第11話『高過ぎだろ!!』
ギルドの前で落ち合ったソーンとルドル。
二人は普段から時間を決め待ち合わせをしている。
そんな時にルドルが一つ提案をしてきた。
「なー、ソーン」
「ちょっと依頼を受けるの前に一つ提案なんだが」
落ち着いたトーンで話し始めた。
「俺達にも拠点なんてあったらいいと思ったんだが、どうだ?」
(突然だな)
(カッコいいものでも目にしたのか?)
「拠点?」
「いいとは思うがまだ二人だし、別に今のままでも俺はいいと思うけど?」
「ちっちっち」
「分かってないなーソーン君」
ソーンの目の前で指を振る。
「拠点とはパーティーの集う場所」
「天を覆う青が一つなのと同じく」
「俺達を覆う屋根が一つなのは当然の摂理」
「そうやってパーティーとは、絆を深め深淵にも立ち向かえる力を産むのだよ」
(またこれか…)
「なるほどな、拠点があるとよりパーティっぽいって事か」
「そうとも言うな!理解が早くて助かる」
「それにな毎回時間を合わせて待ち合わせってのも、ヤロウ同士でやるのも何かな…」
(確かに、分からなくもない…)
「とは言え、そんなちょうど良く拠点が生まれるわけじゃないだろ?」
「そう言うだろうと思って、バッチリ探しておいたぞ!」
へへん!と言わんばかりに鼻息が強くなる。
「仕事が早いな」
「何処かにいい物件でもあったのか?」
「まぁ見てのお楽しみだ!早速行こうぜ!」
ルドルは早く見せたくて、そそくさと走り去ってしまう。
「ちょっ、足早いな!待てってー!」
ーーー
ーー
ー
ギルドから少し離れた所に手つかずの空き地があった。
「ここだ!」
じゃじゃーん!と音が聞こえてきそうなテンションで見せてくる。
「ここ?ただの草の生えた空き地だ」
「テントでも建てるのか?」
「いいや、親父の知り合いに大工さんがいてよ」
「ちょっと掛け合ってみたんだが、ここはもうだいぶ前に誰も近寄らなくなった“いわく”付きの空き地らしい」
「いわく付き…」
「なんでもここで遊んでる子どもたちだけが感じる音や振動があるみたいで、大人たちが来ると静かになってるだと」
「子どもたちだけが感じれる音や揺れ?何だそれ」
「誰もその真相は分からないらしい」
「前に一人の女性がここから忽然と姿を消したらしくて、その人の霊が子供たちと遊びたがってるんじゃないかって話らしいが…」
訝しげな表情で考え込むルドル。
「と、まあ考えても仕方がないけどな!きっと子供の遊びだろ」
この時はその程度にしか考えていなかった。
この土地の選択は後の悲劇へとつながるなんて誰も想像していなかった。
「それでソーン。一つ相談なんだけど…」
「相談?改まってどうした?」
「ここの土地と拠点のお金なんだけど…」
「もちろん俺も出すぞ!これは未来への投資だ!」
(そう!俺の未来!!)
「それはありがたい!んだけど…」
(ルドルにしては妙にモジモジしてるな)
「ハッキリ言ってくれて大丈夫だよ?何?」
「7万ジューロン…かかるんだ…」
「な、7万ジューロン!?!?」
「最初は10万だったんだけど、親父の力といわく付きってことでこのくらいの値段に収まったんだ…」
(7万ジューロンって事は、薬草採取の依頼が出来高ではあるがおおよそ…700回…信じられん…)
「そんなに高い土地だったのか…」
「いやぁ…そのよ…」
一枚の計画書を見せた。
ーーーーーー
ーーー
ー
「絶ッッッッ対にいらない!」
「なんだよこの、ウルトラスーパービーム砲って!」
「それにこの真っ黒で全然日が入らなそうな作り!太陽の熱で燃えるぞ!」
「それはカッコいいだろ!この方が!」
「あと家に翼とかいらないから!家ごと飛んでいくのは大変だろ!降りるところとか!」
「翼は生きる証しだ!」
「みんな心に翼を持ってるだろ!」
「番犬にケルベロス!?」
「どこに居るんだ…いるか…」
「でもエサ代とか散歩とか大変だろ!」
「その三つ首の前ではなんぴとたりとも生きては帰れない…」
「最後は門の柱に龍!…まぁこれは別にいいか」
「それは良いのか優しいな!チキショー!」
ハァハァ…
ゼェゼェ…
「これだけ削れば値段も下がるだろ…」
「俺のスーパー最上の拠点計画がぁ…」
隅っこで体育座りでいじけるルドルを尻目に、拠点の値段をはじき出す。
「ざっと、5000ジューロン」
「まぁいわく付きの土地で普通の建物ならこのくらいだろ。普通に比べればかなり安い」
「……」
「やったな!ルドルこのくらいなら俺たちの拠点が建てられるぞ!」
「……」
「門のドラゴン俺が決めるかー、ルドルは反応がないただの屍になってるしな」
チラッ
「くそー!そこだけは譲らねぇぞー!!」
「ははは、そこはルドルの好きにしていいから」
「ここだけでも最上にカッコいいものにしてやるからな!!」
「楽しみにしてるよ!」
こうしてセブンスヘブンの集う拠点作りが始まった。




