0126
Side:七尾はる
結局あの後で2時間、たっぷりと色々シた。
何と言うか、途中から「もういいや」って感じで乗り気になったのが悪かったんだと思う。
結果的に他の悪魔の人が来るまでシてたうえ、ちょっと呆れた感じで見られちゃった。
それが、こう……何とも言えない。
まさか悪魔の人に呆れられる時が来るとは思わなかった。
ちなみにイージェルはその後に連行されて行ったけど、どうやら「仕事だから来い」って事らしい。
最後には諦めて行ってたけど、ああも名残惜しそうにされると……女として色々思うところがある。
相手は悪魔の人なんだけど、イージェルが言ってた通り子供が作れるんだよねぇ。
だったら何も問題がないと思うし、別に男相手と子供を作らなくてもいいかな? っていう気もしてる。
生まれて来るのがサキュバスでもインキュバスでも、私の子であるのは間違いないしね。
そう考えると、これから人間と悪魔で子供を作る人って増えるような……?
だって子供が出来なくて悩んでる人も居るしね。
そういう人なら………って思ったけど、悪魔の技術で不妊治療って出来ないのかな?
なんか出来そうな気もする。
その辺りの事を魔王様に伝えておいた方がいいかな?
私はイージェルを見送った後でSCCを出ると、急いで新宿のタワーマンションに戻る。
今日は橘君もお休みだし、魔王様も配信部屋に居る可能性が高い。
なのでさっさと新宿に戻った私は、タワーマンションの最上階へ。
私や橘君は襲われないように特殊な石を持たされている。
これを持っていると、何故か危険な植物や虫から襲われなくて済むんだよね。
この植物や虫達は何故か水だけで生きられるらしく、稀に人間を放り込むだけで済むみたい。
その人には御愁傷様だけど、死ぬ事はないって聞いて安心した記憶がある。
そもそも侵入者を殺さない為のトラップなんだから、死ぬ事もないのは当たり前だと言われたんだよね。
確かに思い出してみればそうだから何も言えないんだけど。
配信部屋に入った私は、開けた途端に魔王様の声が聞こえたので安堵する。
どうやら居てくれたらしい。
なので私はさっさと部屋に入って配信に映ったんだけど、橘君は馬で突っ込んでくる騎士のボスと戦っていた。
「お帰りなさい。SCCに行くって行ってましたけど、高く売れました?」
「橘君が良い装備をしていた頃と変わらないんじゃないかな?
それでも一度の探索では十分すぎるほどの収入だったよ。
新人の収入とは思えないくらい破格だったしね。
これからは売り出された装備を買って、早めに収支が改善する所に行けるんじゃない? 新人さんも」
「………」
魔王様が私の方を見て、若干険しい表情をしてる。
そんな表情をされたのは初めてだから、ちょっとビックリ。
私なんかマズい事した?
「あのー……私なにかマズい事でもしましたか?
何か険しい表情をしておられますが………」
「いえ。ちょっと発情したメスの臭いが濃いなと思っただけです」
「!?」
そういえばイージェルと散々シたのを忘れてた!
そのまま来たら変な臭いがするに決まってるじゃん。
しまったなぁ………今さら取り繕ったところで既に遅いし、どうするべきかな?
配信にだって乗っただろうし……
「既に「どういう事だ」という書き込みは沢山来てますよ?
さっさと観念して喋った方がいいと思いますけどね?
心が読めなくなっている事も含めて」
ああ、それで険しい顔をされたんだ。
となるとイージェルの契約は、魔王様が読めなくなるほど強いのか。
初めて知った。
「えー………イージェルと契約しました。
契約印は<卑欲の契約印>です。
なんでも私の体が魔力に馴染まない限り、進化は出来ないとの事でしたので……」
「イージェル………あやつはいったい何をやっておるのだ。
そなたと契約するというのも不思議だが、この臭いだからな。
そなたは手を出されたのであろう?
あやつは好みが偏っておるのと、自分が気に入った者は必ず丁寧にするのだ。
雑に精を奪うような事はせぬ」
「そうですね。
あの方ってお気に入りはじっくりと愛でる方ですし、そういう意味では主様と変わりませんか。
八重様への執着は似たような部分がありますし」
『それ以前にイージェルさんと七尾ちゃんがしてたってマジで?
色々と妄想が捗るんだけど、そこんとこ詳しく』
『先生、名前も隠さず何やってんですか?
それよりも夏コミに向けての本は描いてんでしょうね?』
『ワロタ。先生めっちゃ興味津々で聞いてる。
夏コミ差し替えで、まさかのイージェル×七尾本に変わるかも。
でもちょっと見てみたい』
『それってアウト? セーフ? どっちなんだ?』
「アウトに決まってるでしょう! なんで現実の人で描くんですか。
オリジナルか二次創作だけやってなさい!」
『まあ、確かに現実に居る人は駄目だわな。
イージェルさんは気にもしなさそうだけど』
「あの者ならば、むしろ描けと言い出しそうだがな?
自分が描かれている本がどのような物か気になるだろうし、気に入らねばアドバイスを始めそうな気もするぞ?」
「それはともかくとして、<卑欲の契約印>とは………。
また随分とアレな契約をしたものですね。
まあ、肉体の契約ですから、確かに魔力には馴染むでしょうが……」
「それで思い出したんですけど、イージェルが言うには<共魂の契約印>は限界を引き上げる契約だそうですよ?」
「は?」
魔王様が驚いているところを見るに、やっぱり知らなかったみたい。
となると本当に珍しい契約印なんだね。
「<共魂の契約印>は契約した相手の限界を引き上げるもので、身体能力が上がる物じゃないそうです。
代わりに限界が引きあがるので、橘君は人間以上の能力を持てるようになると言ってました。
ただし努力すればですけど」
「ああ、それで……」
「なにか心当たりが?」
「エルトアリアさんとの契約後も、実はあんまり変わった感じが無かったんですよ。
それでも強くなってるんだと思ってましたけど、限界が引きあがるって事だったとは……」
「反射神経とかそういった物も引きあがるみたいだから、努力次第で超人になれるかもね。
それよりもイージェルが魔王様に伝えてほしいと言っていました。
なんでも自分の知識を教えなければいけないって」
「イージェルの知識? ………どういう事だ?」
「なんでも魔王様は創られたらしいです。
その、イージェルと同じ村の長老達が、最強の悪魔を目指して様々にしたと。
あの村はその最強種を生み出す為の実験場だったそうで、イージェルもその為に創られた者でしかなかったそうです」
私がそう言うと、明らかに魔王様の機嫌が急降下した。
正直に言って、表情が変わってないのに物凄く怖い。
「我が実験で創られた者か………言われてみれば納得ではある。
そもそも我は突然変異のように力を持っているからな、おかしいと言えばおかしいのだ。
狂わされたのではなく、そもそも奴らが狂っていたとは。
……まあ、納得ではあるが」
魔王様の怖さが霧散したけど、漏れちゃいそうなくらい怖かった。
やっぱり魔王様は魔王様だって分かる。
「それにしても、イージェルは我の知らぬ事を色々と知っていそうだな。
アレが長老達に近づいているのは変だと思っていたが、やはり裏があったか。
あの長老達の悪辣さを知っておるのに、唯々諾々と従っておるのは明らかに変だ。
裏があったという方が納得できる」
「因子を細かく排除したり入れたりし、生まれた後も悪意を与える事で最強にしようとしていたと……」
「あの狂った連中ならやるであろうよ。
我の事も最後までそういう扱いであった。
あれが実験体を見る目であったと言われれば、納得しかないのだ。
そういう連中であった」
魔王様は溜息を吐きながら語ったけど、本当に碌でもないマッドサイエンティストだったみたいね。
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