0115
Side:橘八重
ドゴッ!
2SPを込めてブン殴ったら、至極あっさりと倒せた。
どうやらそこまで強くはないらしい。
やはり2つ目の地形程度では強いパペットは現れないようだ。
それは良かったが、それでも小さいので攻撃がし辛い。
小さな敵はこれがあるから厄介なんだ。
大きな敵は力が強く、耐久力も高いので簡単には倒せない。
小さな敵は攻撃が当たり難く、ちょこまか動くので簡単には倒せない。
やはりちょうどいい大きさの敵が一番簡単だ。
とはいえパペットが出て来るなら、戦うしかないんだけど。
「それにしても2SPで倒せるとはいえ、倒して得られるのは13SDか。
1SPで倒せるか試した方がいいな。
SPも出来得る限り節約しないといけないし、今日は金属バットだ」
小角杖ならSPを込めなくても倒せるだろうが、残念ながら金属バットじゃ駄目だ。
SPを込めなきゃほとんどダメージが与えられないし、そうなると長い時間を戦闘に費やす羽目になる。
どのみちパペットが出て来る所なんて長居は無用なんだから、さっさと先に進もう。
「13SDしかくれないモンスターと戦っても得なんて無いからな。
さっさと次の地形に行くのが一番良いんだけど、どっちに行けばいいんだ?」
俺は迷いながらも岩場をウロウロする。
その間にもパペットが岩の隙間から出てきたりするので倒し、その後もウロウロとしながら次の地形を探す。
大きな岩がゴロゴロしている地形なので迷ったが、それでも何とか色が変わっている地面を見つける事が出来た。
「俺の身長よりも大きい岩がゴロゴロしてるから、見通しが極めて悪いんだよな。
もっと小さな岩がゴロゴロしてるならいいんだけど………2つ目の地形としては難易度が高かったか?」
そんな言葉を口から出しつつ、俺は次の地形へと足を運ぶ。
そして地形が切り替わった際に見えたのは、またもや江戸のような町並みだった。
「おいおい、またかよ。
まさか、またあの忍者達じゃないだろうな?
もしアレが出て来たら即座に帰るぞ。
この装備じゃ絶対に勝てない」
そう、科学忍者隊もそうだが、あれは優秀な装備があったから勝てただけで、今の装備なら絶対に勝てない相手だ。
とはいえSD濃度が無い装備だけなので、流石にあの創作忍者が出て来る事は無いと思う。
というか思いたい。
「とりあえず真っ直ぐ歩くんだけど、さっそくモンスターが現れたか………」
「「「御用だ! 御用だ!」」」
何故か目の前には提灯と十手を持った連中が居る。
同心? 岡っ引き? それとも別の名前だっけ?
よく分からないけど、時代劇にも登場する兵士みたいな奴ら。
それが目の前に居る。
何か大量に居て「御用だ!」としか言わない連中、そんな連中が出て来る地形だったようだ。
良かった、良かった。
数は多いものの、あの創作忍者に比べれば遥かにマシだろう。
色々な意味で。
提灯を持ったまま、右手の十手で殴りつけようとして来たので後ろにかわす。
そして前へと出ようとするものの、左のヤツが攻撃をしてきた。
なので敵の外側、つまり左へとかわす。
これで右のヤツはこちらに攻撃し辛くなった。
なので、ここからは反撃だ。
俺は素早くコンパクトに金属バットを振り、2SPで頭をカチ割った。
どうやらこれで十分らしいので、俺は再び攻撃してきた真ん中のヤツから距離をとる。
すると右のヤツが踏み込んで攻撃したので、盾で防いで反撃の一撃を頭にくれてやった。
これで残りは1体。
俺は敵の十手を防ぐと、頭に1SPで攻撃を叩き込む。
しかし後退するだけで倒す事は出来なかった。
どうやらこいつは2SPが必要ならしい。
俺は再び攻めて来た敵の攻撃を防ぎ、冷静に1SPでの一撃を頭に加えて倒した。
やはり倒すには2SPが必要なようだ。
仕方がないとはいえ、数も多そうだしSPの消費が一気に増えそうな場所だな。
「何ていう敵か知らないけど、あの下っ端は2SPが必要か。
一気に減りそうで厄介だが、頑張るしかない」
俺は気合を入れると進んで行き、再び3体の連中と戦う。
岡っ引きは違うだろうし、同心って普通に着物を着て大小二本差しをしてるイメージだ。
この提灯持ちの下っ端は何て言うんだろう? 下らない事だけど何故か気になる。
とはいえ分からないんだから考えても仕方ない。
それに戦闘中に考える事でもないので横に置く。
先程と同じく1体ずつ順番に倒せば、そこまで強い相手でもない。
なので複数の敵に慌てないようにする為の訓練みたいな感じだ。
敵が持っているのも十手であって、殺傷能力は低い。
だからこそ冷静に戦えると言う部分はある。
「複数との練習には最適だけど、入手SDが18か………流石に少ないな。
とはいえ金属バットとポリカーボネートの盾じゃ仕方ない。
この装備で大量のSDをくれるモンスターとは戦えないし、死ぬよりはマシだ」
そう納得しつつ長屋の扉を開けたりしながら進み、地形の路が変わっている場所を発見した。
流石にウロウロとさせられたが、それでも迷うという事はなかったのは助かる。
「さて、次の地形だが…………マジか、これはマズい」
俺は次の地形を見て、思わず顔を引き攣らせた。
基本的に人間は人間が知っている地形やモンスターが登場する事が多い。
極稀に悪魔の人達の知識の地形が出て来たりもするが、大半は人間のだ。
しかし今見えているのはそのどちらでもない。
つまりどこか全く別の宇宙か何かの者の知識の中だと思われる。
っていうか、浮いているというか、飛んでいる家らしき物はなんなんだろう?
……っていうか家が飛ぶとかおかしくない?
「どう考えても嫌な予感しかしないけど、こういう所に落ちている物は珍しい物が多いんだよなー」
そう、別の星の知識だからか、今の地球じゃあり得ない意味不明な物が見つかったりするんだ。
だからこそ、こういう場所は<発掘地形>とも呼ばれてる。
出来る限り様々な場所を調べて、何かないかと探らなきゃいけない地形。
「そろそろ帰ろうかと思ってた矢先にこれじゃ、探るしかない。
そういう意味でもマズいな。
戻った後の俺は大丈夫だろうか?」
自分の体が心配になるが、今さら心配しても始まらない。
<発掘地形>に来てしまったものは仕方ないし、探していくに限る。
俺だって色々な物を持ってるけど、それでも新しい物は欲しいしな。
せめて自分の手で良い物は手に入れたい。
そう思って平原をウロウロするも、落ちている物は全く見当たらない。
平原なのでよく見えるし、なので落ちていないのもよく分かるんだ。
となると怪しいのは空を飛んでいる家なんだが………どうすりゃいいんだろう?
どうにもならないので地面を手当たり次第に調べていく。
ウロウロしながらも必死に調べていると、落ちている枝が目に入った。
平原に枝? と思って見ていると、ARにSD濃度6、異界浸食率37%と表示される。
「この枝が何かに使えるのか?
SD濃度が6で異界浸食率が37%と、異界浸食率が異様に高いけど………でも、この短さじゃなぁ。
まるで魔女のアニメで魔法を使う時のヤツみたいだ」
短いヤツはワンドって言うんだっけ?
なんかキラキラしたのが出て魔法が使われるって感じのヤツ。
祖父母の家で再放送してたのを見た事があるよ。
何が面白いのか俺にはサッパリ分からなかったけど。
「アニメでもこうやって振りながら魔力を込めて魔「バシュッ!」法を使ってたり………」
今、なんか出たな?
………これ、もしかしなくても遠距離武器か?
「もしかしてこれ魔法が出るのか?
こうやってSPを込めると……「バシュッ!」……やっぱりか」
枝の先から赤とオレンジの間のような色の弾? が飛んで行く。
もしや魔力を込めるほど威力が上がるんだろうか?
俺は試しに飛んでいる家を狙って、100SDを篭めてみた。
バシューーン!! ………ドゴォン!!!
「………これは酷い」
家の下の方にブチ当たったバレーボールくらいの弾は、爆発して家を落とした。
どうやら家の真下に推進機か何かが付いていたらしく、それが壊れたので落下するしかなくなったようだ。
ドガァァァァァン!!!
「うわぁ、これ虚界とか地球で使っちゃいけないヤツだな。
………エルトアリアさんに預けたら複製か改良してもらえる?
ちょっと考えた方がいいかもしれない」
思っている以上に強力な武器が出来そうな気がするぞ?




