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第22話『ようやく農業への第一歩だ!』

ーーー

ーー


森は昼間の時とは打って変わって静寂と闇に包まれていた。


生き物の音がせず、風で揺れる草木の音のみだった。


「めっちゃ暗いッスねー、めっちゃ静かッスねー」

「ホントに夜になると真っ暗だな〜」


少し落ち着いたのか暇そうに歩く二人。


「だから言っただろ?暗くなるぞって」

「早く枝を採って帰ろう」


チャンスとばかりに帰る提案をするソーン。


「よし!リンビア!“アレ”を使うぞ!」

「はいッスー!」


高らかに例のライトを上げる。


カチッ

スイッチオンと共、宙に浮き光り出す。


「うおーーー!!なんだこれーー!!」


一瞬にして心を掴まれたルドル。


「どうッスか?」


へへんとメガネを上げて見せる。


「眩し!!浮いてるし、まるで太陽だな!」

「これで痕跡もリゴンの木も見つけやすいッスね!」


煌々と光るそのライトは、夜を溶かす程の光だった。


明るくなった辺りを見渡す。


「現場はこの辺ッスかー?」

「確かこの辺だったと思うぞ?」

「なぁー、ソーン!この辺だよな?」

「…そのはずだ」


(確かこの辺りだったはず…だよな…)


周囲には血の跡や鬼猪の遺体の痕跡も残されていなかった。


ただ1つだけ、大きくえぐられたリゴンの木だけは聳え立っていた。


「これがえぐられたリゴンの木ッスか」

「確かに凄い破壊力ッスねー」

「一撃でここまでなのは驚きですが」


カチュイーン。

ピーッ。


リンビアの掛けているメガネから細くレーザーが照射された。


シュイン。


木の枝が一瞬で切り落とされた。


「はい、ソーンさん!木の枝ッス」


当然の動きと言わんばかりで反応が遅れる。


「…あ、ありがとう」


(そのメガネレーザーも出るのか…!)


「すげー!レーザー出るのか!そのメガネ!」


ルドルも同じ反応。


「このレーザーは切断面を傷めることなく、保護できる特殊な光が出るんッス!」

「こっちの都合でダメージを与えては可哀想ッスからね」


(そういうところは素晴らしい研究者だよなぁ〜)


「よし!ここからが本題だな!」

「そうッスよ〜!待ってなさい変態ども!!」


(これからが本題かぁーー)


「何でか何もなくなってるんだよなー」


鬼猪が倒れていた所を覗き見る。


「ギルドの人達が色々後処理してくれたんじゃないか?」

「その可能性はなくないッスけど、私のこの《ウルトラメガネ》に何も映らないのはおかしいッス…」


《ウルトラメガネ》

リンビアが常に掛けているメガネ。

見た目はグルグルメガネで芋っぽいが性能は抜群。

ただのメガネとしても勿論使えるが、見通せるものは千差万別。

レーザーの他にも機能はあるらしい。


「むむ?これは!」


かすかな跡を見つける。


「なんかあったのか!?」


二人してリンビアに近づく。


鬼猪の突進の際に出来た地面の足跡。


「かなりの力が入った証拠ッスねー」


ピピピッ

メガネで分析する。


「通常の鬼猪の筋力や走力を考えても、この跡の付き方はちょっと脳のストッパーが外れちゃってるッスね」


二人は戦いを思い出す。


「確かにアレは普通じゃなかったと思う」

「今でもソーンがいなかったらと思うとゾッとするぜ…」

「突然死する鬼猪…謎は深まるばかりッス…」

「あー、血の一滴でもあればもっと明確な答えが出るのにーー!!」


地面に手をついてうなだれる。


「まぁほら、明日ギルドで聞いてみようぜ!」

「それがいいんじゃないか?」

「あい…ここにはもう何もないッスから…」


(ホントに何も見つからないなんておかしいッス…)


仕方なく帰る事にした。


そんな時。


「あっ!!」

「うわ、びっくりした!」

「リンビアちゃんちょっとおトイレを催したッス!!」

「え、おトイレ!?」

「草むらでしてくるッス!」

「離れて待ってて下さいッス〜」


ライトはルドルに託し、

ブンブンと手を振り草むらの方に消えていった。


「なんだ突然!驚いたわ!」

「別に帰ってからでもいいのにな」


(そんなにお腹痛かったのかな?)



草むらの奥にて。


「こんなに何の成果も得られず帰るなんて、スーパー科学者としてのプライドが許さない!!」

「この私の前では証拠隠滅など、無駄な事だと言うことを変態に思い知らせてやるッス!」


メガネを外し、着ていた白衣を脱ぎ丁寧にたたみ地面に置く。


身体にフィットした厚手のニットがスタイルの良さを際立たせていた。


目を閉じ集中する。


「腹が立つから魔力は全開で行くッスよ!」


ヴワァン。


大きく丸い空間がリンビアを中心に現れた。

その空間はセンサーの様に脈を打つ。


「全てを見通す力!」

「そして勝利をもたらせ!」


「《スキャニング・ヴィクトリー》!!」


波動の様な魔力の波が広範囲に広がり、アリ一匹すら見落とさない程の情報が流れ込む。



《スキャニング・ヴィクトリー》

リンビアの持つ広範囲探索能力。

情報量がとてつもなく多くなるため、集中力が必要となる。

名前の由来は、全てを解析したら勝確という気持ちが込められている。

基本的には外に出ない事から、使う事も少ない。



数秒時が経ち、

空間はリンビアを中心に小さくなり消えていった。


「ハァハァ」

「久々に使うと疲れるッスねー」


ふぅーと軽く汗を拭い、身なりを整え情報を精査した。


「“この辺には”おかしな点は確かに少ないけど」

「あそこ」

「嫌でも分かる程の暗く“歪んでる魔力”があるッスね」

「確実にこれは変態の気配!」

「調べ甲斐はありそうッスけど、今からだとちょっと遠いッスね〜」

「それに遅いとトイレが長いやつだと思われてしまう…」

「リンビアちゃんは、そんなにデカいうんこはしないッス!」


情報を得たリンビアはルンルンで二人のもとに戻る。


「お、長かったな!」

「お腹大丈夫か?」

「もうバッチバチのバッチリッス!モリモリ出ました!」


親指を突き立て言う。


「よい!健康健康!!」

「おいおい、恥ずかしげもなく…」


みんなで帰路につく。


落ち込んでいたリンビアも既に明るい表情に戻っていた。


「さぁ依頼も一段落した事ですし、次はソーンさんと熱い夜を過ごすッスよ〜」


手をワキワキさせながら迫る。


「いや、俺はこの枝をだなぁ!」

「それも手伝ってあげるッスから〜!!」


不穏の種は残ったものの、

ソーンは無事リゴンの枝をゲットした。


――あの歪んだ魔力とはいったい。


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