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第42話『タイミング悪いですよ!?』

「ルドル=マフティス」


マーデン王が一人ずつ名前を呼んでいく。


「はい!」


「此度の戦いにて自らの身がボロボロになってでも、仲間を庇い、仲間を想う姿勢。私が思う“真の武人”とは“闘うのみ”にあらず!」

「まさにそれを体現しているようだったと聞いた」

「その心の炎はこれからも更に輝いていく事だろう」

「君にはこれを受け取ってほしい」


マーデン王は一つの勲章を用意していた。


誰がサインをしたわけでもなくその王の言葉に身体が動かされ、赤い仕切りを跨ぎ王の下へと歩くルドル。


王の前で止まり


「ありがとうございます!!」


今までやって来たことが全て認められたような感覚で、全身全霊のお礼を言い放った。


「ハハハ、元気がよいな」

「これを選んで大正解だ」


優しい笑顔は威厳と心地よさの間のような空気に心を震わせられる。


ルドルに手渡されたものは七色に輝く“光の勲章”。


「す、すげぇ…」

「付けてみなさい」

「はい!」


その赤き正装にも負けない輝き。


(うおーー!!!)

(最上の輝きだーー!!)


叫び出したい気持ちを心のなかで留めるルドルは熱くなっていた。


「胸に灯るのは勲章の輝きだけにあらず」

「これからのパーティの未来、この国の未来は明るいな」

「これからもよろしく頼む」


王は力強く手を差し出した。


「はい!こちらこそよろしくお願いします!!」


(俺はまだまだだ!)

(この勲章が本当の意味で俺のものになって輝かせる!!)


その手を両手で包むように固く強く握った。


ーーー

ーー



ウフフ

「ルドルさん、もう握手は大丈夫そうよ?」


優しく語りかけるように王妃が笑う。


あまりにも強い想いがルドルの時を忘れさせた。


(何やってんのよ)

(そんなに良いお手々だっんッスかね〜)


「あっっ!ごめんなさい!」

「つい力が入ってしまいました!」


少し気恥ずかしそうに、急いで元の場所に戻る。


ソーンの横に戻ったルドルは、今までで一番気合の入った顔をしていた。


(ルドルはいつでも真っ直ぐでホントにカッコいいな)


そう思うソーンだった。


(王様の手!)

(ん?)

(なんかもの凄く大きくて力を貰える気がしたぞ)

(本物のリーダーとはそういう人なのかもな)

(何言ってんだよ!)


「リエル=ミラー」


(次はリエルだ)


「はい」


この中で一番こういった場面に慣れているリエル。


ドレスのドレープは迷う事なく落ち、しっかりと重心を置いて立っているのが分かる。


凛とした姿で赤の仕切りを跨いでいく。


その眼差しには迷いがなくただ前を見ている。


「魔力の効かない魔物だったそうだな」

「だが臆することなく挑み、魔力を直接ではなく仲間のフォローに使うその潔さ」

「誰にでも出来ることではない」

「知性と知恵、それを実現できる力は誠に見事だ」

「これが相応しい」


リエルに似合いそうな氷の結晶のように美しいな勲章だった。


「ありがとうございすわ」


しっかりとお辞儀をする。


「これは“蒼穹の勲章”だ」

「蒼穹の勲章…」

「この世界を包む青空の如く、世界は君に見惚れる日が来るだろうな」

「ありがとう」

「滅相もございません」


再度お辞儀をし皆の元へ戻っていった。


(皆が見惚れる日が来るだってーー!!)

(もう!王様見る目あり過ぎですよー!)


チラッ


ソーンは未だ前を向いたままじっと立っていた。


(もっともっと高みを目指して、ソーンの隣にずっと一緒に…)



「リンビア=オリル」


キリッ

「はいッス」


アチョーアチョーと遊んでいたリンビアも、今はシャンとしていた。


(王様から直々に勲章を貰えるなんて自慢できるッスよ〜♪)


心の中はそうでも無い。


気分良く赤い仕切りを跨ぐ。


「ギルドの者でも見つけられなかった、遠くの魔力の歪みを発見したのはその素晴らしき探究心と、全てを見極められる眼」

「一朝一夕で手に入るものではない」

「君のような人が居て初めてパーティは出来上がるのかもしれんな」

「そして被害をここまで小さく出来たのはその力が合ったからこそ。これを受け取ってほしい」


“真理の勲章”


「カッコいいッス…」

「ありがとうございます」


深淵すら覗けるような黒く澄んだ勲章。


ただの金属とは違う様な気がした。


(帰ったら何で出来てるか調べてみるッス!)


「これからは更にその力が役に立つ場面が増えていくだろう」

「パーティの皆やギルドの皆を導いてやって欲しい」

「はい、任せてくだいッス!」

「なんと頼もしいな」


いつもの調子に戻りルンルンで戻る。



「最後に、ソーン=クリーガー」


(ついに来てしまった…俺の番…!)


声を出そうとした時、扉が再び叩かれる。


コンコンコン


ガチャン


「失礼いたします」


入ってきたのは、王に“皆”を呼ぶように命じられていたトレンとタナナだった。


「全員ではありませんが、各隊の隊長を呼んでまいりました」


(隊長!?)


(なんでわざわざ…!)


(しかもこのタイミングはダメですよー!トレンさん!)


「ご苦労、トレン、タナナ」

「「はっ!」」


扉の脇へと下がる二人。


その扉からは四人の隊長が入ってきた。


「失礼いたします!」

「失礼いたします」

「失礼します!」

「…します」


見覚えのある二人と、初めて見る二人。


その一人は二番隊隊長のマルコ。


もう一人は四番隊隊長のアイニーだった。


始めてみた二人はとても対照的な雰囲気を持っていた。


一人は筋肉質でガッチリとしている女性。


髪を一つに結び、とてもハキハキしていそうな感じで、王の前でも真っ直ぐどっしりと歩いている。


そしてもう一人は覇気がなく身体の線が細く、長い黒髪が顔にかかり顔がちゃんと見えない。


(この人達も隊長…)


(色んな人がいる…)


マルコと目が合う。


パァーっと明るい顔が更に笑顔になり手を振って来た。


軽く会釈をする。


(皆もマルコの顔は知ってるよな!)


(別に俺だけに手を振ってるわけじゃないぞ!)


優に赤い仕切り通り越して、王の前で膝を付き四人は並んだ。


「騎士団二番隊隊長、マルコ=ブルーバード参りましたぁ!」


いつものように一番に名乗りを上げた。

マルコの声はとても明るく聴き心地が良かった。


「騎士団三番隊隊長、《アインテッド=バーグ》参りました!」


そう名乗ったのは、筋肉質の女性。

マルコとは違った元気があり大きく響いていった。


「騎士団四番隊隊長、アイニー=マテリアル参りました」


修練場で聞いた声とは違い、優しく冷静な声は皆の耳に流れるように入ってくる。


「……団六……長、ラシュ…ヒン参り…た」


(全然聞こえない…)


「おーい!ラシュルム!王の御前だぞ!もう少し覇気を出しなさい!覇気を!」


ラヌシアが喝を入れる。


(…母さんがちゃんと仕事してる!!)


そんな姿を見ることはほとんどなかったソーンにはとても新鮮に写った。


「だ、だってぇ…」


気だるそうにこたえる《ラシュルム》


「だってじゃない!お前たちの後輩も後ろにいるんだ、隊長とはどんなものかを見せてやれ!」

「はぁ…後で組手を見てやるから」

「ホント!?絶対ですよー!!」


((!?))


突然スイッチが入ったのか声がしっかり聞こえ、覇気が凄くなった。


(なんだ…なんか雰囲気が変わった…??)


「騎士団六番隊隊長、《ラシュルム=コルヒン》参りました!」

「では!ラヌシア総指揮官行きましょう!」


すぐに立ち上がり外に出ようとする、ラシュルム。


「待て待て、やる事をやってからだ!」

「当たり前だろ!」

「これから“我が最愛の息子“番だぞ!」


胸を張り興奮気味に言った。


「「息子!?」」


(息子!?)

(お義母さん!?)


マルコ、アイニーはマクラウルと一緒にいたソーンと既に会っているため、この事実は知っている。


そして、ルドルもさっきソーンの口から聞いていた。


だがここに居る金色の男が、騎士団総指揮官のラヌシアの息子である事を知らない者は驚いた。


そして一気にソーンの方へと注目が集まった。


(ちょっと母さん!!)


(もう…目立たせないで…)


注目と外からの日差しを浴びて、金色の勇者は輝きを増した。



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