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Side:橘八重
本日は休みの日なのでゆっくりとする。
ちなみに昨日の警察への通報に関しては何も言っていないし、考える事もなかった。
いちいち言う事じゃないし、日本の警察がクソなのは今に始まった事じゃない。
もちろん全ての警察や警察官がクソではないんだけど、それでもなぁ………
不祥事なり犯罪なりは多く聞く。
なにより色々とあっても処分が甘い事が多い。
それがより犯罪に走らせるというのに、身内に甘いところは他の公務員となんら変わらないんだ。
自分達が治安維持部署であるっていうのを忘れているんだろうか? そう思う事が何度もある。
今日は家の外に出るような用事も無いので気楽だ。
そう思ったんだが、よくよく考えたら、そろそろ着替えて洗濯をしよう。
今までは服が無かったのもあって、あんまり身綺麗にしてきてないんだよな。
アロハヌス家に泊めて貰った時は、お風呂に入っている間に洗濯してもらったんだけど、それ以外では綺麗にできていない。
流石にそろそろなと思いつつ、俺はタワーマンションの部屋の風呂場へと行く。
当たり前だがラッキースケベ的なイベントなんて存在しない、何故なら確認しているからだ。
アレってどう考えてもワザと入ったりしない限り起きないイベントなんだよ。
つまりラッキースケベ的なイベントって、十中八九は男の方から起こしに行っている。
だから俺が起こそうとしない限り、ラッキースケベは起きないし成立しないというわけだ。
なので俺は服や下着を洗濯機に放り込んで風呂へと入る。
中には個人個人の一式が揃っているので、俺はその中でも俺に割り当てられている物を使って体を洗う。
このブラシみたいなのを使うのは初めてだな?
俺実家ではタオル系のヤツでゴシゴシ洗ってたから、このブラシみたいなヤツは使った事が無かった。
ちょっと使いにくい気がしないでもないけど、慣れたらそうでもないのかもしれない。
ブラシのヘッドを持ちながらゴシゴシしたり、背中は割と洗いやすかったなと思いつつシャワーで流す。
男の体なんて汚れが落ちればなんでもいいのであって、スキンケアなんて気にしなくていい。
むしろ気にし過ぎて汚れが残る方が問題だ。
その後は頭を洗うのだが、洗っていると突然風呂場の扉が開いた音がした。
とはいえ頭を洗っている最中の俺はそちらが見えない。
「キャァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」
この声は七尾さんか?
とはいえ俺は頭を洗っている最中で見えないし、そもそも俺は風呂の扉を開けられた側でしかない。
完全に被害者側なんだが、これもラッキースケベに入るんだろうか?
俺的にアンラッキーでしかないが……
「ごめんなさい。
音がしていたっぽいんだから、外から声を掛ければ良かったわね。
そんな事も考えずに開けたら、まさか入っているとは思わず、つい……」
「まあ、大した被害も無いですから別にいいですよ。
そもそも頭を洗っていましたし、碌に何も見えませんでしたから。
少なくとも七尾さんは何の被害も受けてないでしょう? それなら問題にはならないですよ」
「いえ、男性の裸でも駄目なものは駄目だと思うわ。
今まで一人暮らしだったから、確かめるっていう感覚というか意識が全く無かったの。
流石にこれからはコレじゃ駄目だから反省しないとね」
「ええ、それはそうですね。
それよりも、お風呂に入るならどうぞ。
俺はSCCまで行ってSDを売ってきますので」
「そう? なら今の内に入っておくかな。
私もドタバタしていて入れてなかったし」
「それじゃ俺は出るので、後はお願いします」
「はいはーい。とはいえ気を付けてね。
昨日の今日で何が起こるか分からないから」
「分かっています。
今日もローブを着ていきますから、おそらく大丈夫でしょう。
それじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
俺は七尾さんに挨拶してタワーマンションの部屋を出た後、新宿から台場の方へと移動する。
SCCに移動しているんだけど、それなりの人がSCCに移動しているのか混雑してるな?
何かのイベントでもある訳じゃないし、いったいなんでだ?
そんな疑問を持ちつつもSCCに着くと、その疑問は解消された。
どうやら今日から武具が販売されるらしく、それで買いたい人達が流れ込んでいたらしい。
失敗したなぁ………こんな日にSDを売りに来るとは。
むしろ混雑が酷い日に来てるじゃないか。
ここ最近、何故かこういう運の悪さを発揮している気がするが、何かの呪いでも受けているんだろうか?
神社に行って御祓いでもしてもらった方が良い気もするな。
俺は混雑の中を何とか進んで行き、ほとんど人気の無いSD売却窓口までやってきた。
すると暇そうなサキュバスの人が、こちらを見るなり暇つぶしの相手を見つけたとばかりに喜ぶ。
表情が分かりやす過ぎるでしょうよ。
「いらっしゃーい。
暇だったから、お客さんが来てくれて良かったわ! それもエルトアリア様の契約者じゃない。
貴方、私達色欲系の悪魔の間では有名な人間よ? もう少し自分の名が売れた事を自覚した方がいいわ」
「自覚ですか?」
「良くも悪くも名が売れた者は狙われるのよ。
余計な揉め事に巻き込まれる事も増えるでしょうけど、エルトアリア様や側近の方を頼りなさい。
そうでないと、貴方に何かあった時にエルトアリア様が暴れるだけじゃ済まない可能性があるの。
そうなるぐらいなら、貴方がエルトアリア様を頼った方が何倍もマシだから。
だから必ず頼りなさい」
「は、はぁ………」
なんか物凄く念を押されたなぁ。
逆に言うと、それぐらいエルトアリアさんが暴れるのは危険って事なんだろう。
実際に俺も爆破動画は見たけど、あんな事があっさり出来る人だから、そりゃ悪魔の人達も暴れるのを警戒するか。
「ここに来たって事はSDを売りに来たんだろうけど、どれぐらい売るの?」
「2500を残して、後は全て売ります」
「了解、了解。
それじゃ計測した後に吸い出させてもらうわね」
そう言って悪魔の人は俺の左腕の手首辺りに計測器を巻きつけた。
計測器というか吸引機も兼ねているヤツだけど、見た目は病院で脈拍を計る時のアレだ。
空気入れて圧迫して、看護師が聴診器を差しこむヤツ。
あの腕に巻いて圧迫するヤツに似ている物を巻きつけて計測される。
「おぉー………! 一万を超えてるって事は、それなりに稼げたみたいだね?
異界探索者になってそこまで経ってなくてコレかー。
貰った武具が原因?」
「そうですね。
やっぱりSD濃度が濃い武具を持っていると、早くモンスターが強いエリアに行かされるみたいです。
ただ………勝てるならいいですけど、実力が無いと殺されますね。
自分は<記憶の宝珠>で当たりを引いたので助かってますけど、そうでもない限りは……」
「それを考えると、確かに強い武具を持つのも良し悪しな部分があるわね。
早くSDが稼げる場所へと行っても、それで殺されたら意味は無いし……。
死ぬぐらいなら地道に稼いでくれる方がいいのよねえ」
「国にとってもそうでしょうから、何かしらの目安があった方が良いんでしょうけど……
いきなり作れと言われても難しいでしょうし、結構な検証を必要とすると思います。
人柱が必要ですね」
「それって生贄とも言うわよ。
はい7742SD吸い取らせてもらったわ。
現在1SDが47円だから、36万3874円ね。
それなりに儲かったんじゃないの?」
「ですね。とはいえ、ここまでの量を短時間で稼ぐにはヴァンパイアを倒すしかないんですよ。
アレは一体で4000SDほどが手に入りますので収入源としてみれば大きいんですが、代わりに人間にとっては恐ろしく強いですから」
「なるほどねえ。まあ、安全に行くのが一番よ。
私達悪魔にとっても帰ってきてくれないと困るしね。
貴方の場合は何重もの意味で帰って来てくれないと困るのよ、どんな地獄絵図が顕現するか分からないし」
エルトアリアさんが暴れるという意味では、確かに帰って来なきゃ駄目だな。




