第50話『ストップストッープ!』
(ここで一人目の巨悪『予測不能脳筋』はここで消す)
(先ずは一人)
(ソーン、あなたの笑顔がこれで少しでも増える事を祈って)
「絶死の弾丸」
バチバチッ!
バチンッ!
紫電が銃口に集約され眩しいほどに光る。
最大の魔力を銃弾に込めルドル目掛けて引き金を引く。
その刹那
「氷龍柱」
パキパキッ
パキンッ
リエルの氷龍がミリティスの腕から指先の動きを喰らい止める。
「させないわ」
!?
目の前のルドルと心の中のソーンに集中のあまり、周りが見えなくなっていたミリティス。
「く、新手の巨悪」
シュッ
後ろへ飛び距離を取る。
「へへ、助かったぜ」
「別に私はアンタを助けに来たわけじゃないわ」
「あの女に用があるの」
ミリティスとルドルの間に入るようにして立つリエルは、ミリティスから目を離さずに話た。
「大丈夫か!ルドル!」
ソーンが起き上がれない程に疲弊したルドルのそばに寄り、上体を起こす。
「面目ねぇ、新しい技についテンションが上がって全力を出し続けちまった」
「また新技!?進化が止まらないなホントに」
「当たり前だろ!なんべんも言わすな!俺はソーンの横に立つ男だぞ!」
(いやいや、もうだいぶ先を歩いてる気がするぞ?)
「ハハ、まぁ無事で何よりだ」
「立てるか?」
「ああ」
肩を貸しゆっくりと立ち上がる。
「ソーン!」
リエルが声を上げる。
「これから“マジ”になるから」
「二人で避難しておいてね」
「…マジに」
ドワァ…
冷気が大量に溢れ出した。
「ルドルを安全な所に避難させたら俺も戻ってくる!」
いそいそとその場を離れる二人。
「あいつ何をそんなに怒ってるんだ?」
「……俺にもそれが分からん」
「多分何かを勘違いしてるんだと思う」
「勘違い?」
「うん」
凄さ離れた木陰で休ませると、何でこうなったのか考えながら話を始めるソーン。
「彼女はミリティスと言う人で昨日の夜知り合った」
「確かに名前呼んでたし、結構な知り合いみたいだったよな」
「それでリゴンのお酒を教えてもらって、パーティーを組みたいって言われて」
「パーティーを!?あんな強いねーちゃんいいじゃんか!かっこいい武器も持ってるしよ!」
「いや、でも断ったんだ」
「まじかよ!何でだよ!?」
疲労はどこにいったのか、驚きで興奮するルドル。
「俺が一人だと思ったみたいでさ、もう俺パーティー組んでたから」
それで断るのが当然だろ?と言わんばかりに真顔ね答える。
「でもそれで怒ることもないだろー?」
「それはその通りだな」
ルドルと二人で思考を巡らせる。
なぜこんな事になっているのか…
バンバンッ!!
ドゴォーン
サァーーッ
ピュンピュンッ
ザクザクッ!
向こうでは二人の女性が大いに争い散らかしていた。
「とりあえず、本人に聞くのが一番か…」
「それだな!」
「戻るよ、ルドルはここで安静にな」
「おう、高みの見物でもしてるわ」
軽く手を上げ緊張感なくソーンは愛と嫉妬が渦巻く、女達の戦場へと足を運んだ。
(リエルはきっと仲間を傷付けられたのが嫌だったんだろうけど)
(ミリティスが謎だ…)
(早く仲直り?してくれーーー)
「はぁはぁ、アンタなかなかやるじゃない」
(この巨悪もまた一筋縄ではいかないな…)
リエルの最速魔法に同等の速度で魔弾を撃ち込み相殺しあっていた。
壮絶な撃ち合いでお互いに疲労がたまってきていた。
「あら、だんまり?もう疲れちゃったの?私は余裕だけど?」
「疲れたなら降参してさっさと田舎に帰りなさい!」
杖を向け威勢良く言葉をぶつける
「フッ」
シャコッ
ガチャンッ
小馬鹿にするように嘲笑い、銃弾を込める。
「何よその笑い!アッタマ来た!!!」
「ホントに潰すわ」
ミリティスは銃をクイクイと動かし、かかってこいと煽る。
「氷龍柱ー双ー!」
生み出された二本の龍の柱がミリティスの両足を捉え、身動きを封じた。
ドンッ!
リエルは杖を立てる。
「氷龍槍!」
鋭い氷の刃が生成され、杖は氷の槍と化した。
フォンフォン
ジャキ
クルクルと回して見せ構える。
「これで終わりね」
「ミラー家の槍術は甘くないわよ!」
ダンッ!
力強く踏み込みミリティスとの間合いを詰める。
クルクル
ジャキッ
「この程度の氷で私を止める?」
「考えは甘いみたいだな」
シュウィーン。
橙色に魔力が銃口を染め足元の二つの氷龍に銃を向ける。
「炸裂の弾丸」
バンッ!
バンッ!
的確に氷龍だけを狙い撃つ。
バキッ
バリンバリンッ!
二つの氷龍は内側から砕け跡形もなく散った。
続けてリエルの前方にも撃ち込む。
バンバンッ!
バンバンッ!
バゴーンッ!
地面を抉る様に銃弾は破裂し舞い上がった土煙で姿を隠す。
タタタッ!
フォンッ!
槍を振り風を起こし土煙を払う。
「土煙なんて無駄よ!」
ダキンッ!
柄を地面に押し当てその勢いを利用し高く飛ぶ。
その先にはミリティスの影が薄っすらとあった。
「くらいなさい!《氷龍一槍》!」
ズォーーンッ!
天高く舞い上がったリエルは渾身の力でミリティス目掛けて飛ばす。
空気を切り土煙は大きく穴を空け、そこには氷の細かい結晶が舞う。
スタッ!
「やった!?」
真っ直ぐに突き立った槍が貫いていたのは、またしても投影されたミリティスだった。
ジジ…
「なによこれ!偽物…!?」
背後に強い殺気だった雰囲気を感じだった。
「この状況で丸腰になるなんて戦術としていいのか?」
「…は!」
バチバチッ!
「今度こそ一人目だ」
「絶死のーー」
「ちょっと待ったー!ストップストッープ!」
割り込んできたのはソーンの声だった。
「「!?」」




