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第32話『ルドル…!!』

爆発からの煙が少しずつ晴れていく。


ガラッ

小石が落ちる。


「ぐ…何だってんだ…」


ルドルの姿が煙の中から出てきた。

腕全体は赤くなり熱を帯び模様を浮かび上がらせ、

灼熱爆裂猪拳ヒートバレットボアを展開してギリギリ防御をしていた。


「ギリギリだったぜ…」

「ルドル!無事か!」


生きていることを確認し安堵のソーン。


「うるさいっ!!」


先ほどは全く感情を表に出さなかった少女“プルグ”が声を荒げて睨んでいた。


「!?」

「さっきの!?」

「この子が話していた子か!?」


プルグの周りには無数の光の虫が飛んでいた。


「君の声、感情、表情、全てが“ノイズ”!!」

「私の考え事の邪魔をしないで!!」


無数の光はルドルに向かって飛んできた。


「ちょっと待てよ!!」

「よけろ!ルドル!」


岩肌に接触した光は次々に爆発をした。


ドガァン!!

ドゴーン!!


「くっそ、話も聞いてくれねぇのか」

「さっきはこんな子じゃなかったのに…」

「ソーン今はそんなこと言ってる場合じゃなさそうだぞ!」

「また来るぞ!!」


そう言い二人は構える。


「なんの爆発ッスか!?」

「ちょっと二人とも大丈夫!?」


岩場の上から焦ったリンビアとリエルが来る。


「またノイズが増えた!」

「まとめて消えて!」


プルグの背中に光の羽のが成形され宙に浮く。


「なんだ…あいつ飛べるのか!?」

「いったいなんなんだ…」


ピュンッ


かなりの速度で4人に向かってくる。


「皆!私の後ろへ!」

「《氷龍壁》!!」


瞬時に防御魔法を発動させたリエル。


プルグとの間に氷の大きな壁が生成された。

それは簡単には壊せそうにない分厚さだった。


チュドーーン!!


氷の壁に衝突するプルグ。


パラパラ


リエルの魔法は砕け散る。


「ノイズが変わった、この歪みは悪くない」

「恐れは人の信仰心、忠誠心を強くさせる」


ニタァ

と口角を上げる。


「な、何なのよあいつ…」

「私の氷龍壁をいとも容易く…」


ピピ

リンビアのウルトラメガネが鳴る。


「この魔力…」

「皆さん気をつけてくださいッス!!」

「「!?」」

「こ、この人が変態科学者ッス!!」

「こんな子が!?」

「なんだと!!」

「とうとう見つけたわ!」

「ここでとっちめてやるッス!」


リンビアが腕に付いている装置をいじる。


「この残量なら余裕ッスね」

「ハウンド!武装モード!」

「アォーン!」


どこからともなくハウンドの声近づいてきた。


ガシュンガシュン

プシュー


ハウンドはいくつかのパーツに分かれ、リンビアに装備された。


「恐れから敵意が強くなったね」


シュッ!

ルドルはプルグの背後に周り高くとんだ。


「くらえ!オラァ!」


ルドルの戦闘センスが光る。


女の子を殴るというのは気が引けたのか、張り手のように掌で強く押し込んだ。


ルドルに呼応する様にグローブまでもが、腕同様に赤く染まり威力が増した。


グゴゴゴン


「ぐっ…!」


プルグは反応したものの反撃までとは行かず、岩壁に衝突していた。


「やるな!ルドル!」

「いや、あの程度じゃ大したダメージにはならないだろう」


二度目の発動とルドルとグローブの相性のお陰で、灼熱爆裂猪拳の扱いに少しずつ慣れていたルドル。


(クソッ、分かってる……こいつがヤバい奴だってことは分かってるんだ……!)

(だけど、俺の拳は女の子を殴るために鍛えてきたんじゃねぇんだ!)

(そうだろ!ルドル=マフティス!!)


拳を握りしめる。



「本当に想定外な事ばかり」



感情の起伏は収まり、無表情のまま四人の前に出てくる。


「全然大丈夫そうッスねぇ…」


ハウンドのサーチシステムをウルトラメガネと接続し、相手を分析する。


「そこの変態科学者!ちょっと聞きたいことがあるッス!」

「変態科学者?」

「あなたのせいで鬼猪がおかしくなっちゃったッス!自然を破壊して何が楽しいんッスか!」

「目的はなんなんッスか!」

「鬼猪…?」

「ああ。あの失敗作の話?」

「別に君には関係のない話」

「私はアレと“戦った人“を探しているだけ」


(戦った人を探してる…?)

(俺達の事…?)


「ハハーン。なら関係大有りッス!!」

「?」

「なぜなら!ここの二人があの鬼猪と戦った張本人達ッスー!!」


ババーン!


自分の事のように自慢しながら紹介をする。


「そして〜」

「この私!スーパー科学者のリンビアちゃんこそ!あなたを突き止めたキレキレっなプリティなのです!」


ドガーン!


「君はただうるさい」


羽から光を飛ばした。


「ちょっとリンビア、大丈夫?」

「ガフ…」

「あのタイミングの攻撃はセコいッス…」

「待ってて、私が敵を取るから!変態は許さないわ!」


強力な魔法の為魔力を高めるリエル。


「そこの二人。君たちだったんだアレをやったの」


真顔で指を差す。


「いや、俺はほとんど何もしていない!」

「ソーンがやっつけたんだせ?とうだ?スゲーだろ!」


(リンビアもルドルもちょっと待ってよーー!)

(自慢げにヘイト集めないで……!!)


「いやぁ、お、俺も何も」

「聞きたいことがある。先ずは動きを止める」


ボワァン

背中の光が徐々に明るさを増す。


ダンッ!

ピュンッシ!


踏み込みとともに地面にはヒビが入り、目にも留まらぬ速さでソーンへと狙いを定め突撃。


「あなたこそ止まりなさい」


《氷龍ーー氷柱流星ーー》


リエル周りにいくつもの魔法陣と、そこから無数のつららがプルグを襲った。


ヒュンッ!

ヒュンッヒュンッヒュン!


その光景を横目で一瞥。


ザクザク!


捉えたのはプルグのいない地面だけだった。


「…速いッ!?避けられた!?」

「逃がすか!」


ルドルは標的をプルグから羽根に変えた。


「灼熱圧縮!《ヒートハング》!」


ーーー灼熱爆裂猪拳の応用技


灼熱圧縮ヒートハング


腕全体に帯びた熱を掌のみに集中させ、爆発的な熱量と魔力の圧縮をしてみせた。


掌と言うのは、

女の子は殴れないと言うルドルの苦肉の策でもあったのかもしれない。


知ってか知らずか、そんな全てを溶かす情熱でルドルはドンドン進化していく。


(これならあの爆発にも耐えられる!)

(そして地上へと降ろす!)


岩壁を蹴り更に高く飛ぶ。


「オラァー!」


ルドルに気づき余裕の表情で躱そうとした時、


「!?」


プルグは足元に違和感を覚えた。


「気付いたみたいね!」

「私の氷龍柱はそう簡単には砕かせないわ!」

「ナイスだ!リエル!」


前にギルドで見せたような速度で、一瞬の隙を付いたリエル。

地上から伸びる氷の竜の柱がプルグを掴んで離さない。


「今度こそ!」


宙で止まったプルグの羽根を確実に掴む。


「取ったぞ!もう離さん!」


羽根の下の方を掴んだルドルは死んでも離すか!と力ト魔力を込める。


「いいぞ!ルドル!」

「やるじゃない!まぁ私の援護のおかげだけど!」


ソーンとリエルの気が少し緩んだ。


「フン」


それが何?と言わんばかりの顔で嘲笑う。


「このまま消えて」

「《解放ーリーン・クラムー》」


そう唱えた途端。


辺りが大きな光に包まれた。


「な…」

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