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薗木異世界総合法律事務所  作者: 園木まさ
第3章 二人目の相談者 「リコン」危機の凄腕冒険者エルフ -「リコン」って何ですか??

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第12話 経験値「0」と経験値「1」の違い

 城石さんが「イケメン」と評するご相談者を相談室にお招きする。

「こちらへどうぞ」

「はい」


 改めてお顔を拝見すると……おお、ああ、た、確かにイケメンだ……

 目鼻立ちは整っていて、まゆ毛もキリっとしている。瞳の色は濃いブルーで、背中の方にまで伸びた髪の毛は、艶があって、薄いゴールド。男のロン毛なんて、本当にカッコいい人じゃないとカッコが付かない。身体中を、何というか、小さい光の粒子みたいなものが覆っている。かといって誰も寄せ付けない雰囲気というわけでもなく、その粒子からは優しさのようなものさえ伝わる。この人の人柄を現しているのだろうか……

 ただ、一か所だけ、妙におかしなところがある。

 耳が……とんがっている!

 普通の人間よりだいぶ長い。

 マリンダさんと同じく、また魔族がやってきたということなのだろうか……


「はじめまして。冒険者エルフのオーランと申します。本日はよろしくお願い致します。」

「はい。よろしくお願い致します」

 なるほど、今回は「エルフ」ですか……魔族とまた違うファンタジーの一族が現れたぞ。しかし、前回のマリンダさんの時ほどの衝撃はない。人間、何でもそうだが、経験が「0」なのと「1」あるのとでは大きな違いだ。


「……ぃ」

 うん?小声で誰かの声がする。

「…先生」

 相談室の扉がちょっと開いて、手だけが見える。

 そして手招きをしている。

 城石さんのようだ

「すみません、ちょっと失礼しますね」

「はい」

 相談者オーランさんに断りを入れて、相談室の外に出る。


「先生、ちょっとこっちへ。いいですか」

「うん。いいよ」

 相談室から離れた私の執務スペースへ移動する。

「先生……」

「うん」

 ああ、きっと城石さんも自らを「エルフ」と名乗るオーランさんのことが気になるのだろう。しかし、おれに何か聞かれても、わからないぞ?

「私も、一緒に相談入っていいですか?」

「ええ!どうして?」

「だって、あんなイケメン気になるじゃないですか!」

「え、ああ、そういうこと……」

「はい!それに、何か光の粒子みたいのが回りを飛んでますし、『エルフ』って言ってましたよ!」

「うん、ああ、そうだね」

「本当の『エルフ』ですか?どういうことですか??コスプレイヤーでしょうか??」

「いや、そんなことおれもわかんないよ」

「あの耳、どうなっているんでしょうね?確かめますか!!?」


 ああ、そうだよね。もしそこを暴こうとするなら、そこをつついて見たくなるよね。うんうん。おれもマリンダさんの相談のとき、「ツノ」を確認したもんね。その気持ちは非常によくわかるよ。

 しかし、前回ちょっと疑ってしまって、相談者との信頼関係が危うく崩れるところだった。ここは経験値「0」の城石さんと経験値「1」のおれの違いかな。ランチに廣田先生から言われたことを思い出す。


「城石さん、ランチの時、廣田先生が言っていたこと、覚えてる?」

「え、何でしたっけ?」

「この仕事は、誰かの相談を受けるというものなんだから、『まずはその人がどんな人なのか、『知る』ところから始まる』って言っていたでしょう」

「あ!」

「その人が『そういう前提』でお話をされるなら、そういうことでまずは話を聴くのがいいんだよ。きっと」

「なるほど!先生、勉強になります!」

 偉そうに言えるのは、やはり経験値「1」あるからだろう。

「城石さんも相談に立ち会っていいか、オーランさんに確認してみようか」

「はい!お願いします」


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