↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/190

0066




 Side:橘八重


 メイド服を着て来たエルトアリアさんが【転移魔法】を使ってタワーマンションに飛んだ。

 その後は俺の実家こと祖父母の家に行くんだけど、その場所を東京都青梅市という。

 東京以外の人に聞いても場所が分からない人が大多数の所だ。


 ま、それはいいとして、俺は電車などを乗り継いで実家へと移動。

 久しぶりに帰ってきた気がするが、まだ二ヶ月も経ってないんだよなー。

 そもそも中学を卒業して講習を受けに台場へ一ヶ月通い、それが終わったら異界へ。


 そしてアロハヌス家の跡取りだった人の<記憶の宝珠>を得てエルトアリアさんと知り合い、今この状況だもんな。

 物凄く濃い日々を送ってたというのがよく分かるよ、本当。


 二ヶ月しか離れてないとは思えないほど、自分はここに何も無かったんだなというのが分かる。

 元々は青梅に住んでいたわけじゃないし、あのクソ親は千代田区に住んでたからな。

 そういう意味ではやっぱり地元のヤツじゃないって感じで見られてたんだろう。


 俺は特に見回る事もせず、真っ直ぐに実家に戻って祖父母の家を訪ねた。

 それなりに大きな家というか古い木造家屋だけど、補修して今も使っている家だ。

 古い家だから見た目は良くないけど、俺はむしろこの古さが気に入っている。

 ただし地震が来たらヤバそうなんだよなぁ。

 それだけが心配だ。


 「ただいまー」


 既にSCSやナノマシンを利用しての通話で連絡していたので、祖父母は両方とも家に居た。

 まあ、そもそも農家な祖父母は家に居る事の方が遥かに多いんだけどさ。

 それはともかく家に上がると、すぐに祖母が出てきて歓迎してくれた。


 そして祖父が居る部屋に案内されると、いきなり「ギロッ」と睨んでくる。

 睨むというか警戒してる?


 「ワシは八重の祖父である橘剣蔵と申す者。

 そちらが悪魔の方々なのは分かるが、いったい何をしに来られたのですかな?」


 「あなた……。

 私は八重の祖母で橘小織と申します。

 それで、その………」


 「警戒されているのは分かります。

 私達色欲の悪魔は人間の心を読めますからね、そちらが何を考えてそういう態度をとられているかも分かっています。

 そのうえで言わせていただくと、こちらにも譲れない事情というのがあるのですよ」


 「譲れぬ事情ですと?

 こちらは愚か者の息子夫婦とマヌケどもの所為で、八重を遠くに離さねばならなくなった。

 それであんな事になったのだから、これ以上は許可できん。

 そちらが心を読めるというのならば分かるだろう!!」


 ダン!


 祖父さんがテーブルを叩いたが、それ止めようよ、とは思う。

 そもそもテーブルは八つ当たりする為の物じゃないよ。

 傷むし壊れたらどうする気なんだろうか。


 「何を言われようと、こちらも譲る事は出来ません。

 更に言えば、何かあった際に守れるのは私達の方が上でしょう。

 貴方達だと人間の柵(しがらみ)にどうしても絡め捕られる。

 ですが私達悪魔ならばその限りではない。

 それに、彼に手を出したは人間ばかり。

 そうではありませんか?」


 「………」


 祖父さんが完全に黙ったな。

 そりゃそうだ。子供の頃からそういう事をしてきたのは人間であって、悪魔の人達じゃないんだよ。

 俺は悪魔の人達からイジメられた事も殺されかけた事も無い、全部人間からされた事だ。

 ハッキリ言えば、俺は悪魔の人達よりも人間の方が信用できない。


 「ですが、八重は何度も危険な目に………」


 「それをやったのも人間です。

 一度など、頭を銃で撃たれて死にかけていました。

 私がすぐに駆け付けて【治癒魔法】を使ったから良かったものの、放っておいたら死んでいましたよ。

 そしてそれをやったのは刑事という職にあるものです」


 「警察官が八重を撃っただと………?」


 「何て事を………それが警察のする事ですか!」


 「私達からすれば、それが人間としか思えないのですがね?

 己らの欲の為に平然と他者を犠牲にする。

 もちろん悪魔にもそういう者は居ますが、人間には自浄能力が無さ過ぎる。

 虚界でそんな事をすれば確実に滅ぼされる。

 しかしこの星、つまり地球では……」


 「………軽い罰で刑務所を出て来る、か。

 確かに貴女達の方が力もあり守れるのだろうな。

 ………はぁ」


 「そもそもですが、この星というか国はおかしい。

 彼は何度もおかしな連中に絡まれています。

 彼を貶(おとし)めて有名になろうとしたバカども、彼を晒(さら)し者にしようとしたテレビ関係者。

 更には警察の中の<正義警察>と<人間解放同盟>。

 こういう連中が彼に手を出してきたのですが、全て人間なのですよね」


 「警察の話は聞きましたが、まさかそこまで酷いとは………」


 「警察がアレでは、ワシらの命も本当に守られるのやら……といったところか。

 そもそも八重が二度も通報したにも関わらず動かぬし、それも正義警察とやらが八重を気に入らぬとしたからだ。

 そんな恣意(しい)的に守る対象を変えるような連中など、とても信用などできぬ」


 「彼に手を出すというのは、私に手を出すのと同じ。

 そういう意味で契約したのですが、人間が愚かだという事を忘れていました。

 だからこそ粛清したのですし、時間がそれなりに掛かってしまったのですが……」


 「あそこまで破壊したら、そりゃ時間も掛かるじゃろうよ」


 「あなた」


 「………」


 祖父さんが黙ったし、祖母ちゃんは何だか青い顔をしているような?

 ………俺が気絶したりしている間に、いったい何があったんだ?

 今の雰囲気じゃ聞けそうにないし、後で聞くかネットのニュースを確認しよう。


 祖父さんも知っているくらいだから、結構大々的に報道でもされたんだろう。

 とにかく今は黙って成り行きを見守ろう。

 俺としては異界に行きたいし、【精魂の雫】の進化先に興味がある。


 「八重、八重はどう考えておるのだ?」


 「俺は異界の中を探索したいかな?

 こっちの命を狙って来た連中はアレだけど、そもそも悪魔の人達が何かやった訳でもないしさ。

 それに昔からああいう頭のおかしいのは犯罪を犯すじゃん。

 飛行機を爆破したテロ犯とか」


 「まあ、それはそうだが……」


 「そういうのはこれから先も生まれるだろうし、俺の命を狙ってくるとも思う。

 連中にとったら契約印を付けている俺は敵だろうし、そういう連中から攻撃は受けるよ。

 その際に実家を巻き込む事は出来ない。

 とはいえ、そういう連中が祖父さんや祖母ちゃんを狙う可能性は低いと思ってるけどね」


 「ああいう連中は目立つ為に彼を狙ってくる可能性が高い。

 そもそも組織としては、私達が地球に来て支配した際に転落した者達のようですね。

 なので下らない動機でしかない」


 「そんな事の為に孫を殺そうとしおったとは、碌な連中ではない。

 それでもそういう連中は未だにコネなり何なりを持って地下に潜っとるんじゃろう。

 テレビでは警視庁が、どうやらヤクザと<人間解放同盟>は繋がっとると言うとったしな」


 ヤクザと<人間解放同盟>が繋がって何をする気なんだろう?

 どのみち現代兵器なんて効くわけないんだし、狙うとすれば異界探索者の武器の可能性が高そうだな。


 ………あっ、俺の武器が無い!?

 いつから無いんだ? 警察に連れて行かれた時か!?


 「八重、どうかしたか?」


 「いや、異界に行くのはいいんだけど、貰った武器とかが無くなっててさ。

 どこに行ったんだ「警察ですよ」ろうと」


 「車が突っ込んだ事件の後、警察が現場から押収していました。

 そしてそれを奪う為に<人間解放同盟>の刑事が、貴方を無理矢理に犯人に仕立て上げようとしたのです」


 「つまり、アロハヌス家やエルトアリアさんから貰った物を奪おうとして、あんな事を?」


 「ええ、そうです」


 呆れた連中だな。

 他人の物を奪う為に、あんな事までやっ……テレビ局のヤツとは違うな、これ。

 つまりテレビ局のヤツが俺を殺そうとしたのと、俺から物を奪おうとしたのは別の事件だ。


 何故か両方とも俺を殺そうとしたけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。