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第36話『マルコさんのおかげだよ!?』

……


……



ようやく目を開くとそこに広がっていた光景。


爆発を中心に、岩肌がクレーター状に抉り取られ、遥か遠くの森の木々までがなぎ倒された。


しかし


ソーンの予想通りマノンは“最強の盾”となっていた。

魔力を無効化するその特性が、皮肉な事に創造主であるプルグの光を完全に打ち消していたのだ。


それによりこちら側に爆発による被害は無かった。


凄まじい爆発で発生した風圧により、マノンの頭と手足はあらぬ方向に曲がり絶命していた。


それでも、ソーン達に被害がなかったのは、マルコがその巨体を押さえ込み、全ての衝撃を遮断し続けてくれたおかげである。


シュンッ!!


またたく間に、マノンの裏側に回り現状を確認するマルコ。


そこにはプルグの気配も魔力も残っていなかった。


「…皆!!大丈夫か!?」

「僕は問題ありません!皆さんのところへ!」


振り返ると、後方でリエルとリンビアの前に手を広げ立つルドルの姿があった。


「…終わった…みたいだな…」


ふぅ〜


ドサッ


と一息つきその場に座り込む。


皆の元へ駆け寄るソーン。


「…」

「すまなかった…」

「…ん?どうしたソーン?」



「俺の判断の躊躇が皆を危険にさらした…」

「もっと早く動いていれば…」



ガシッ



「何言ってんだよ相棒!」

「俺が不甲斐ないばかりに、ソーンに迷惑をかけちまった…」

「でも!」

「次は絶対…」


肩に乗せた手に力が入る。


「ソーン…」

「私もごめんなさい…」


(リエル…)


「私の魔法が効かないからって、狼狽え、焦って、足手まといになっちゃった…」

「私一人で戦ってるわけじゃないのに…」

「どんな時でも冷静に戦えるあなたのおかげで、皆が助かったの」


ハンカチを胸に抱く。


「ソーンさんはやっぱり、不思議が多くて研究のし甲斐がありそうッスね!」

「ぐへへ…」


リンビアが少し暗い表情になる。


「でも私も何も出来なかったッス…」

「ハウンドにも助けられて、ソーンさん、ルドルさんリエルさんの何の役にも立てなかった…」

「帰ったら…もっともっと研究して開発して、皆に必要だって言われるくらいまで…頑張るッス…」


(皆…)



ザッザッ

ザッザッ


ガキンッ


多くの足音と、金属音が鳴った。


「これは…いったい…」

「ご無事ですか!!」


ピロピロ銃により、ギルドの傭兵部隊が駆け付けてくれた。


「保護対象を確認」

「各位、対象を保護後、敵の確認及び排除」

「散れ!」

「「はい!」」


傭兵部隊が動き出そうとした時。


「それには及びません」


マルコの声がした。


「!?」

「マルコ様…!」


「敵の気配、魔力の残骸はありません」

「急ぎ冒険者さん達の保護と治療をお願いします」


「「はい!!」」


傭兵部隊はマルコの一声に背筋を伸ばし、動いた。


(マルコ様が来てくれたら安心だったな)

(全くだ)

(手当に全力だ!)

(おう!)



各自傭兵部隊により手当てをしてもらい、事なきを得た。



「いやー、しかしマルコ様がいらしてるとは思いませんでした」

「流石“瞬迅の”異名は伊達じゃありませんな」

「私どもも大急ぎで駆けつけたのですが…」


リーダー各の一人がそう言った。


「たまたま近くにいたので、早く来れました」

「ですが、今回は僕は二番目でした」

「もっと早く来てた方がいらっしゃいましたよ」


!?


言葉にはならない驚きが出る。


「…その方とは?」

「あそこに居る、ソーン=クリーガーさんです」

「ソーン=クリーガー…」


(どこかで聞いた名前だな…)

(あ!)


「ギルドに登録した早々に勇者になられたと言う!?ソーン=クリーガーさんですか!?」


ニヤリとするマルコ。


「そうです!」

「それにこちら側の被害が最小限に抑えられたのも、またソーンさんのおかげです」

「なんと!!そうでありましたか…!!」

「僕の不注意で危うく、ここら辺一帯を消し飛ばすところでした…」

「そんな時ソーンさんが作戦を伝えてくれたんです」

「本当に尊敬すべき方です」


(ひっ!)

(なんか背中の方から寒けがした…!)


ブルブル。


(まぁ、今回は“マルコさんのおかげで”大事には至らなかったたし、“マルコさんのおかげで”皆無事だ!)


(これで一先ず一件落着かな?)


「でわ、僕はこの辺で!」

「え、あ、行かれてしまうのですか?」

「この事を王国のギルドへ報告をしておきたいので!」

「周辺の調査はお願いします」


デュンッ!


「は、はい!」


(このマルコ様が尊敬をされるソーン=クリーガーさんとはいったい…)


「ソーンさん!」

「うわ!?」


気を抜いていた所に目にも留まらぬ速さでやって来たマルコ。


「今日はありがとうございました!」

「え?」

「ソーンさんのおかげで被害が最小限に抑えられました!」

「いやいやいやいや!」

「何を言ってるんですか!マルコさんのおかげですよ!俺一人じゃ何も出来なかったですし、本当に来てくれて助かりました!やっぱり王国のギルドの人は違うなー!“皆も”無事に助かりましたし!」

「皆?」


ひょいっとソーンの影から顔を出し、後ろに居る三人を見た。


「もしかして、ソーンさんのパーティーの皆さんだったんですか!?」

「そうなんです」

「うわー!通りで!」


目を輝かせるマルコ。


「地面に敷いた氷の魔法の速さと的確性!」

「ボロボロになりながらも、仲間を守る気概と実行力!」

「この空き瓶は回復薬の類ですかね?最高のサポートが出来る方も!」


(よ、よく見てるなぁ〜…)


「私…二番隊隊長に褒められてる…!!」

「それくらい出来なきゃ、ソーンの横には立ってられねぇもんな」

「最高のサポート…縁の下の力持ちはこのリンビアちゃんにお任せッス!!」


全員の気持ちを一瞬で打ち抜いた。


「僕もまだまだです!」

「これからもよろしくお願いいたします!!」


出してもない手を握りブンブンと振られた。


「王国に報告して、その後は鍛練の続きです!」

「では!皆さんまたお会いしましょう!」


ドチュンッ!!


地面を抉り遥か彼方へ遠のいて行った。



(相変わらず凄いな…)



シュバババ


(あれ?ソーンさんのパーティーって事は皆さんで居たのか)

(って事はソーンさんは現場に居たってことかな?)

(じゃあ、一番乗りは僕?)

(まぁそんな事はどうでもいいか!)

(もっともっと速くなって誰にも負けないようになるぞー!)


ジュドーンッ!!


どんどん加速して王国へ向かった。



ガシュンガシュン


一行はハウンドに乗りゆっくりと帰路についた。



「俺は見えたぜ!」

「見えたってなにが?」

「俺の有るべき姿!ソーンの後ろに立つ俺じゃねぇ!地に足つけて横に立っていられる俺だ!」

「ルドルは止まらないな、流石だよ」


(そして俺を置いて追い越せー!)


「しっかし、ソーンがあんな人と知り合いだったなんて聞いてねーぞ!」

「いやぁ、別に知り合いっていうか前にちょっと話した事があるくらいだよ…」


「そうは見えなかったわよ!仲よさげに話してたし!それに前に名前で呼んでたじゃない?」


(しっかり覚えてらっしゃる…)


「でも、本当に知り合いなのにそれをひけらかさないっていうのがソーンの良いところよね!」

「アハハハ…」

「でもきっと褒めれられたのはソーンが居たからよね…」

「私ももっともっと強くなってちゃんと戦えるようになるから!」

「それまでこのハンカチは借りててもいい?」

「お、おう」


(いや、リエルはもう十分に強いよ)


「私は見たッスよ!」

「え?」

「ソーンさんの動き!」

「別に特別な事はしてないぞー??」


(うん、大丈夫。普通に動いてただけ。うん)


「その内側には、まだまだ隠された謎が有りそうッスなぁ」


ぐへへ

ジュルリ


「ハウンド!ソーンさんを縛ってこのまま研究室まで全速前進!」

「ワウー!!」


ガシュンッガシュンッ!!


(くっそ!!何でだ!誰も俺を離してくれそうにないぞーーー !!)


(俺の最高の未来が遠ざかっていく…)


縛られながらそう思うのだった。



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