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第30話『だって危険だろ!?』

「ふぅ〜、だいぶ良くなってきたッス〜」

「よかったです!ギルドの薬が効いてきたみたいですね!」

キラリンッ☆


ギルドの回復薬のお陰で体調が戻ってきたリンビア。

ゲッソリしていた姿も元に戻ってきた。


「ウィンクさん、ありがとうッス〜」

「いえいえ!」

「体調良くなってきてよかったよ」

「ホントだな!」

「して、このリエルさんは何故セブンスヘブンに入ったッスか?」

「何故…だ?」


(実は俺もよく分かってない…)


「そんなの決まってるだろ!俺達と共に天に轟くためだ!」

「な!リエル!」


少し離れて壁にもたれかかってるリエル。


「いや、私は…」


ソーンをチラッと見る。


「そのギラギラな剣より、もう少し趣味のいい武器を用意したいと思って…」

「えー、この剣だって趣味いいだろー!」

「リエルの龍には劣るがカッコいいから、安心していいぞソーン!」


軽くソーンの肩を叩くルドル。


「あ、ああ」


(別に俺はカッコよさは気にしてないからいいんだけどな)


作り笑顔を向けた。


(ダメだわ、完全にルドルに言わされてる…)

(ソーンは仲間思いで優しいのね)

(それに比べて、また私の魔法をカッコいいなんて、趣味が合わない男だこと)


「ほうほう、そんな理由があったッスね!」

「って!そんな武器いつ手に入れたッスか!」

「言ってくれれば私の魔具用意したのに!」

「ハハ、ありがとう。でも今の俺にはこれで十分だよ」


(リンビアの創った魔具じゃ、どんな事になるか分からんしな…)


(あくまでもお仲間のオススメを守るその姿、流石ソーンね)


思考が加速するリエル。


「そう言えば、今日は依頼を受けにいらしたんですか?」


ウィンクが切り出した。


「いや、今日は仕事じゃなくてちょっと聞きたいことがあってきたんだ」


真面目なトーンで本題へと入る。


「この前話した鬼猪の件なんだけど」

「はい、あの異常個体のお話ですね!」

「ギルドの方では何か調べられたか?」

「…はい、それが」


煮え切らない反応だった。


「ソーンさん達から報告を受けて、ウチのギルドで調査隊を組んで向かったのですが…」

「なにもなかった…ッスよね?」


ウィンクはリンビアの言葉に頷く。


「やっぱりか…」

「でも何でわかるんですか?」

「あの夜、用が出来て俺たち三人もまた行ったんだ」

「用…ですか?」

「あ、いやそれは大したことでもない様な…」

「ソーンがどうしてもリゴンを栽培したくてさ!」

「俺たちも気になってたし、調査がてらそれを取りに行ったって訳よ!」


少し恥ずかしそうなソーン。


リンビアが続ける。


「でも樹木は傷つけてないから安心して下さいッス!」

「あ、それはありがとうございます!」


堂々とした姿に思わずお礼が溢れた。


「でも俺達も何も見つけられなくて、ギルドの人達なら何か見つけられたかなって…」

「そう、でしたか…お力添え出来なくてごめんなさい…」


キラリーン

クイッ


リンビアは眼鏡を反射させながら上げて見せた。


チッチッチ

指を振る。


「このスーパー科学者のリンビアちゃんが一つ発見した事があるッス!」

「まじかよ!なんだよ隠してたのかよ!」


ふっふっふ

とにやけて見せる。


「何を発見したんだ?」

「凄いです…!ギルドの調査隊でも見つけられなかったのに」

「あれは変態の残り香ッスね」

「「変態?」」


ウィンクとリエルが反応した。


変態呼ばわりされたリエルは、それのせいだと言わんばかりに皆に近づいて話を聞き始める。


「あ、いやこの変態っていうのはただの総称で実際はどうか…」

「いや!絶対に変態科学者ッス!」

「自然の生き物にひどいことをして楽しんでるなんて普通の人はしないッス!!」


(その変態だと私は思われたってことかしら…)

(どっからどう見ても、ただの魔法使いなんですけどね!!)

(その変態がいなければ…この私が変態呼ばわりされなかった…)

(許さん…!!)


「それでその変態…さん?の残り香はどこにあったんですか?」

「お二人が異常個体の鬼猪と戦った位置からは少し離れた岩場の上の方ッスね」

「岩場…確かにそんなところまで調査は出来てないです…」

「なんだリンビア?トイレにそんなところまで行ってたのか?」


品のないことを言うルドル。


(…ルドル)


「違うッスよ!!それにリンビアちゃんはそんな大きなうんこはしないッス!!!」


続けてリンビアも品のないことを言う。


(…リンビア)


「この残り香は普通とは全く違う歪んだ魔力だったッス」

「歪んだ魔力…ですか」

「わかりました!急ぎ調査隊を向かわせます!」

「それがいいな。頼むよウィンク」

「なんでだよ!せっかくセブンスヘブンで見つけたんだ!俺たちで解決してやろうぜ!」

「そうッスよ!そんな変態を丸裸にしてもうこんなこと出来ないようにとっちめないといけないッス!!」

「私もこれに関しては二人に同意ね。変態は許さない…!!」

「「…え?」」


まさかのリエルの発言に一同が驚く。


「だ、だって、その人のせいで私が変態呼ばわりされたんだから!当然でしょ!」


(結構根に持ってたんだ…)


「と、言う事でウィンクさん、私たちで独自に調査してもいいッスか?」

「ちょっと私の一存では何とも…」

「そ、そうだよ。それにどんな危険が待ってるか分からないんだからここはギルドに任せた方が」


ソーンはもっともな理由を盾にどうやったら行かなくて済むかを考えまくった。


(ウィンクがんばれ!俺は味方だぞ!)


「話は聞かせてもらったよ」


後ろの方から男の人の声がした。


「あ!ギルド長!お疲れ様です!」

「お疲れ!」


大柄で優しそうなギルド長が出てきた。


「すまんね、盗み聞きをするつもりはなかったんだけど、気になってしまってね」

「実にいいじゃないか!冒険者たるもの冒険をしてなんぼ!」

「未知のダンジョン、未知の素材、未知の魔力!わくわくするね!」

「ギルド長である僕の権限でセブンスヘブンの皆さんの調査を許可するよ」


ニコリと優しい笑顔で許可を出す。


「い、いいんですか?ギルド長?」

「あぁ。もちろんギルド長に二言はないよ!」

「だそうです!皆さん!」


心なしかウィンクもわくわくしているように見えた。


「やったぜー!!流石ギルド長!話が分かる!」

「ありがとうッス~!」

「ありがとうございます。ギルド長」


(なんでだよ…全身全霊で守ってださいよ…ギルド長ぉぉおお!!)


「でも一つだけ約束して欲しい」

「命の危険だけは避けるように」

「「はい」」

「それとウィンクギルドとしても調査は行う。調査隊の編成を再度頼むよ」

「わかりました!」


「じゃあ、セブンスヘブンの皆さん良い冒険者ライフを!」


ギルド長は再び奥のへと戻っていった。


「善は急げだソーン!早速この新しい装備を使ってやろうぜ!!」

「こうしてる今も変態への痕跡が消えかけているかもしれないッス!」

「見つけたら私の魔法で全てを片付ける!」


息を巻く一同。


(待て待て!本当に行くのかよ!)


「でわ、私も調査隊の再編成を行いますので皆さんもお気をつけてくださいね!」


(くそっ!唯一の味方がいなくなった…)


次々に立ち上がり部屋の外へと向かう。


「ほら、ソーンさん行くッスよ~」

「…ああ」


(もう!行けばいいんだろ!いけば!)

(ホントに行くだけだからな!)


こうして4人となったセブンスヘブン。


新しい装備を早く使いたいルドル。


体調が戻り調査に気合を入れるリンビア。


変態を絶対に許さないと強い気持ちのリエル。


帰りたいソーン。


「あ!これが終わったら七福亭で久々に飯でもどうだ?」

「新生セブンスヘブンに乾杯だ!」

「お!いいッスね~!」

「そうね。この街のご飯も気になるところだしいいわね」


盛り上がる三人。


この後何が起こるかもこの時はまだ知らない。


(はぁ、早く追放されないかな…)


独りソーンは思った。

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