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 Side:橘八重



 再び異界へと行く日になった。

 世間的には俺は特に問題なしとなっているらしく、俺をダシに与党を糾弾(きゅうだん)しようとしていた野党が叩かれているぐらいだ。

 そもそも俺の事で急に問題視したが、それまでの者はどうなんだ? という問題が付きまとう。


 そして野党がそこを濁すのには理由があった。

 それは野党の大物の孫が探索者で、実際に<発掘地形>で向こうの生きている者を殺しているからだ。

 つまり身内の事を言われたくなくて、一時期とは違い一気にトーンダウンしている。

 その事もあってネット上で叩かれてるんだ。


 とはいえ既存のメディアは無視して報道はしていない。

 疑惑なら何でも書き立てる癖に、野党の事となると全く書かない奴ら。

 こういうダブルスタンダードが嫌われる元なんだけど、連中はその辺りを気にしていないみたいで同じ事を繰り返してる。


 そんなだからマスゴミとかカスゴミと言われるんだろうに、中に居る人間は気にもしないんだろうね。


 悪魔に一切関りが無いなら、悪魔は攻めて来ない。

 それを学習したっぽいんだけど、学習の仕方がGと一緒だと思うのは俺だけかな?

 カサカサ鬱陶しいのもそっくりだと思ってる。


 そんな連中なので、特に俺に対する記事は気にしてるっぽい。


 書き方も他の関わりないニュースと違い、相当に迂遠(うえん)な書き方をしてあり、そのうえ直接攻撃するような物は無いらしい。

 新聞とかとってないし、いちいちネットの記事とか見ないしね。

 どうせ嘘を書き立てる事しかしないし。


 掲示板にそういう書き込みがあったので、どうやら迂遠(うえん)な書き方をしているのは間違いないみたいだ。

 悪魔の人達に見つかっても攻められない方法を編み出したんだろうけど、そこまでして嘘や捏造を書き立てるってなんなんだろうね?

 俺には意味が分からない。


 執念のようなものを感じるけど、やってる事は嘘や捏造。

 それって執念を燃やしてまでやる事か? としか思えないんだけど、気持ちの悪い思想の人達は違うんだろうな。

 最近は死んだクソ親の事もそう思うようになってきた。

 アレは気持ちの悪い思想の人達だったんだと。


 世の中には両親がアカい人達とか居るそうだけど、その子供である本人は逃げて距離を置いているらしい。

 つまりは両親がおかしくても、その子供までおかしいとは限らないって事だ。

 ただし親がおかしいと、やっぱり狂う子供って多いみたいではある。

 だからこそ連中は自分の子供を洗脳するんだろう。


 おっと、異界の前まで来たんだから、そろそろ下らない事を考えるのは止めよう。

 ここ最近は一日おきに配信していて、その隙間では虚界のアロハヌス家の屋敷の庭で訓練をさせてもらっている。

 その様子はビデオカメラで撮影しているんだけど、割と見ている人が多いらしい。


 「一つ目の地形は平原か。

 やっぱり持っている物に魔力が篭もってないと、大した場所には行かないな。

 前回の事を踏まえてマスクはしてきてるのに、今回も簡単な地形だ。

 となると異界浸食率はあまり関係ない?」


 マスクの性能はSD濃度11,異界浸食率44%だ。

 SD濃度11は新人の装備からすれば高いが、ベテランの装備として考えれば低い。

 しかも武器でも盾でもなくマスクだ、戦闘には寄与しない。

 そういう部分も反映されてる?


 「色々と考えられる事はあるけど、ちょっと分からないな。

 ま、今まで多くの人が考えて不明なんだし、俺如きが考えた事で答えが出るとは思えないけどさ」


 そんな事を言いつつ進んで行くと、ここでは土人形が現れた。

 SPを1でも篭めれば簡単に倒せると言われているヤツだ。

 こいつ自体は本当にそうで、それぐらいに弱いヤツだと言われている。

 で、実際に戦ってみたが、SP1で頭の部分が吹き飛び土に戻った。


 「なんか、言われてる通り本当に弱いな。いや、弱いって言うか脆い。

 唯の土だと言われれば当たり前なんだけど、本当に驚くほど脆いな。

 こんな簡単なヤツが今まで出て来なかった方がビックリだ。

 SDも6しかくれないし。最低記録更新だよ」


 SD6は本当に少ないのでさっさと進もう。

 こんな所に居てもSPを無駄に消費するだけだ。

 無駄な事は一切したくないので、さっさと先に進むのが一番いい。


 俺はマスクで墨の流れを見ながら、さっさと地形の色が変わる場所へとやってきた。

 そこから一歩踏み出すと、今度も平原が見える。


 「あれ? 連続して同じ地形か?

 だとしたら次のモンスターはなんだ?」


 同じ地形が続くと、急にモンスターが強くなったりするから気を付けなきゃいけない。

 そう思っていた矢先に、俺の顔へと赤い物が飛んできた。


 「ふぉあっ!? 危ねえっ!!!」


 俺は後ろに倒れ込むようにして回避したので助かったが、いったいあの赤いのはなんだよ?

 そう思って飛んできた方向を見ると、そこには赤い実をつけた木があった。

 どうやらここのモンスターは<アップルシューター>らしい。


 別にリンゴじゃないんだけど、赤い実を飛ばして来るのでそう呼ばれている。

 確か最初に見つかったのはイギリスだったはずだ。

 動画で確定したらしいけど、元々から目撃情報はあったんだっけ?

 その後に世界でも少々の目撃例があるヤツ。

 つまりこのモンスター、珍しい相手なんだ。


 とはいえ珍しいってだけで、さっきのリンゴもぶつかるか避けると消えていき、持って帰る事も出来ない物だ。

 なので推定リンゴなだけで、本当にリンゴかは定かじゃない。

 いちいち調べたりもしないしさ。


 「アップルシューターの実は本当は何なのか? って話題になった事があるらしいけど、俺からしたら心底どうでもいい。

 なので調べたりはしません」


 一応動画を後で見る人の為に先に宣言しておく。

 正直に言って「あーだ、こーだ」と探索にケチをつけられても困るんだよな。

 探索者には探索者のしなければいけない事があるんで、訳の分からない知的好奇心の為に、やらなくてもいい事をさせられたくはない。


 赤い実が飛んでくるものの、俺はそれを避けながら接近して幹を攻撃。

 2SPを込めたけど、この程度じゃ死なないらしい。

 アップルシューターが震えると上から赤い実が落ちて来たので離れた。

 アレの中身が毒じゃないっていう保証がないからな。

 受けたくはない。


 赤い実が落ちて来なくなったんで、俺は素早く接近して10SPを叩き込む。

 すると、その一撃でアップルシューターは折れて倒れ、死亡判定になったのか消えていく。

 倒せたようだが10SPは込め過ぎだな。

 もうちょっと減らそう、まだ2つ目だし。


 「とはいえ連続で同じ地形だからな。

 どれぐらい強いか分からないし、困ったもんだ。

 今までのように違う地形が続くなら、一気に強くなったりはしないんだけど……」


 流石に2つ目がアップルシューターだし、ここは逃げてさっさと先に行った方が無難か。

 SDは42もくれてるけど、あの飛ばして来る赤い実を考えると割に合ってない気がする。


 結構な速さだし、盾も無しにぶつかると大怪我をするのは確実だ。

 遠距離攻撃の敵は厄介だからな、ここは避けてさっさと進もう。


 俺は墨の流れを見ながら赤い実を避けて走り抜ける。

 一度ヒヤッとした場面があったがそれだけで、無事に3つ目の地形へと移動する事が出来た。


 「そして平原っていうね。

 なんかもう、今回はそういう事って決まってる感じがする」


 いや、実際に決まっているとしか思えないっていうか、3連続同じ地形の人とかほぼ居ないと思うんだよな。

 あんまり聞いた事が無いし、出て来るモンスターがヤバそうだし。

 仮にあっても殺されてる可能性が高そう。


 俺はこのまま進むけど、駄目ならすぐに脱出するべきだな。

 こういうので迷ったり欲を出すと死ぬ。

 とにかく何か危険があったら帰る、余計な事はしない。

 これを徹底しよう。


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