第27話『リンビア、どうしようか…』
「なぁ、ルドル」
「ん?」
ギルドに向かう二人。
「そう言えば、リンビアは?」
「あー、確かに!」
武器選びに夢中になり、新しいものを買った嬉しさですっかり忘れていた。
「一番今回の事件について聞きたがってたから、一回拠点に帰って呼んてきたほうがいいよな」
「まぁな…」
少し悩むルドル
「あ!」
「む?」
「ほらあのダサい銃使ってみようぜ」
ダサい銃とはピロピロ銃の事だ。
「ピロピロ銃の事か?」
「それそれ!そしたらリンビアもここに俺達が居ること分かるだろ!」
「いや、ダメだろ!」
「待ち合わせのために使いました!って、ギルドが騒然とするわ!」
「いい案だと思ったんだけどな〜」
ちぇー、と小石を蹴ってみせる。
その頃拠点では。
パチンッ!
フガッ!!
大の字で膨らませていた鼻提灯がはじける。
「…もう朝ッスか」
外の光が入らない地下では時間の感覚が薄れる。
研究に没頭したいリンビアにとって時間の概念とはそれほど重要でもなかった。
起きた時が朝で眠った時が夜なのだとか。
「あっ!今日はギルドで調査の報告をするんでした…」
眼鏡を掛け身体や衣服の匂いを嗅ぐ。
スンスン
「うん。全然余裕ッスね!」
顔を洗い、歯を磨き準備をした。
「この巻き髪は私のトレードマーク!」
「クルクル、クルクル♪」
リンビアはこうしてちゃんと巻き髪を毎回セットしていた。
「これだけは機械には任せられないッスね〜」
髪を巻き終る。
「今日もスーパー科学者リンビアちゃん完成ッス!!」
鏡の前で決めてみせる。
「今日は気合を入れないといけないから…」
スッ
棚に置いてあった謎の液体が入ったフラスコを取り、一気にその液体を飲み干した。
ブハアッ!!
「やっぱり朝イチはこれに限るッス〜」
目がガン開き背筋が伸び気合がはいる。
栄養バッチリの調合液体はリンビア特製。
“科学者たるもの健康体でなければ何も得られない”
リンビアの持論。
固形物を咀嚼する時間がもったいない。
だけど栄養を摂取しないといけない。
この問題を解決したのがこれである。
故に彼女のスタイルは抜群で長時間の研究をこなせる身体になっている。
「よし!最強とかした私はもう誰にも止められないッス!!」
「リンビアちゃん!行きまーす!」
ピッ!
リモコンのボタンを押した。
ウィーン
ガチョン
研究室の天井からハシゴのようなものが降りてきた。
ガタンガタンガタン
畳まれていた足場が開く。
「よいしょっ」
一つの段に乗ると再びボタンを押した。
ヴォーン
下から上に向かって上がりだした。
ガコンッ
プシュー
上部に付いている地上へと続く部屋のハッチが開く。
「おはようございます〜」
皆の居住空間に顔が出た所で挨拶をした。
シーン…
「あれ?まだ二人とも寝てるッスか〜?」
「お寝坊さんッスね〜」
ボスッ
ソファーに腰掛ける。
スンスン
「何かいい匂いがする!」
部屋に微かにいい匂いが残っていた。
「これはソーンさんの残り香ッスね…」
キッチンへ行くと二人分のお皿が洗われていた。
「これは…」
「ルドルさんも一緒だったという事ッスか…」
キラリーン。
名探偵の如く眼鏡を上げ、推理を始めた。
「今の気合の入った私に分からないことはないッス!」
フンスフンスと鼻息荒くなる。
「状況を整理するとこう言う事ッスね!」
ーーー
私が寝てる間に、二人はソーンさんが作った朝食を摂り、お皿を洗った。
そして私が寝てる間に、二人は出ていった。
おそらく場所はギルド…
昨夜の報告と状況の確認。
私が寝ている間に…
ーーー
「…森での謎と変態の魔力を解き明かすチャンス!」
「こうしちゃ居られないッス!」
(今の私はほとんど準備は終わっている状態…)
(本気を出す時は今ッス!!)
パチンッ!
高らかに指を鳴らす。
「来るッス!《ハウンド・アンド・シーク》!」
「ワォーーン」
地下の研究室から遠吠えが聞こえる。
ーーー
《ハウンド・アンド・シーク》
リンビアが開発した犬型歩行補助システムのマギテック。
リンビアの声に反応し起動する。
走力は時速80kmで安定して動ける。
最高時速は150kmらしい。
嗅覚システムも採用しており、物や人を探すのにも長けている。
視覚、聴覚、嗅覚などのデータは常に研究室へアップロードされ続けている。
ーーー
「よいしょっと」
ガチュンガチュン
ハウンドの背中から椅子の背もたれが現れた。
機能性とともに快適性を求めるリンビア。
リラックスした体勢で常に考え事が出来る様になっていた。
「さぁ!行くッス!ソーンさんの待つギルドへ!」
各自の匂いは既にインプットされているため、何をする必要もなく動き出した。
外に出ると太陽が上がっており、明るい日差しが全てを照らしていた。
「うげー、灰になっちゃうッス…」
ウィーーン
日傘が出てきた。
「流っ石ハウンド!分かってる〜♪」
「ワウワウ!」
骨型のエネルギーバーを与えた。
ハウンド・アンド・シークの目の色が赤くなり、
エンジン部分に魔力が流れ込む。
「全速前進!」
「アォーーーン!!」
ガシュンッガシュンッ!
猛スピードで目的地まで駆けていった。




