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薗木異世界総合法律事務所  作者: 園木まさ
第6章 廣田総合法律事務所の日常③

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第31話 異世界から来た……人間???

「とりあえず使ってみるか……」

 どうやら顔パックらしきものは10枚程度入っているようだ。青いゼリー状で、少々ヌメヌメしている。見た感じは少々気持ち悪い。

 1枚を広げて、メガネを外し、顔に貼り付けてみる。


「ぬ、お、ああ、ああぁぁ……」


 な、なんという心地よさ!

 そうだった!最初のプニョンさんに触った時と同じ!ちょっとヒンヤリしていて、得も言われぬ気持ちよさだった。それを顔に当てると、手で触った時と比べようがない程の心地よさ!

 あ、思い返せば、城石さんも「触れる者全てを癒す《エクストリームキュア》肌(スキン)」を体験して、司法試験で傷つき、疲れ果て、荒れ果てた(そこまでは言ってなかったか……?)肌が回復したと言って、喜んでいたではないか!


 思わず、自分の肌を触ってみる。

「!!!」

 何という艶やかな肌!こんな肌感になったのは、いつ以来だ?記憶にないぞ!

 す、すごい顔パックだ!!!


 でも


 でも、


 でも……


 先ほど金庫に入れたアレに比べると……

 顔の素肌のサッパリ感、ツヤツヤ感に反して、なぜか心は罪悪感に近いザラザラした気もちに苛まれるのだった……


 コンコンコン


 顔がサッパリツヤツヤになったところで、何か音がする。事務所の玄関の方からだ。また来客だろうか。

「ごめんくださーい。どなたかいらっしゃいますかぁ?」

 玄関の方から声もする。間違いなく誰か来ている。

 そして、このパターンはもしや……

 法律事務所というのは、あまり飛び込みでいきなりお客さんがやってくることは多くない。弁護士自身、裁判所に行ったり、外出することも多く、基本は電話等での連絡があって、日程を合わせて予約をしてもらい、その日、その時間に来ていただいて、相談や打ち合わせをする、というのが通常の流れだ。

 何の予約もなくいきなりの来訪、そして、事務所におれひとりだけ……今までの異世界からの来訪者は、このパターンが多かった。今回も正にこのパターンに当てはまる。

 玄関の方に向かってみる。

 今度は、どんな人、いや、人ですらない人が来ていることも考えられる。

「あ、先生ですか?」

「はい。ご予約等はされていますか?」

「いえ、予約はしていないのですが、ここに来たら相談が受けられると聞きまして」

「はい。法律相談ご希望ということですね。では、こちらにどうぞ」


 突然来訪したその人を相談部屋に案内する。

 うん。間違いなく……普通の人のように見える。

 今までの異世界からの来訪者のようなツノとか、長い耳とかはない。ましてスライムとか、人間ではない何かということでもなさそうだ。

「私、弁護士の薗木真人といいます。今日はよろしくお願い致します」

「はい。私はノモイといいます。よろしくお願いします」

 「ノモイ」さんというのか。あまり聞きなじみのない名前だが、漢字で書くと「野茂井」だろうか。改めて相談部屋でノモイさんを観察してみると、年齢は40代くらいか。やはり、パッと見た限りでは、異世界から来た事がうかがい知れる何かしらの「特徴」はなさそうだ。これは、普通に飛び込み相談が入ったのか?それはそれで珍しいことではあるのだけれど……

 いや、もしかしたら人間に何者かが変装しているパターンもあり得るか?

 もう、ストレートに質問してみるか。

「つかぬことをおうかがいしますが……ノモイさんは、人間……ですよね」

「え、どうしてですか?」

「あ、いや、このところうちの事務所、人間のような人間じゃない方もいらっしゃることがありまして……」

 しまった、やっぱり尋ね方があまりにも変か。普通の人だったら、「あなたは人間ですか?」なんて尋ねられたら驚くし、失礼な質問になってしまう。


「ああ、そういうことですか」 

 え、それで納得できるの?

「私は間違いなく人間ですので、その点はご安心下さい」

「あ、そうでしたか。大変失礼な質問をしました。申し訳ありません」

「いえいえ、今時は、色んな種族がいますからね」

「そ、そうですよね」

 色んな種族……そうなのか?

「すみません。本題に入りますね。今日はどういったご相談ですか」

「はい。実は、事故があったんです」

「あ、事故ですね。交通事故でしょうか」

「コーツ―ジコ?ええっと、うちのドラゴンがぶつけられたんです」

「ん?ドラゴン?車の名前、ですか?」

「え、クルマ?いや、うちは商人をしているんですけど、配達とか荷物の運搬にドラゴンを使うんですよ。そのドラゴンが別のドラゴンにぶつけられて、商品がぐちゃぐちゃになっちゃったんですよ」

「ああ、そういう……」

 なるほど。そうきたか……

 今回は、異世界から来た「人間のノモイさん」のご相談、ということのようだ。


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