルトアリアさんがポケットから取り出したのは、緑色に光る水晶だった。

 ………ナニコレ?


 「疑問しか無いような顔をしておるが、コレはそのまま<撮影水晶>と名付けた物だ。

 コレの素晴らしい所は、我ら悪魔でも感覚的に撮影が可能というところだな。

 身につけておけば、己とリンクして撮影が可能となる。

 ただし人間はSCS専用機器とナノマシンが必要だが」


 「つまり異界探索者であれば使用可能という事です。

 そして中継させれば良いので、ノートパソコン等との連動も可能。

 つまり配信も簡単にできますね。

 ただし現在試作中の配信書き込みとの連動は出来ません。

 そちらはまだ試作中ですから、組み込むわけにはいきませんし」


 「試作中の物など、危なくて組み込む事など出来ん。

 なのでそれは無しだが、現行ではなんの問題もあるまい。

 それで、あそこにあるのがバカの巣窟か?

 死ななければ分からん者は全て死ねばよい」


 ダダダダダダダダダ!!


 エルトアリアさんが警視庁の建物に向き、手を上げたその時、猛烈な勢いで多くの人達が出て来た。

 というか、俺の担当をしていた3人がボコられてる? なんか顔面が腫れ上がってるぞ。


 「申し訳ございません!!

 この愚か者どもが、命じていた事と全く違う事を勝手にやっておりまして、その所為で彼に不快な思いをまたさせてしまいました!

 本当に申し訳ございません!!!」


 なんか土下座謝罪してるけど、あの年の取り方からするに凄く上の人の気がするぞ?

 もしかしてトップの警視総監だろうか?


 「ほう。

 …………なるほど、クソガキに何故我々が気を使わなければならんのか? そのように考えていたとはな。

 随分と我々を含めて舐め腐ってくれておるではないか」


 「契約者を舐めるという事は、主様を舐めるのと同じ事なのですがね?

 ああ、謝罪は結構。舐められたという事実だけが全てですので」


 「で、どうしますー?

 たかが人間という下等生物に舐められたわけですしー、ここはしっかりとしておきませんとねえ。

 またぞろゴミが調子に乗る」


 「「「「「「「「「「「ヒッ!?」」」」」」」」」」


 あ、完全にマジギレしてる。

 グラドウェムさんって、かなりシャレにならない圧を出す人だったんだな。

 普段は温和だけど、キレるとシャレにならないタイプか。

 そっちはエギルターサさんかと思ったが、そうじゃないようだ。


 「さて、そこのゴミどもにはコレを使うか」


 そう言ってエルトアリアさんが取り出したのは、3つの紫色の水晶だった。

 あれは撮影用じゃないよな?


 「アレは邪魂縛鎖結晶です。

 対象の表面を結晶化して閉じ込め、地獄を味合わせ続けるという置物にする物。

 自動拷問用の道具ですね」


 「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」


 警視庁の人達の顔が引き攣ってるけど、エルトアリアさんが出したという事は、つまり確実にやるという事だ。

 もう止められないし、俺はそもそも止める気も無い。

 散々契約者を愚弄するとエルトアリアさんを愚弄する事になると言われてたんだ。

 それでもやった連中が悪い。


 「ではさらばだゴミども。寿命がくるその時まで苦しみ続けるがいい」


 「「「!?」」」


 三つの結晶をエルトアリアさんが放ると、その瞬間、三つの結晶が担当の男達の胸へと吸い込まれていく。

 そして胸の中に沈むと、途端に体の表面が紫色の結晶となり固まった。

 まるで紫色のオブジェみたいになってるけど、これが邪魂縛鎖結晶か。


 「これで終わり………ですか?」


 「そうだ。

 我らには感じ取れておるが、既にこの者どもは地獄の責め苦に悲鳴を上げ続けておる。

 特に怠惰の連中であれば悲鳴を美味だとして喰らうであろうよ。

 せっかくだから警視庁とやらの前に飾ってやろう。

 次にこの末路を味わいたいヤツの為にな」


 「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」


 誰もこんな置物になる末路なんて嫌だろう。

 仮に痛みや苦しみが分からなくても、死ぬまで水晶人間みたいな姿のまま居続ける事になるんだ。

 それだけで十二分に地獄すぎる。


 エルトアリアさん達は、わざわざポーズを付ける形で警視庁の前に飾った。

 三体の紫水晶のマネキンみたいな扱いだ。

 とはいえ誰かが蹴ったりして壊しそうだけど、そこは大丈夫だろうか?


 「それはむしろ大いにやってもらいたいな。

 この邪魂縛鎖結晶に囚われている者を破壊して壊す事は可能だ、そこまで難しい事ではない。

 しかしそれをすれば、やった者は同じように邪魂縛鎖結晶になる」


 「そもそもですが、コレは呪いに近いものなのです。

 なので破壊されれば破壊した者に呪いが移るという事ですね。

 愚か者が炙り出されますので、ぜひやって頂きたいものです。

 そしてマヌケな姿を晒して下さい」


 「人間ですからね、マヌケは必ずやろうとするでしょう、好奇心が抑えられず。

 実に面白い結果になると思いますよ」


 俺もそうだろうなと思う。

 何であんなバカな事を? って首を傾げたくなる事をする連中っているんだよ。

 だから必ずやらかすヤツは出る。

 むしろ絶対に出ると言えるほどだ。


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