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 Side:橘八重



 ドゴッ!


 2SPを込めてブン殴ったら、至極あっさりと倒せた。

 どうやらそこまで強くはないらしい。

 やはり2つ目の地形程度では強いパペットは現れないようだ。


 それは良かったが、それでも小さいので攻撃がし辛い。

 小さな敵はこれがあるから厄介なんだ。


 大きな敵は力が強く、耐久力も高いので簡単には倒せない。

 小さな敵は攻撃が当たり難く、ちょこまか動くので簡単には倒せない。

 やはりちょうどいい大きさの敵が一番簡単だ。

 とはいえパペットが出て来るなら、戦うしかないんだけど。


 「それにしても2SPで倒せるとはいえ、倒して得られるのは13SDか。

 1SPで倒せるか試した方がいいな。

 SPも出来得る限り節約しないといけないし、今日は金属バットだ」


 小角杖ならSPを込めなくても倒せるだろうが、残念ながら金属バットじゃ駄目だ。

 SPを込めなきゃほとんどダメージが与えられないし、そうなると長い時間を戦闘に費やす羽目になる。

 どのみちパペットが出て来る所なんて長居は無用なんだから、さっさと先に進もう。


 「13SDしかくれないモンスターと戦っても得なんて無いからな。

 さっさと次の地形に行くのが一番良いんだけど、どっちに行けばいいんだ?」


 俺は迷いながらも岩場をウロウロする。

 その間にもパペットが岩の隙間から出てきたりするので倒し、その後もウロウロとしながら次の地形を探す。

 大きな岩がゴロゴロしている地形なので迷ったが、それでも何とか色が変わっている地面を見つける事が出来た。


 「俺の身長よりも大きい岩がゴロゴロしてるから、見通しが極めて悪いんだよな。

 もっと小さな岩がゴロゴロしてるならいいんだけど………2つ目の地形としては難易度が高かったか?」


 そんな言葉を口から出しつつ、俺は次の地形へと足を運ぶ。

 そして地形が切り替わった際に見えたのは、またもや江戸のような町並みだった。


 「おいおい、またかよ。

 まさか、またあの忍者達じゃないだろうな?

 もしアレが出て来たら即座に帰るぞ。

 この装備じゃ絶対に勝てない」


 そう、科学忍者隊もそうだが、あれは優秀な装備があったから勝てただけで、今の装備なら絶対に勝てない相手だ。

 とはいえSD濃度が無い装備だけなので、流石にあの創作忍者が出て来る事は無いと思う。

 というか思いたい。


 「とりあえず真っ直ぐ歩くんだけど、さっそくモンスターが現れたか………」


 「「「御用だ! 御用だ!」」」


 何故か目の前には提灯と十手を持った連中が居る。

 同心? 岡っ引き? それとも別の名前だっけ?

 よく分からないけど、時代劇にも登場する兵士みたいな奴ら。

 それが目の前に居る。


 何か大量に居て「御用だ!」としか言わない連中、そんな連中が出て来る地形だったようだ。

 良かった、良かった。

 数は多いものの、あの創作忍者に比べれば遥かにマシだろう。

 色々な意味で。


 提灯を持ったまま、右手の十手で殴りつけようとして来たので後ろにかわす。

 そして前へと出ようとするものの、左のヤツが攻撃をしてきた。

 なので敵の外側、つまり左へとかわす。


 これで右のヤツはこちらに攻撃し辛くなった。

 なので、ここからは反撃だ。


 俺は素早くコンパクトに金属バットを振り、2SPで頭をカチ割った。

 どうやらこれで十分らしいので、俺は再び攻撃してきた真ん中のヤツから距離をとる。

 すると右のヤツが踏み込んで攻撃したので、盾で防いで反撃の一撃を頭にくれてやった。


 これで残りは1体。

 俺は敵の十手を防ぐと、頭に1SPで攻撃を叩き込む。

 しかし後退するだけで倒す事は出来なかった。

 どうやらこいつは2SPが必要ならしい。


 俺は再び攻めて来た敵の攻撃を防ぎ、冷静に1SPでの一撃を頭に加えて倒した。

 やはり倒すには2SPが必要なようだ。

 仕方がないとはいえ、数も多そうだしSPの消費が一気に増えそうな場所だな。


 「何ていう敵か知らないけど、あの下っ端は2SPが必要か。

 一気に減りそうで厄介だが、頑張るしかない」


 俺は気合を入れると進んで行き、再び3体の連中と戦う。

 岡っ引きは違うだろうし、同心って普通に着物を着て大小二本差しをしてるイメージだ。

 この提灯持ちの下っ端は何て言うんだろう? 下らない事だけど何故か気になる。


 とはいえ分からないんだから考えても仕方ない。

 それに戦闘中に考える事でもないので横に置く。


 先程と同じく1体ずつ順番に倒せば、そこまで強い相手でもない。

 なので複数の敵に慌てないようにする為の訓練みたいな感じだ。

 敵が持っているのも十手であって、殺傷能力は低い。

 だからこそ冷静に戦えると言う部分はある。


 「複数との練習には最適だけど、入手SDが18か………流石に少ないな。

 とはいえ金属バットとポリカーボネートの盾じゃ仕方ない。

 この装備で大量のSDをくれるモンスターとは戦えないし、死ぬよりはマシだ」


 そう納得しつつ長屋の扉を開けたりしながら進み、地形の路が変わっている場所を発見した。

 流石にウロウロとさせられたが、それでも迷うという事はなかったのは助かる。


 「さて、次の地形だが…………マジか、これはマズい」


 俺は次の地形を見て、思わず顔を引き攣らせた。

 基本的に人間は人間が知っている地形やモンスターが登場する事が多い。

 極稀に悪魔の人達の知識の地形が出て来たりもするが、大半は人間のだ。


 しかし今見えているのはそのどちらでもない。

 つまりどこか全く別の宇宙か何かの者の知識の中だと思われる。

 っていうか、浮いているというか、飛んでいる家らしき物はなんなんだろう?

 ……っていうか家が飛ぶとかおかしくない?


 「どう考えても嫌な予感しかしないけど、こういう所に落ちている物は珍しい物が多いんだよなー」


 そう、別の星の知識だからか、今の地球じゃあり得ない意味不明な物が見つかったりするんだ。

 だからこそ、こういう場所は<発掘地形>とも呼ばれてる。

 出来る限り様々な場所を調べて、何かないかと探らなきゃいけない地形。


 「そろそろ帰ろうかと思ってた矢先にこれじゃ、探るしかない。

 そういう意味でもマズいな。

 戻った後の俺は大丈夫だろうか?」


 自分の体が心配になるが、今さら心配しても始まらない。

 <発掘地形>に来てしまったものは仕方ないし、探していくに限る。

 俺だって色々な物を持ってるけど、それでも新しい物は欲しいしな。

 せめて自分の手で良い物は手に入れたい。


 そう思って平原をウロウロするも、落ちている物は全く見当たらない。

 平原なのでよく見えるし、なので落ちていないのもよく分かるんだ。

 となると怪しいのは空を飛んでいる家なんだが………どうすりゃいいんだろう?


 どうにもならないので地面を手当たり次第に調べていく。

 ウロウロしながらも必死に調べていると、落ちている枝が目に入った。

 平原に枝? と思って見ていると、ARにSD濃度6、異界浸食率37%と表示される。


 「この枝が何かに使えるのか?

 SD濃度が6で異界浸食率が37%と、異界浸食率が異様に高いけど………でも、この短さじゃなぁ。

 まるで魔女のアニメで魔法を使う時のヤツみたいだ」


 短いヤツはワンドって言うんだっけ?

 なんかキラキラしたのが出て魔法が使われるって感じのヤツ。

 祖父母の家で再放送してたのを見た事があるよ。

 何が面白いのか俺にはサッパリ分からなかったけど。


 「アニメでもこうやって振りながら魔力を込めて魔「バシュッ!」法を使ってたり………」


 今、なんか出たな?

 ………これ、もしかしなくても遠距離武器か?


 「もしかしてこれ魔法が出るのか?

 こうやってSPを込めると……「バシュッ!」……やっぱりか」


 枝の先から赤とオレンジの間のような色の弾? が飛んで行く。

 もしや魔力を込めるほど威力が上がるんだろうか?


 俺は試しに飛んでいる家を狙って、100SDを篭めてみた。


 バシューーン!! ………ドゴォン!!!


 「………これは酷い」


 家の下の方にブチ当たったバレーボールくらいの弾は、爆発して家を落とした。

 どうやら家の真下に推進機か何かが付いていたらしく、それが壊れたので落下するしかなくなったようだ。


 ドガァァァァァン!!!


 「うわぁ、これ虚界とか地球で使っちゃいけないヤツだな。

 ………エルトアリアさんに預けたら複製か改良してもらえる?

 ちょっと考えた方がいいかもしれない」


 思っている以上に強力な武器が出来そうな気がするぞ?


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