↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/210

0127




 Side:七尾はる



 「それで、我の過去を語るのは良いが……何故イージェルは今頃そのような事を?

 今までに幾らでも話す機会はあったろう」


 「えっと………今までだと話せなかったと言ってました。

 今は橘君に御執心で、その事もあって話せるようになってきたと」


 「ああ、主様の魂の穢れですね。

 八重様に会う前の主様であれば、確かに狂って壊れていた可能性があります。

 それは話せないでしょうし、そういう意味ではイージェル殿も主様の事を考えて黙っていたのが分かります」


 「ですね。最高位悪魔まで昇るには、良い悪いは別にして相応に魂が穢れます。

 そして穢れが積み重なると、最後には壊れて狂うだけとなる。

 もしかしたらですが、かつての長老達が目指したのはそれでしょうか? 破滅させようとした?」


 「…………あり得んとは言えん。

 あれらは狂っていたからな、何を考えていても不思議ではない。

 我と言う最強を生み出す為に、どれだけのものを犠牲にしたかも分からん。

 復讐の念で滅ぼしたし、あやつらの物など徹底的に破壊したからな。

 今では不明だ」


 「それでも魂が綺麗になっている以上、主様が壊れる事もありませんし、狙いは不発で終わりますね」


 「は? 綺麗になっている……?」


 「どうやら気づいておられないみたいですが、御自分の魂の状態は把握されておいた方が宜しいかと。

 今までの穢れで酷い状態からは、随分と変わっておられますよ?」


 そう言われた魔王様が目を瞑ったけど、それも十秒くらいで、すぐに「カッ」と目を開けた。

 どうやら魂の穢れとやらに気づいてなかったみたい。


 「本当に綺麗になっておるな。

 それでも多少でしかないが、今までとは明らかに違うぞ」


 「気づいておられなかったので言いますが、八重様と交わるようになってから急速に綺麗になっております。

 おそらく<精魂の雫>には、そのような効果もあるのでしょう。

 御蔭でこのまま行けば、魂が綺麗な最高位悪魔となられるやもしれません」


 「魂が綺麗な最高位悪魔というのも、随分と矛盾した存在だな」


 魔王様は苦笑しながら言ってるけど、それぐらい最高位悪魔とは穢れるものなのかな?

 何故かは知らないけど、穢れないで済む方法とかないの?


 「不思議に思っているかもしれぬが、最高位悪魔とは高位悪魔の上位にある者が、穢れを多く持ちて悪魔の本質に近づくと成るのだ。

 それ故に穢れる事は避けて通れぬ。

 そして最高位悪魔になると、それまでとは一線を画す強さを得る」


 「代わりに穢れを溜め込む為、壊れて暴走する可能性も生まれます。

 それ故に最高位悪魔の中には強制的に眠りについたり、穢れを他者に押し付けたりする者も居まして……

 もちろん押し付けた者には少なくない謝礼が支払われますよ?」


 「それでも各国が最高位悪魔を抱えるのは、それが大きな戦力になるからですね。

 それと象徴ともなるからですが………小康状態になってからは、少々意味合いが変わってきています」


 「我以外の最高位悪魔は皆がその本質に近い行動をする。

 そなたらは七大罪などと呼んでおるようだが、我らは本質と呼ぶ。

 その本質が故にな、抑えるのが難しいのだ。

 特に最高位悪魔は」


 「主様ほどに抑え込める方は普通は居ないのです。

 むしろもっとも力が強い主様が、一番抑え込めているという事がおかしいとも言われておりました。

 もちろん私達が必死に抑えてきたのもありますが」


 「イージェル殿なども成れるのに成らない者の筆頭ですしね。

 色欲の国の第三位実力者、<魂滅のイージェル>と呼ばれている者でも成ろうと思わないくらいですから」


 こんめつ………ああ、魂を滅ぼすと書くのね。

 ………ちょっと待って、色欲の国の実力者で第三位?

 それって魔王様と女王様の次に強いってこと!?


 「あやつは温和に見せているだけで、中身は我と同じくらいに苛烈な者なのだ。

 温和なのはそう見せているだけだし、その方が騙されてくれて都合がいいと平然と言う者だからな。

 そなた達が思うておるイメージとは全く違うぞ?」


 「温和な部分があるのも事実なのですけどね、あの方も<舐められたら負け>な方なのですよ。

 なので舐めて来た相手には容赦をしないというだけです。

 流石に主様ほどの拷問はされません。

 その前にさっさと魂滅させる方でもあるので、二つ名がそうなっているのですし」


 「ちなみに第一位は主様である<無貌のエルトアリア>。

 第二位は女王である<搾精のアルヴェーダ>。

 第三位が先程から言っている<魂滅のイージェル>。

 第四位が<静止のエギルターサ>。

 そして第五位が私、<爆砕のグラドウェム>となっております」


 『魔王様の右腕が弱いはずが無いんだけど、まさかの第四位と第五位。

 シャレにもなってねえ……』


 『問題は第一位と第二位、第四位と第五位と契約してる橘だろ。

 マジで大丈夫か?』


 『嫉妬も湧かないくらいに大丈夫か? って思うわ。

 流石にマズイいんじゃないの?』


 「契約は普通一柱だけと言っても、魂の容量が足りねばそれだけ効果が落ちると言うだけだ。

 普通の人間であれば、契約が出来る悪魔と契約したとて十全に力は発揮できん。

 その程度の魂しか持ち合わせておらんからな」


 じゃあ、なんで橘君はそんな大量の契約をしても問題ないの?


 「ではなぜ八重様は? そう思われた方も多いでしょうが、それは<精魂の雫>である事が関係していると思われます。

 魂としては人間と変わらないと思っていたのですが、言うなればその密度? 濃さ? そういったものが違うようなのですね」


 「うむ。だからこそ我らも気づかなんだという訳だ。

 いうなれば懐が異様に深いというべきか。

 契約をしても全てが受け止められてしまっておる。

 なので四柱との契約でも何ら問題ないわけだ。

 底の無い井戸だとでも思えばいい」


 「人間と同じ魂の規格、だから井戸ですね。

 しかしその底が無いので、全てを受け止める事が出来てしまった」


 「そう考えると尋常じゃないね。

 私なんてイージェルとの契約も十分に得られてないと思うし」


 「…………確かにそうだが、半分くらいは発揮できておるのではないか?

 それでも他の人間に比べれば大きいぞ? そもそも八重が異様なだけだ。

 悪魔の基準で考えても底なしの井戸なのだからな」


 『基準を悪魔にしても底なしなのは笑う。

 どんだけだよと思うけど、魂の穢れを綺麗に出来るってヤバくない?

 橘って狙われたりしないの?』


 「可能性はあるが、そんなものは元からだ。

 女王が<精魂の雫>だとバラしてしまったからな。

 あれから警戒もしているし、我らの誰かが基本的には張り付いておる。なので、おそらくは問題あるまい。

 何より四柱との契約で、八重の状態は常に把握できるからな。

 何かあればすぐに動くし居場所も分かる」


 『位置情報を悪用した、恋人のストーキングみたいだな』


 『今だと夫婦の場合もあるでよ』


 『旦那の位置情報を特定したりとかな。

 そう考えると契約も変わらないのか?

 橘だけ一方的に把握されているわけだし』


 『でも、その御蔭で良い所で暮らしてるんだし、それぐらいは許容すべきだろ。

 オレだって同じ立場なら気にしないと思うぜ?』


 『言いたい事は分かる。

 最近は使ってないけど、良い武具だって融通してもらってるんだし当然だ。

 まあ、そもそもその橘が何も言ってないんだから問題ないだろ』


 そういえばそうね?

 プライベートが無いって事なんだけど、橘君ってそこは気にしてない気がする。

 何故かは知らないけど。


 『その橘は現在ボス戦、って思ったら倒したか。これで笛を入手だから、ようやく南に行けるな。

 もう半分も折り返したし、後はラストまで行くだけだ』


 何故か話には加わらずに淡々とゲームしてたけど、単に入れる会話じゃないから黙ってただけかな?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。