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 Side:エルトアリア



 ゴミを叩き潰した後、さてどうするかと思っていたら、どうやら日本の方では色々と動いていたらしい。

 まず文京放送というのが発表したようだが、彼の嘘やらを垂れ流していた者を警察の協力で拘束。

 それらを警察の拘置所に詰め込んだようだ。


 そして警察のトップである警視庁が、今後は徹底的に犯人を追い、捕まえると悪魔の判断を仰ぐ事を発表した。

 つまり日本の法で裁く前に、我々にお伺いを立てるという形だな。


 ………これはおそらく、我らの方で処分してくれという事であろう。

 日本の法は罪ある者に対して甘い。

 なので我らに厳しく罰してほしいという事であろうな。

 少なくとも法に書いてある事以外は出来ぬという連中だ、我らを抜け道に使いたいと考えるのは分からぬでもない。


 国家における暴力は、暴力であるからこそ法で制御せねばならん。

 簡単に暴発するような力は役に立たんからな。

 しかしその法に不備が多く、罪ある者が正しく裁かれぬとなれば別か。

 当然ながら民も兵も納得はすまい。


 とはいえ法を作る者が手心を加える、または裁く者が手心を加えれば、正しく罰を与える事など出来ん。

 これは三権分立とやらの弊害であろうな。

 バラバラにして監視させようとしたのであろうが、バラバラにする事によってそれぞれが好き勝手をしておる。


 そしてその好き勝手を煽っておるのがマスコミとやらか。

 そしてその中に他所の国と結びついておる阿呆がおると。


 ………なればそこを潰すのが先か、テレビ局とやらもその一つだしな。

 何かあれば即座に乗り込んで連れて行けばよい。


 既に女王には家畜牧場の件は伝えてある。

 女王も乗り気だったのですぐに動くであろうし、他の悪魔も協力的であった。

 まあ、数が足りておらんのもあるので皆が乗り気になるのも分かる。

 異界の探索で、それなりのインキュバスが減ったからな。

 やはりその影響は大きいのだ。


 他の悪魔どもも影響は出ておるが、特に影響が大きかったのが我々色欲の悪魔となる。

 インキュバスどもが遊び半分で入り込んだのが悪いのだが、それを言っても死んでしまった者は戻ってこぬ。

 故に人間どもを使った家畜牧場は効果があろう。


 「国の者達からの評判は上々でしたし、早くに建設は終わるかと思います。

 それに人間どもは【魔法】が使えませんので、逃げだす事は不可能でしょう。

 内部の者が手助けすれば分かりませんが……」


 「それをすると周囲の全てを敵に回すので、まずしないでしょうね。

 それに人間如きに絆(ほだ)される者が居るなら、そいつは滅ぼされても仕方がない。

 それだけです」


 「そうだな。

 それよりも日本人どもも動いているので今は見守るしかない。

 どのみち彼に手を出した者は我の所へ送られて来るだろう。

 その時に地獄を味合わせてくれるわ」


 「それはいいのですが、あの少年はまだ眠っておられるので?」


 「ああ、人間は肉体に依存するからな。

 完全に再生して治療したとはいえ、それ以上は我も触るのを控えておる。

 何がどう影響を与えて、彼の状態が悪くなるか分からん。

 何かあれば分かるし、あまり心配はしておらんがな」


 我がそう言うと、なぜかグラドウェムが微妙な表情をした。

 いったいなんだ?


 「屋敷の主様のベッドに居る事、あの女王にバレてませんよね?

 動かさなければ問題ありませんし、話をするだけなら主様が契約印を使っていても把握できないのでは?」


 「………それはそうだが、女王は彼に契約印の使い方を教えると言っていたからな。

 それがどういうものかは知らぬが、我が教える事は出来ぬ故に仕方あるまい。

 そこはある程度、目を瞑ってやらねばならん」


 「主様の性格上、絶対にすぐ動くと思ったのですが………意外でした」


 こやつ、我が慌てて動くのを見て楽しもうと思っていたのか。

 昔からそうだが、この軽さはこやつの欠点だな。

 とはいえ全く何も考えずに口に出しておる訳でもない。

 見極めが甘い事も無いではないが、こやつは怒られないギリギリを攻めるのだ。


 だからこそ、結果的に軽い口だと思われるだけで終わる事が多い。

 かつて失敗して女王に追いかけ回された事があるがな。


 「また貴女はそのような事を言うのですか。

 主様が怒られないからといって、調子に乗るのは違いますよ?」


 「別に調子に乗ってませんよ。

 でも今までとは全く違うので、どういう反応をされるのか気になっただけです。

 それ以外に理由なんてないですし」


 「それもそれで、どうなのでしょうねえ?」


 「あれ? 余計に怒ってます? ………おっかしいなぁ」


 「………」


 エギルターサの額に青筋が立ったが、こやつらの戯れはこんなものだ。

 いつも通りであり、然したる意味は無い。

 それよりも家畜牧場が完成せねば放り込めんが、今の内に捕まえるだけ捕まえておくか。

 必要なら我の専用拷問部屋を使えばいいしな。


 そうと決まれば動かなくてはならんな。

 我がソファーから立ち上がると、2人も即座に立ち上がる。

 この辺りは暗黙の了解のようなものだ。


 「どちらへ?」


 「なに、今の内に捕縛しておくべき者を捕まえておくかと思ってな。

 警察とやらが威信を懸けて捜査をするのだろうから、我はマスコミなる俗物の方だ。

 こちらは警察ではどうにも出来まい」


 「書いたのが嘘塗れでも許されるというのが論外ですけどね。

 それでも大した罪には問えないようですし、そちらは私達がやる方が手っ取り早そうです。

 人間どもの言い分など聞いてやる価値も無いですし」


 「では参りましょう。

 当時の新聞や電子版の記事などは、全て証拠として集めてあります。

 そもそもインターネットそのものを我々が牛耳っているという事の意味も理解していないようですしね。

 消せば助かるとか思っているようですので、頭が悪いとしか言えないのですが」


 「本当に消せば済むと思っているなら、バカ過ぎますね。

 復元など容易く出来るというのに……」


 「まあ、愚か者どもに言っても理解できまい。

 これらの物の多くは虚界の素材などを用いて作られておる。

 人間如きでは解析する事さえ出来ておらぬようだからな」


 「とりあえず、まずは一番嘘や捏造をしていた浅井新聞という所からですね。

 なんでも浅い記事内容ばかりであり「名は体を表す」と言われているそうです。

 簡単に嘘だと分かる記事を書くので、余計にそう言われるのでしょう」


 「それ知ってます。

 確か日付すら間違えていた事があったという、何も信じられる根拠が無い紙だと書かれていましたね。

 紙とインクの無駄だと掲示板に書いている者もいたぐらいですから、相当に酷いんだと思ってましたけど……」


 日付すら間違っているとなると話にならんな。

 確かに間違う事もあろうが、そもそも中身の質が悪いからバカにされるのだろう。

 紙とインクの無駄とまで言われている事を理解しておらぬのか、それとも元々敵性工作員のアジトなのか。


 どちらかは分からんが、滅ぼしておいても問題あるまい。

 そこまで必要な連中とも思えぬしな。

 手分けして聞き出せば済むであろうし、逃げようとすれば手足を切り落としてしまえばよい。

 再生など幾らでも出来るのだ。


 「ではそろそろ行くか。

 ついでに、そやつらの仲間も潰してやる事にしよう。

 ゴミどもなど要らぬ故にな」


 愚か者が蔓延(はびこ)っておったようだが、それもここまでだ。

 我が動く以上は確実に殲滅するし、根こそぎ虚界で家畜にしてくれる。

 おそらく我らがそれを始めれば、他の悪魔どもも同じ事を始めるであろう。


 そちらの方が何かと都合が良いのだ。

 虚界の空気に晒されておるとどうなるか、その実験もせねばならんからな。

 もしかしたら悪魔に変質する者も出て来るかもしれん。

 虚界に適応する形でな。


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