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Side:橘八重
「アヴロ・デア・ウルム・ドゥ・ルルム・オセ・アグ」
俺は【火弾】の魔法を使って<白>を焼き殺した。
というか、【火弾】の魔法に当たるとあっさりと燃えあがって消えていく<白>。
いったい何で出来ているのか気になるけど、そこは気にしても無駄か。
消費SDは大凡100で、取得が224。
差し引きはプラスだ。
「私の【水弾】の魔法だと落とすだけで、一撃で倒すのは無理なのよねえ。
代わりにSDを25しか使わない優れものなんだけど」
「消費が25というのは少ないですね。
俺の方は100も消費しますよ。
代わりに一撃で倒せてますけど、取得が224なので利益は124です。
【水弾】の方が儲かりますし、いいのでは?」
「そうね。
落とした後の一手間があるとはいえ、儲けが大きい方がいいもの。
異界探索者はどこまでいっても個人事業主だし、なるべく沢山儲けないと厳しいのよね。
それでも異界探索者以外の個人事業主よりは優遇されてるけど」
「SDを持って帰ってこないと、発電や車の燃料に困りますからね。
インフラを支えている以上は優遇せざるを得ないでしょう。
そもそも異界探索者は命を懸けてますし、危険手当込みだと考えると妥当だと思いますよ」
「まあ、命の危険は本当に大きいものね。
ここでは敵モンスターが殺しにくるし、地球ではそんな事は無いもの。
命の危険があるってだけなのと、積極的に敵が殺しに来るのは同じじゃないわ。
一般の人には分かり難いのかもしれないけど」
「よっと。アヴロ・デア・ウルム・ドゥ・ルルム・オセ・アグ。
……すぐに他も同じだとか、お前達も我慢しろとかいう人が居るんですけど、だったらあんたらも我慢しろよとしか思いませんしね。
自分が苦しいと発狂するように暴れる癖に、他人には我慢を強いる人って本当に多いです」
こんなに暢気に会話が出来るのも2人で攻略してるからであり、やっぱり1人より2人だと改めて思う。
単純に手数が倍だし、敵の攻撃は分散する。
自分が守ってても、もう片方が倒してくれるんだから楽なもんだ。
ここまで楽ならチームを組むのも当たり前だと思うけど、チームだと分配に揉めるんだよな。
異界では倒した人がSDを吸収するけど、わざと弱ったヤツを倒してSDを掻っ攫ったりする事があるらしい。
それもあって募集チームはよく揉めるんだそうだ。
募集チームっていうのは、ネットなんかでチームメンバーを募集して探索するやり方の事だ。
お互いにあまり知らない者同士で組むので危険が大きいし、それゆえにギスギスする事が本当に多い。
そういう動画もよくあると聞く。
「そうなんだけど、募集は募集で面白いところもあるのよ。
固定チームは嫌いと言いながら、いつも同じメンバーで集まってる子達とかね。
野良を見てるのも、それなりに楽しかったりするから」
そういうのを楽しむなら分かるけど、他人がギスギスしているのを見て楽しむのは分からない。
悪魔の人達がそれを見て楽しむなら分かるんだけどね。
そもそも悪魔だし。
「ここで地面の色が変わってますので、ここからが次の地形です。
じゃあ、行きましょうか」
タイミングを合わせて足を踏み出し、七尾さんと同じ地形へと進む。
次の地形は………町中?
しかもこれ江戸時代の町中か? なんで?
「なんか太秦映画村みたいな所ね?
どこかから忍者が出てきそうだけど、これが冗談じゃないから困るのよ。
さて、出てくるとしたらどのタイプかしら?」
「忍者には複数種類があるんでしたっけ?
間違った遁術の忍者。
何故か手裏剣を無限に投げて来る忍者。
抱き着いて自爆しにくる忍者。
そして頭巾以外が真っ裸のNINJA」
「最後だけ日本人が行く所には出て来ないのよね。
海外、特にアメリカでは頭巾以外が全裸のNINJAが登場するけど、あれ間違いなく某ゲームの所為だと言われてるわ」
「某ゲームですか?」
「橘君じゃないけど、何も装備してないNINJAが最強かそれに近いゲームがあるのよ。
そのNINJAって服も着てなくて裸なんじゃないの? って昔から言われてるわ。
全裸忍者とかね」
「全裸忍者って、それもう普通の変質者では?
頭巾をしているなら余計におかしいですし、これで靴下だけ履いてたら紛う事なき変態ですよね」
「頭巾と、靴下っていうか足袋ね。確かにその装備だけなら完全に変態だわ。
おそらくそんな事は無いでしょうけど、某有名RPGの忍者も十分におかしいのよね。
片や真っ赤な服の忍者だし、片やおかしな遁術を使うし」
遁術の遁っていうのは逃げるとか避けるという意味になる。
つまり火遁の術とは火から逃げたり避けたりする事であり、火を放ったりする術じゃない。
にも関わらず、何故か忍者の火遁は火を放つんだよね。
不思議だけど。
「そうそう。水遁だって水の中に潜って息を潜めたりなのにね。
何故か水攻めの如く大量の水が出て来るし、土遁に至っては何故か土に潜るのよ。
それは水遁でしょうに」
「もう何でもアリですし、よくよく考えれば江戸時代の創作忍者である自来也が既にアレですもんね。
蛙とか呼び出しますし」
「大蝦蟇の術とかいうヤツね。
っていうか江戸時代からそれなら、現代の私達の所為じゃないでしょ。
完全にご先祖様から続くものじゃない。
って忍者が来たけど、冗談でしょ!?」
目の前には白いマントを翻す男が現れた。
何故か赤いバイザーのような物を付けてるけど、アレどう考えても創作の忍者じゃん!!
俺でも何となくで知ってるよ!!
「なんで忍者は忍者でも、科学忍者隊なのよ!!
明らかにおかしいでしょうが!!」
言いたい事は分かる。
しかも出て来たのは何故かリーダーの赤だし、明らかに出て来る忍者がおかしい。
そのうえ周りの地形は江戸時代っぽい見た目なんだよ。
なんでここにガ〇チャマンが出て来るんだ? 明らかに合ってないだろ。
「とあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ドガァン!! ……ズザーーーッ!!
早速とばかりに飛び上がったけど、空中で超加速してのラ〇ダーキックだった。
っていうか、どっちの方が古いんだろう?
俺は詳しくないから分からないけど、分からなくても別にいいか。
「とりあえず、せいっ!!」
ドゴン!!
俺が盾で防ぐも下がらされたが、七尾さんがガッ〇ャマンの頭を殴って倒してくれた。
やれやれとは思うけど、こいつも狼男ばりに強い気がする。
「SDは………686? 凄く多いわね。
となるとさっきのジャンプキック、普通の盾なら壊されて死んでたと思う。
異界の中だとSD濃度とか魔力が大事だけど、さっきのキックは相当に魔力が篭もってたんじゃないかしら?」
「篭めたSPは10ぐらいですが、このスパイクシールドはSD濃度で152もあるんですよね。
だからキックの威力の正確なところは分かりません」
「152であれだけ下がらされる事を考えると、相当に厄介な強さをしてるわね。
流石は<大鷲〇健>って感じかしら?
無鉄砲に飛んでくるところはどうかと思うけど、原作でも何度かそんな事があったような……?」
「っていうか、七尾さんは見た事あるんですか?
俺はまったく見た事なくて、ネタ画像をチラリと見た事があるくらいですけど」
「そういえばネット上に転がってるわね。
管理人をしてた時にね、暇な時間はネット契約したチャンネルでアニメとかを見ていた事がよくあったのよ。
それと掲示板ぐらいしか暇つぶしが無かったの、いつ連絡があってアパートに行かなきゃいけなくなるか分からなかったし」
ああ、そういえば休みなのに来る事とかあったっけ?
あれ区役所から連絡を受けて動いてたのか。
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