↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/190

0088




 Side:橘八重



 俺はSCCを出て電車に乗り、適当にフラフラと歩く事にした。

 今日は休みというか、俺は安全をとって3日は空けるので、明後日まで休みとなる。

 それでも一度の探索で30万以上稼げたんだから十分だろう。

 このまま続けていけばカメラとノートパソコンの金額は取り戻せそうだ。


 それでも200万は大きいから簡単には稼げないだろうけど、そこは仕方がない。

 それでも稼げる金額が多いだけありがたいよ。

 それもこれもアロハヌス家の方とエルトアリアさんの御蔭だ。

 その御蔭であれだけの収入が得られてる。


 フラフラしていると喫茶店があったので入り、少し早い昼食にする事にした。

 ナポリタンを注文して待ち、運ばれてきた熱々を食べる。

 この店は適当に入った店だけど、量が多くてそれなりの味だった。

 味はともかく量が多くて満足できた俺は、お金を払って店を出る。


 そのままフラフラと歩くんだけど、結局面白い物も無かったので帰る事にした。

 あんまり意味が無かったというか、何か面白い事というか趣味でも持った方が良いのかもしれないな。

 次に異界に行くまでが暇でしょうがない。


 普通の人ならゲームだ漫画だアニメだとなるんだろうけど、俺は実家の祖父母に迷惑を掛けたくなくて、サブカルとは距離を置いてたんだよなー。

 民放でやってるアニメとかは見てたけど、お金を使わない物しか楽しめなかった。


 それは仕方がなかったとしても今は一人なんだし、別に漫画やアニメを見たりゲームをしたって構わないだろう。

 タワーマンションに置かせてもらって、とりあえずやってみようかな?

 とはいえ、それは明日にして今日は帰ろう。




 新宿区のタワーマンションに帰ってきた俺は、ドアチャイムを鳴らして七尾さんに鍵を開けてもらう。

 なんでも最近オートロックなる物が付いたタワーマンションが出来たらしいけど、ここにはそういうのは付いていない。

 でもオートロックって本当に信用していい物なのかな?


 こう、オートっていうのが、逆に信用できないと思うのって俺だけ?

 ここは一階のエレベーター付近に管理人の事務所があるんだよね。

 そこに管理人が常駐しているから、そっちの方がセキュリティが高そうな気がしている。

 オートって自動だから警戒心が減りそうな気がするんだよ。


 自動だから安心って思ってたら、むしろガバガバで泥棒に入られるとかさ。


 「まあ、橘君の言いたい事も分かるわね。

 確かに自動ってなると、おざなりになる人って多いもの。

 それにそういう隙を突いてくるのが犯罪者ってヤツよ。

 それはともかく、まさか天童さんの配信に橘君が映るとは思ってなかったわ」


 「あれ? それを知ってるって事は配信を見てたんですか?」


 「ええ。

 書き込みはしないけど、日中は暇な事もあって配信を見てる事って多いのよ。

 今日も見てたら橘君が映ってビックリしたわ。

 書き込みに橘君を悪し様に言ってるのが居たから書き込もうか迷ったんだけど、そいつら大陸の連中だって指摘されたら一斉に居なくなったわ」


 「そうなんですね。

 そういえば少し前に船で密入国しようとして捕まったっていうニュースがありましたけど……。

 もしかして見つからずに潜り込んでる工作員が結構いる?」


 「多分ね、思ってるより多いんじゃないかって思う。

 あそこ10億人ぐらい居るし、全ての人が怠惰の人達の食料になっているわけじゃないしね。

 食料にされた人の多くは元共産党幹部だから、一般人はそこまで怠惰の人達にやられてないわ。

 犯罪者は違うみたいだけど」


 「その辺りは日本と同じってわけですか。

 犯罪者は悪魔の人達に喰われますけど、それ以外はそこまでおかしな事はされない。

 まあ、怠惰な人達ですから、面倒臭がってやらないって言った方が正しいんでしょうね」


 「おそらくね。

 だからこそ一部の野心ある人達が裏でコソコソやってるんでしょうけど、その結果が日本での工作活動なんだと思う。

 向こうはかつての戦争時に紅衛兵なんかも使って来たぐらいだもの。

 偽旗作戦なんて普通にやるでしょうね」


 「大陸ってそういう事ばっかやってるイメージありますけど、現実にやってきてるとなれば、やっぱり間違ってないんだなーと思います。

 そういう狡(こす)い事ばっかりしてるイメージありますしね」


 「そういう国っていうか、そういう文化の国なんでしょうね。

 日本は逆に戦争っていうか戦ばっかりなイメージだけど、それは武士の国だったからだし、それぞれの国にイメージっていうのはあるわよ」


 大陸の国は狡(こす)い事ばっかりやってるイメージ。

 その北は遊牧民と馬のイメージ。

 更に北は酒とバレエのイメージ。

 確かにそれぞれの国にイメージするものってあるな。


 東南アジアは洪水と仏教のイメージかな?

 イスラム教の国もあるけど、イメージ的には仏教だと思う。


 「そうね、東南アジアってそういうイメージがあるわ。

 まあ、日本だって世界からアレなイメージを持たれてるんだし、お互いさまって感じなんでしょうね。

 って、あら?」


 七尾さんが首を傾げたのでそちらを見ると、午後のニュース番組に女王陛下とエルトアリアさんが出ていた。

 家畜牧場の事で忙しくしてたと思うんだけど、日本で何をしてるんだろう?


 『御二柱の最高位悪魔の方々が、日本の総理官邸に入られます。

 いったい中で何が話し合われるのか、何故急に来日されたのか。

 その辺りは続報が入り次第お伝えいたします』


 そういえば確かに女王陛下とエルトアリアさんが一度に来るのは、今まで無かったな。

 エルトアリアさんはここタワーマンションに居たりするけど、そもそも【転移魔法】で来るからマスコミに騒がれたりしない。

 それ以前に日本に来た事すら知る事は出来ないだろう。


 「タワーマンションと虚界を往復するだけなら、マスコミにバレる事も無いものね。

 そもそも【転移魔法】が使われたかどうかなんて特定できないし、パパラッチが追う事すら出来ないんだから、ある意味で無敵の人達っていう気がするわ」


 「個人の実力としても桁違いですから、どのみちマスコミ連中じゃどうにもなりませんよ。

 それに連中が一番恐れる、心の中を覗ける人達ですからね。

 下らない質問をしたら背後関係まで暴かれかねません」


 「マスコミは<国民の知る権利>だとか言い張るけど、悪魔の人達がマスコミの背後関係も暴いてくれるからね。

 実際それも<国民の知る権利>だし。

 マスコミが外国勢力と手を組んでるなんて、国民には知る義務があると思うわ。

 当然だけどね」


 「外国勢力と手を組んでるって、普通に工作員ですからね。

 その時点で記者じゃなくて工作員ですよ。

 本人達が一番理解していないんでしょうけど」


 「私もそう思うわ。

 あの手の連中って自分達を正義だと思ってるのよ、巨悪を暴く正義のヒーローって感じでね。

 実態は外国勢力と手を握っている工作員であり、むしろ巨悪の側なのに」


 「巨悪っていうか、ヒーローにやられる下っ端戦闘員?」


 「あははは、確かにそれはそうかも。

 どうせ外国勢力からしたら、彼らマスコミなんて使い捨ての道具でしかないもの。

 そういう意味では使い捨ての下っ端戦闘員は正しいわ。

 決して怪人にはなれない戦闘員がお似合いよ」


 七尾さんが笑ってるくらいだから、俺の感覚は間違ってないんだろう。

 俺のクソ親もそれと似たようなものだったんだから、本当に碌なもんじゃない。

 マスコミっていうのは本当に自分達が巨悪の側だっていう自覚が無いんだろうな。


 自分達を正義だと思い込んでる時点で、<正義警察>そのものなんだけど……。

 あの業界に居ると、それすら分からなくなるんだろう。

 昔<テレビ村>とかいう言葉を聞いた事があるけど、本当に<テレビ村>っていう言葉は正しいんだと思う。


 日本の法より一般常識より、<おらが村のルール>の方が大事な人達。

 どう考えても狂ってるとしか思えないけど、本人達は至極真面目なんだと思う。

 でないと、あんな狂い方はしないだろうし。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。