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 Side:七尾はる



 私は出て来た野村将〇こと<柘〇の飛猿>を倒して一息吐く。

 流石に忍者繋がりといっても、ここは色々とおかしい。

 最初がアニメだったからアニメ繋がりなら分かる。


 そう予想していたのに、何故か時代劇の忍者まで出てきた。

 明らかにここはおかしいし、あり得ない。


 もちろん異界の中なんだから何でもアリなのは分かる。

 しかしそれにしても変というか、明らかに今までの知識にある異界じゃない。


 「そういえば橘君が前にさ、SD濃度が高い武具を着けてると、早くモンスターが強いエリアに行かされるって言ってたでしょ?

 その結果がこのおかしな忍者繋がりのエリアなのかも。

 そう考えると納得は出来なくもないのよ」


 「SD濃度が高い武具を身につけていると、確かに早く強力なモンスターが出て来るんですよね。

 実際に前回は3エリア目でヴァンパイアでしたし、今回の方がマシなくらいです。

 それでもおかしな忍者が出てきてますし、取得SDは多いですけどね。

 さっきのなんて712でしたよ」


 「私の方は<風〇の弥七>が698、<柘植の〇猿>が711ね。

 本当に取得SDが多いけど、それでも勝ててるのは武具の御蔭かしら? もしくは経験の御蔭?」


 「両方じゃないですか? 武具が良いだけで勝てるほど甘くないと思います。

 新人だとSPもすぐに尽きますし、そうなると強いモンスターに殺されますよ。

 収入は多いかもしれませんが、自分の命を賭けたギャンブルになりかねません」


 「そうね。流石にそれはマズいわ。

 売り出されたっていうSD濃度5の棒なら分かるけど、それ以上は新人が持たない方がいいわね。

 既に遅いかもしれないけど」


 「それは仕方ないと思います。

 最後は自己責任が異界探索者ですし、それも講習で教えられますからね。

 言葉は悪いですけど、調子に乗ったのが悪いとしか言えません。

 それよりも、さっさとここを抜けましょう。

 忍者だらけは面倒です」


 「そうね。

 おかしなのが出てきかねないから、さっさと抜けましょう。

 螺旋〇とか使うヤツが出て来ても問題だしね」


 あの有名な忍者漫画がまだ出てきていないところが怖いのよね。

 特に砂のヤツとか出て来たら最悪だから、出来るだけ早く突破したい。

 ゲームが元ネタでも厄介なのが多いし、忍者は面倒で仕方ないから御免よ。




 私達は横道など無いエリアを真っ直ぐ前に向かって歩いていく。

 何故このエリアに横道が一切無いのか分からないけど、橘君が真っ直ぐ前に歩いている以上は、道は間違っていないはず。

 って、何か出て来、た?


 「「………………」」


 「オーウ! フジヤーマ! ゲイシャ! そしてミーはニンジャデース!!

 HAHAHAHAHAHAHAHA!!!」


 何だろう? 元ネタは私も分からないけど、超濃いのが現れたわね。

 見えている肌は黒いから、おそらく黒人なんでしょうけど………こんなキャラ居た?

 とはいえ敵を侮るのはいけないわね。すでに橘君は盾を構えてるし。


 「チョット待つデース!! ミーは敵ジャナイネ!

 ミーはアメリカ海兵隊、マイケル・リフォール曹長ヨ!!」


 「は? アメリカ海兵隊? ………アメリカ人!?」


 「ソウデース! HAHAHAHAHAHA!!!」


 なんでこんな濃いキャラのアメリカ人に異界の中で会うのかしら?

 そもそもだけど、何で忍者繋がりのエリアで、上半身裸のNINJAの恰好をしてるのよ。

 明らかにおかしいでしょうが!


 「しかしマイケルさん? よくここまで来れましたね。

 ここのモンスターは相当に強いでしょうに」


 「大丈夫ヨー! ミーは海兵隊の中デモ強いネ!

 ダカラ、ステイツからコレ与えられたヨ!!」


 「もしかして、その刀って良い装備なんですか?」


 「ソウヨー、コレSD141! スゴイネー!!」


 「SD濃度141!? それは凄い。

 流石は大量の人が異界に入ってるアメリカ、装備も凄いのが与えられるんですね」


 「ノーノー! ソレハ海兵隊の猛者、ミーだけネ。

 ミーはプレジデントからシークレット………コレイジョウハ駄目デース!

 HAHAHAHAHAHA!!」


 「大統領から秘密命令を受けてるって事ね。

 まあ、私達は民間人だから言われても困るし、聞きたくも無いから聞かないわ。

 それより私達は先に進みたいんだけど、いいかしら?」


 「ドウゾー! ミーは気になったカラ、コエカケタ! ソレダケネー!!」


 「じゃあ、すみませんが、これで失礼します」


 「バイバイネー! ガンバッテ!!」


 そう言って黒人のエセ忍者、マイケルとすれ違う形で別れたけど…………橘君は気づいたかしら?


 「さっきのマイケルさん、実際には相当強いですよね?

 なんか妙な風格というか、プレッシャーを感じましたよ。

 あんな軽そうな感じだったのに」


 「っていうか、あのエセ日本語。あれ多分だけどワザとよ。

 あの人っておそらく普通に日本語を喋れると思う。

 でも片言の日本語しか喋れないようにキャラを作ってるんでしょうね。

 大統領からの秘密命令とか言われても私達には本当の事か分からないし、十中八九は嘘でしょ」


 「アメリカだって日本と同じく記録動画が出回りますからね。

 軍人なら迂闊(うかつ)な事を喋ったりなんてしないでしょう。

 大統領の秘密命令だって、装備はきちんと返却しろっていう命令かもしれませんしね。

 そうしたら嘘なんて吐いてないですし」


 「ええ。そういう事を平気で言いそうな感じだったわ。

 だいたい兵士である以上は情報の取り扱いなんてしっかり教えられるでしょう、訓練で。

 こんなところで失言するようなマヌケじゃないわよ」


 どう考えたってプロの軍人が失言するなんて事は無いでしょう。

 むしろああいう軽い口調の日本かぶれって事にして、煙に巻こうって魂胆ね。

 ただし私達は戦う訳にもいかないし、いちいちツッコんだりはしないわ。

 プロの軍人なら殺す時はあっさり殺すでしょうし、そんな危険人物を敵には回せない。


 その後も橘君と歩いていくものの、先程のマイケル氏が倒していたのかモンスターはおらず地形の色が変わっている場所まで辿り着いた。

 やれやれ、ようやく先に進めるわ。

 色々な意味で忍者の地形はもう御免よ。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:マイケル・リフォール



 しまった………咄嗟に口から出たのが、あんなマヌケを装う事だったなんてな。

 仲間に知られたら大爆笑されるに決まってるし、動画が流れたら家族にすら笑われる。

 とはいえ適当に誤魔化す事が出来たのは良かった。

 まさか異界の中で日本人に会うとは思わなかったからな。


 予想外の出来事の所為でおかしな事になったが、結果としては悪くない。

 まさか自分のような国から最も良い装備を与えられている者と同じエリアに、日本の一般人が来ているとは思わなかった。

 アレが誰なのかは知らないが、態度や雰囲気から一般人なのは間違いないだろう。


 細かい事は上層部が判断するからどうでもいいとして、また彼らに会う事があれば同じキャラを装うしかないな。

 できれば二度と会いたくないが、どうなる事やら………っと、モンスターのお出ましか。


 「とぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 「アマイデースネ!! っと、いつまでやる気だ、オレは」


 相手のジャンプキックを避けて一撃を加える。

 多少のSPを篭めるだけで勝てるのはありがたいが、この刀やズボンにマスクの所為で強いモンスターのエリアに来るのが早い。

 困った事に他の奴らが戦えないから、今日もオレ一人だ。


 軍人って一人で無双するヤツの事じゃないんだけどな?


リアクションありがとうございます

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