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0072




 Side:橘八重



 犯罪者集団である<追っかけ>の連中にターゲットにされたものの、何とか連中の押し込みを避けた俺は、連中と対峙する。

 <追っかけ>には唯追いかけて同時進入をするヤツと、体当たりで無理矢理に異界に押し込む連中とがいる。

 こいつらは後者であり、かなり強引な連中だ。


 そしてそいつらは素早く異界と俺の間に割って入る。

 つまり俺に異界に行かれると困るってわけだ。

 俺は連中を回避したし、こいつらが追っかけである事は分かっている。

 なので犯罪者だと言われると困るので、口封じに動いたわけだ。

 まだ異界に入っていないので、記録は撮られてないし。


 「随分としつこく追っかけてきたけど、お前ら<人間解放同盟>か?

 連中は強盗犯だから<追っかけ>もやってるってネットに書かれてたけど、どうやらマジだったようだな」


 「………」


 パン、パパン!


 後ろに居た一人が手を叩いて合図を出す。

 俺と異界の間に3人、そして挟むように4人とその後ろにリーダーと思(おぼ)しき人物が一人。

 そういう形になっている。

 明らかに人数差で不利だし、かなりマズい。

 何といっても挟まれてるのが一番マズいんだ。


 とにもかくにも、先ずは挟み撃ちの状態から脱出しなきゃいけない。

 つまり左への逃走だ。


 ダッ!!


 「しまった! くそ、追え!!」


 タタタタタタタタッ!!


 俺はとにかく走って逃げる。

 なぜなら連中に挟まれた状態は極めてマズいし、不利にしかならない。

 なので一気に逃走し、俺は異界の前を塞いでいた奴らを振り切ると、即座に異界の中に進入して走る。

 地形も分からないが、とりあえず連中から離れる事を優先しないといけない。


 異界に入ってきたのは連中の顔などを記録する為であり、映しておけば異界で殺しても罪には問われないからだ。

 異界の手前、つまり虚界では殺人は罪になる。

 しかし異界に入って来て襲ってくるヤツは盗賊なので殺しても罪には問われない。

 そして連中は入ってきた。


 余程に俺を殺したいんだろうけど、もう遅い。

 俺の方は10秒以上経過してるいるので、既に記録は始まっている。

 なのでそれを突きつけてやった。


 「<追っかけ>の連中を現在撮影中。

 異界の手前で体当たりを敢行、俺を異界に押し出そうとしたけど回避。

 そしたら連中は俺を殺そうと襲って来た。

 俺は逃げてから異界へと進入、こいつらが映せるようになったので、現在撮影と解説をしている」


 「………」


 パパン! パン!


 また手で合図をしたけど、今度はなんだ?

 こいつらよく分からない方法でサインを出すんで困る。

 特に後ろに居る奴がサインを出すには音しかないのは分かるんだけど………


 素早く4人が走って遅いかかってきたが、当然ながら時間差で攻撃などはしてこない。

 なので俺はバックステップで距離をとる。

 そしてかわした後に前に出ると、SPを込めて小角杖でブン殴る。


 ドゴッ!!


 一撃で頭が陥没したのか倒れて血を吹き出し始めたので距離を置く。

 SPを込めたといっても1しか込めてないのにコレだ。

 流石はエルトアリアさんのくれた武器だと思うも、仲間が一撃で死んだからか<追っかけ>の連中が慌て始めた。


 「!? ……すぐに殺せ! さもないとこっちが殺られるぞ!!」


 「殺られるも何も、手を出してきたのはお前達が先だろうに。

 自分達は襲っても許されると思ってたのか? そんな事があるわけないだろ」


 俺はそう言いつつも前に居た3人の内、左の方にスパイクシールドを前面に押し出して突撃を敢行する。

 相手は当然のように後退するのだが、それこそが俺の狙いだ。

 攻撃を受けたくない左は早めに後ろに下がったので、俺はターゲットを右に変更。

 小角杖を水平に振るう。


 ドゴォ!


 その一撃で吹き飛んだ敵はあっさりと死んだみたいだ。

 その後は一気に畳みかけるように、右でどうするか逡巡していたヤツに突撃、スパイクシールドで体当たりしつつ通り過ぎていった。


 ドン!!


 走り抜けてある程度進んでから後ろを向くと、スパイクシールドで体当たりしたヤツも瀕死に近い状態になっていた。

 スパイクがよく効いたのか、それとも盾の頑丈さの結果だろう。

 とはいえ順調に数が減らせているのがありがたい。


 再び敵の方に向かって構えると、残りが4人だというのが分かった。

 そこまで数も多くないので俺が勝つだろう。

 とはいえ最後まで気を抜かないようにしないとマズい。

 こいつら元々からして人を襲う気だから、何を持っているか分からないんだ。

 なので注意しておかないといけない。


 痴漢撃退スプレーとか使われたら、おそらく目が見えなくなるだろう。

 しかもああいうのは回避する事も防ぐ事も難しい。

 特に戦闘中で相手の方が人数が多いなら、尚のこと難しいと言わざるを得ない。


 俺はジリジリと近づきつつ、敵の動きをシミュレートする。

 これもグラドウェムさんが言っていた事だ。

 敵の動きを想像し、そしてそれに対して有利に動く。

 それが戦闘の基本だって教えを受けた。

 講習で教わった事と同じだが、アレは対人戦を想定したものじゃない。


 しかしグラドウェムさんは対人戦も変わらないと言っていた。

 結局は敵がどう動くのか? というのが大事であり、その予測精度を高めていくしかない。

 それが戦闘における大事な事の一つなんだそうだ。

 なので極力考えて行動を行っていく。


 たとえ4人に減ったとしても、まだ4人も居る。

 俺は装備が良いからアレだけど、普通の装備じゃ殺されていたかもしれない。

 そういう意味では、こいつらが奪おうとするのも当然か。


 相手の出方も考えつつ相手に近づいていると、突然後ろのリーダーらしき者が手を叩いて合図を出した。

 すると、3人がそれぞれ縦に並ぶ。

 あれ? もしかしてコレってジェ〇トストリームアタックか?


 「うぉらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 急に一番前のヤツが大声を上げながら突撃をしてきた。

 なので俺はそのまま待ち構えるも、一番前のヤツはある程度の距離で自分の持っている棒を投げつけてくる。


 ガァン


 俺はその棒をスパイクシールドで防いだが、二番目のヤツが右から俺に接近。

 棒を振り下ろしてきた。

 そして三番目のヤツが遅れて左から出て来る。

 俺は右の攻撃を左に移動してかわし、左の攻撃をバックステップでかわす。


 二番と三番の攻撃をかわした俺は、今度は前に出て三番に小角杖を振るう。

 それはかわされる事無く直撃し、その一撃で三番を吹き飛ばした。

 その隙に一番が俺をナイフで刺そうとしてきたが、これを何とか盾で防ぐ事に成功。

 そして距離をとった。


 後ろに居るリーダーのヤツは何もしようとしていないが、正気か?

 全部仲間に任せてるけど、仲間が全員死んだらどうするつもりなのやら。


 一番と二番だけになったのでこちらから突っ込み、スパイクシールドで一番にシールドバッシュを行う。

 ナイフしか持っていない一番は為す術も無く直撃を受け、後ろに吹っ飛び倒れた。

 しかしそれをチャンスとばかりに攻めて来た二番。


 しかし俺は小角杖で相手の攻撃を流したら、二番の後ろに回るように抜けた。

 何故ならリーダーが後ろから俺を狙っていたからだ。


 離れて二人を視界に入れると、リーダーはナイフを持っていた。

 おそらくアレを突き刺そうと突撃して来たんだろうが、ちゃんと警戒していた俺には当たらないね。

 あいつ一人だけおかしな動きをしてるから、むしろ予想がしやすかったと思う。


 残りは二人なのでこちらから攻め、二番目を小角杖で殴って吹き飛ばしたらリーダーへと向かう。

 既に俺との戦いを避けて逃げていたが、残念ながら足は俺の方が速かったようだ。

 背中を向けて走っている相手の頭をブン殴り、その一撃リーダー格も死亡。


 これでようやく<追っかけ>との戦いも終わったか。

 やれやれ………


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