第48話『これからどうなっちゃうのか…』
拠点の周りに鳴り響いた銃声。
辺りの動物達は一斉に動き出した。
「これで巨悪は後二人だ」
ルドルに見向きもせずそう呟き、リエルとリンビアを探しに行こうとするミリティス。
ソーンは何も言わない。
それは視えていたから。
そして分かっているから。
そして何より、現状の把握の為。
「いってぇ…」
「…ん?」
声の主はたった今、頭を“撃ち抜いた”男だった。
「なぜ!?確実に撃ち抜いた…はず…」
「最上だな…!俺ーー!!」
吠えるように大声をあげた。
ーーー
ルドルは“鍛練”と“自信“と“実戦”で実力を上げていくタイプだった。
ー実家の道場で鍛練を積み
ー鬼猪との戦いで技に目覚め
ープルグ戦で技を更に進化をさせ
ー王と言うこの国で一番偉い人に褒められた
この事柄からルドルの成長は著しかった。
ここで「最上だな…!俺!!」と言い放ったのは、
“それ”に反応が出来たからである。
灼熱爆裂猪拳を瞬時に腕から頭へ移行し、防御力を凄まじく上げ銃弾を弾いていた。
まさに今のルドルは最上の状態である。
そして、ソーンが助けにはいらず心配の声を出さないのはルドルの性格と技量を知っているからだ。
ーーー
シューッ!
首から上を赤く染め模様を浮き出させ、銃弾を弾き取っていた。
軽快に起き上がる。
「声を上げないなんて流石だぜ、相棒!」
「これしきの事で心配されてたら、勲章の輝きも薄れるってもんだ!」
親指を立て、全然平気だと見せつける。
「ああ!進化が止まらないな!」
「この前はマルコさんに良い所取られちまったからな…!」
(とは言え…化け物じみた反射神経はホントに凄い…)
「さぁ、来な!銃のねーちゃん!俺には効かないけどな!!」
軽くジャンプをし、構える。
「く…ただの巨悪って訳でもなさそうだな…」
ガチュンガチュン
一つの拳銃の形状が変化する。
カチャン
ドゥイン
ドシュー
もう一つの銃と重ね合体した。
「…カッコいいなあれ」
ガシャ
カチ
弾倉を外し、別の弾の入った物を入れ込む。
「君、硬そうだから今度はもっと本気で行く!」
正面から堂々と構える。
ジワァ…
ルドルの身体の赤が流動的に首と腕へと場所を変えた。
「って!ちょっと待ったー!」
「ダメだ、いくら考えてもこの状況が把握できない!」
遅いくらいのタイミングでソーンが出てくる。
「何だよ、これからが良いところだぞ?」
「ソーン、あなたは分からなくていいの。私に任せて」
(ルドルはこの状況を修行かなんかだと、勘違いしてるじゃん!)
(ミリティスは全然昨日と違うんだけど!?)
「今朝は走れてなくて運動不足だからな!ちょっと付き合ってもらうぞ!」
「そんな事を言っていられるのも今だけ、望む所だ」
間合いを測る二人。
「螺旋の弾丸!!」
ミリティスから放たれた銃弾は、流線型で魔力により回転力を最大まで高め貫通力を増幅したものであった。
「灼熱圧縮!」
ルドルはプルグ戦で見せた女の子は殴らないと言う意思で生まれた、掌に魔力を圧縮した技で応戦した。
「戦いが始まってしまった…」
「何で戦ってるんだ…??」
天性の戦闘センスと反射神経で銃弾の動きを見るのではなく感じ、弾いていた。
「シャオラー!」
パチュンッ
ネオギガンティックの近くに飛んでくる。
本気と入ったものの、銃火器の制限により一番の威力では無かった。
「なぁ!二人ともー!?」
それを一瞥したミリティス。
「チッ」
「ここじゃダメだ。ソーンの一人の時間を私が奪ってしまう」
後ろへ飛び、門を出て森の方へ駆けていった。
「もっと広い所でやろうってか!」
「いいな!」
ワクワクしながら、すかさず後を追うルドル。
「あ、もう声届かないところへ…」
ドギャーン!
爆発音が鳴り響く。
「…追うか」
(でも丸腰じゃちょっとアレだな…)
(剣持ってくるか…)
ガチャッ
トボトボと拠点へと入っていった。
すると
トン
トン
二階からゆっくりと降りてくるリエルと目が合った。
「…ソーン、おはよう」
眠そうな目でポヤポヤ挨拶をした。
「おはよう」
髪に変な寝癖がついて、いかにもお酒が残ってますと言わんばかりの顔色だった。
「朝から騒がしいけど、またあいつがなんかやってるの?」
「あ、ああ、ごめんな起こしちゃって」
「ううん、別にソーンが謝る事じゃないわ」
そう言いながらキッチンへ向かい、冷蔵庫を開け水を取り出す。
カリカリ
プシ
ングング
「ふぅ〜、水が美味しい」
一息入れソーンへ向き直る。
「それでどうしたの?」
「それが俺にもよく分からないんだよね…」
「ん?どういうこと?」
状況を説明するべく口を開く。
「何故かルドルが撃たれて」
「え!?撃たれたって!?」
「でも大丈夫何だけど」
「だ、大丈夫なの!?」
「そしたら運動がてら森でバトルになって」
「何で森?」
ドゴォーンッ
何かが爆ぜる音が聞こえる。
「それで“今”こう」
今の爆発は二人だと言わんばかりに目で訴える。
「…」
「全っっ然分かんない…」
ボスッ
ソファーに脱力気味に腰を落とした。
「相手は何者なの?」
「“昨日BARで知り合った人”なんだけど…」
「え!?ソーン、昨日あの後BARに行ったの!?」
「どこどこ?そういう所好きなんだ?」
「あーー、私にも声かけて欲しかったー」
「一緒に行きたかったー」
ブーと頬を軽く膨らませてみせた。
「ハハハ〜」
自室に黄金の剣を取りに行く。
(まぁ、使うかわからんが念の為…だ)
ジャキ
スッ
カチャ
剣にベルトを取り付け背負う。
自室を後にし二人の元へ向かおうとする。
「リエル、ちょっと二人の様子見てくるわ」
「……」
(あれ?聞こえなかったかな?)
「リエル?ちょっと…」
ドンッ!
飲んでいた水を勢いよく机に置いた。
ビクッ
(!?)
(なんか怒ってる…?)
「えっーと、リ、リエル?」
「ねぇ…ソーン…」
「は、はい!」
力強く低い声が静かに広がった
「昨日BARで知り合った人って言ったわよね?」
「そ、そうだよ」
「それってさぁ、男?それとも女??」
(そこ重要なの!?)
リエルと目は合わず淡々と話す。
「女性…だよ…?」
(はぁ…女か…)
(酔った勢いでホイホイ着いてきたってわけ?)
(信じられない)
(どんな神経してるわけ?そいつ)
「…リエルさん?」
(ヤバい…リエルの毒が声に出ちゃってるよ!)
下を向き髪で顔が見えない状態でブツブツと呟いていた。
「行く」
「え…?」
「私も行くわ」
「でも体調大丈夫?」
「関係ない!」
「分かりましたー!」
ソファーから立ち上がり二階の部屋へと無言で上がっていった。
ドン!
ドン!
ドン!
ガチャンッ!
バンッ!
全ての動きに力医が込められていた。
「えぇ…どうしよう…」
「かなり怒ってる…なぜだ…」
ガチャンッ!
バンッ!
ドン!
ドン!
ドン!
怒りの足音が近付いてくる。
チラッと様子を伺う。
身なりは整い、二日酔いを上書きする様に闘志漲った顔をしていた。
「行くわよ、ソーン」
「あ、ああ…」
(これからどうなっちゃうのか…)
「私、容赦しないから」
そう言い切り扉を思いっきり開ける。
ガチャンッ!
バンッ!
そして閉めた。
ーーー
ーー
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