第38話『凄い二人気が合いそう…』
「それでは皆様改めまして」
拠点のリビングでセブンスヘブン一行と、トレンとタナナは向かい合って座っていた。
ソーンは着替える間もなく、土仕事のままの服で座って居る。
「本日は、我が国マシュリクの王マーデン=ゴルクからの招待状の件で参りました」
「此度の皆様のご活躍、騎士団二番隊隊長のマルコより拝聴いたしました」
「皆様に一度直接お礼をしたいと、マーデン=ゴルクより仰せつかりました」
「つきましては、皆様の御時間をいただければ、と」
(マルコさん…)
「いや〜、照れるッスね〜。王自らお礼を言いたいなんて」
「信じられない…まさか王に会えるなんて…」
「やっぱりセブンスヘブンは天に轟けるぞ!!」
「行くよな!?ソーン!」
(行きたくない…)
(だって、俺は特に何もしてないんだ!)
(強いて言えばピロピロ銃を撃った!)
(それだけ!)
(あとはマルコさんが全部やってくれたんだから!)
「おーい、聞いてるかー?」
「ソーン?行こう?」
「こんな事、もう二度とないかもしれないじゃない?」
「それに“あいつら”を見返すチャンス!」
リエルの言葉が強くなる。
「ね?行きましょう?」
「あ、ああ…」
(“こんな事”は一度もいらないんだよ…)
ピキーン!
冴え渡るソーン。
(これだ…!)
「でも俺そんないい服持ってないですよ?」
「こんな土まみれの汚れた服で王様に会うわけには…」
「あ、俺もだ」
「私は白衣があるッス〜♪」
「いや、白衣は正装じゃないわよ」
「私はもちろん持ってるけど…確かに…」
「買いに行く時間もなさそうだし…」
(よしよし)
(それなら日を改めて、となって、何だかんだうやむやになるぞ!)
(ナイス!ルドルとリンビア!)
(そして土も落とさず席に付いた俺!)
「タナナ」
「はい」
どこから出したのか、タナナは大きなケースを取り出した。
カチ
カチ
ケースのロックが解除される。
「皆様のお召し物は勝手ながら、こちらでご用意させていただきました」
「お一人様三種類のご用意がございます」
「お好きなデザインをお選びください」
「女性のお二人は私が」
「男性のお二人はトレンがお手伝いさせていただきます」
(用意してある…だと…)
(それに三種類も…なぜに!?)
「すげー!こんな服着たことないぜ!」
「私は別に白衣が…!」
「はいはい、行くわよー」
「タナナさんよろしくお願いいたします」
「はい、では奥のお部屋で」
「きゃー、ちゃんとしたドレスなんて久々!」
「動きにくい服は嫌ッスーーー」
リエルに押されながら、三人は奥の部屋へと入っていった。
「それではソーン様、ルドル様お二人も」
「よーし!行くぞソーン!」
「あ、俺の部屋でいいですか?」
「勿論でございます」
(分かってました…分かってましたとも!)
(もう、どうにでもなれ…)
重い腰を上げてルドルの部屋へ向かった。
「失礼いたします」
トレンは丁寧に一礼をし入室。
無駄のない動きで六着を全て綺麗に並べ置いた。
「では、先ずはルドル様こちらへ」
「お願いします!」
ルドル用に用意された物は、黒、橙、赤色の礼服。
形はトレンの物とは違い燕尾はなくどのシーンでもしっくり来るような、フォーマルなデザインだった。
「サイズはおおよそ問題ないかと」
「どちらにされますか」
うーん
と、悩むルドル。
「全部試してもいいですか?」
「勿論でございます」
「ご納得いくものが一番お似合いになりますから」
「ではお召し物、失礼いたします」
「そうでした!」
上下と服を脱ぎパンツ1枚となったルドル。
鍛練を欠かさない男の身体は引き締まり、筋肉が程よく大きく育っていた。
「それでは、先ずはこちらの“黒”」
「黒とは強さ、権威、格の象徴」
黒色を手に取りルドルのそばへ。
「強さ…権威や格の象徴…カッケー…」
スッ
シュル
パサッ
グッ
「!?」
「いかがでございますか」
(は、早い…)
「すげー!何だ今の!」
「自分で着るより早かったぞ!!」
「それ程ではございませんが、執事たるものこのくらいは出来て当然です」
トレンは表情一つ変えず、ルドルの襟元をミリ単位で整える。
トレンが姿見を傾けた。
「おぉー、結構イカすじゃん!」
「うん、様になるってる」
「お似合いでございます」
「しかし、黒っていうのがなー」
「では次です」
「こちらの“橙”」
「橙とは太陽、炎、夕焼け、生きている熱の象徴」
スッ
シュル
パサッ
グッ
(脱がして着せるのも早い!?)
(むしろさっきより速くなってないか!?)
「うおー!脱がしてくれて着させてくれたのに、さっきより早い!」
「一度でもお手伝いをさせていただければ、筋肉の動きや可動範囲など分かりますので」
「こちらのお色はいかがでしょう」
橙色はルドルの色といっても過言ではなく、髪の色と親和性は高く黒よりルドルらしさが出ていた。
「これは…」
「おぉ!かなり似合ってるぞ!ルドル!」
「いにしえよりこの袖を通す事は決まっていたかの如くの最上…!!」
(久々の世界観!)
「そして、“変化の途中”の色であり、ルドル様を体現したようなお色味」
「内側から燃える炎は“何者にも”消す事は叶いません」
「変化の途中…内側の炎は誰にも消せない…」
(あれ?トレンさんもちょっとそっち側??)
「俺はこれにする…!!」
「トレンさん!これにします!」
「お気に召されたようで何よりです」
「大変お似合いかと」
「やばい、燃えてきた…!!」
「良い仕立ての服というものはそういう物です」
「着用された方をより高みへと誘ってくれます」
(凄い二人気が合いそう…)
(俺にはどんな色が待っているんだろう…)
(考えすぎるな、まぁまぁでいいんだ!)
ソーンは無難を想像した。




