第455話 スーパー女神だ!
当てにしていたラビエルとバハムートが、邪神ナイアの攻撃で飛んで行ってしまいました。
しかもラビエルはペギエル様にポイされて地面に転がっています。
でもここで、役に立たないって思ってはダメ。
相手が強すぎるのですから。
ペギエル様も、バリヤーで王都を守るので精一杯のはずです。
つまり、あたしと邪神ナイアとのタイマン勝負なわけです。
『さて、これからが本番ぞ』
邪神ナイアがそう言うと、あたしの足元の地面が爆発した。
いや、上に向かって吹き上がっている!
一緒に自分も吹っ飛ばされてるよ!
今の自分の体の大きさを考えると、かなりの量の土砂が吹き飛んでます。小さそうに見える岩も、実際には4~5mぐらいのサイズはあります。
そんな物が、あたしの周りにたくさん浮いてます。こんな事をしたって、何のダメージにもなっていませんけど?
とは言え、上に飛ばされ続けるのも飽きたので、下に戻るとしましょうか。
こちらも、空を飛べるのだからね!
これぐらいの反重力、逆らえない訳がありません。翼に魔力をまとわせて、思いっきり羽ばたいて攻撃範囲から逃れましょう。
攻撃範囲が直径300mほどなので、すぐ出てしまえます。
でも、それまでに邪神ナイアの頭の上まで上がってしまいました。
目と目が合うと、奴はニヤリと笑うのでした。
そのとたん、周りに浮いていた岩が、あたしに向かって飛んで来たよ。
まずい! こんなサイズの岩を砕く魔法は持っていないよ!
緊急回避~~!
でも岩がぶつかる事は無かった。
空中で爆散したからです。これはもしや、ポチャリーヌがレールガンで狙撃したのかな?
もうひとつ飛んで来たけど、これも撃墜されました。
助かったけど、破片が当たって痛かったぞ。
その時、ブレスレットに着信がありました。
『弾はあと2発しか残ってないから、ここからは自分でなんとかしろよ』
「えぇっ?」
役に立たないなポチャリーヌ!
いやまあ、さっきは助けてくれてありがたいのですが……。
『お前はすぐに油断するな』
「……は?」
突如横から殴られた。
とっさに横を見れば、邪神ナイアの腕がありました。死角からの攻撃だったので、まったく気が付かなかった。魔力を使わず、単純に殴るだけなので、気配が分からなかったよ。
こういう時、武術の達人なら気配を察知する事が出来るのでしょうが、あたしには無理無理。
また殴られる前に、飛びのいて距離を取った。
取ったつもりなのに、全然離れていかない。むしろ、邪神ナイアに向かって引っ張られてる感覚がある。
これは、重力が横向きに掛かってるんだ。
つまり、横に落ちていくんです。1Gどころか10Gぐらいで引っ張られてるようだ。このままでは邪神ナイアに向かって突っ込んで行くので、必死に抵抗します。
しかし、抵抗むなしく近付いて行きます。
それなら離れるのじゃなくて、引っ張られてやろう。そして“落下”の勢いで、尻尾の一撃を加えてやるのです。
ドラゴンならば、空中で体を回転させるのは楽勝なのです。
そら、あと少しで尻尾を叩き込んであげる。
『しかも、考えている事が顔に出すぎる』
「……え?」
理解が追いつく前に、今度は下に向かって落ちるのでした。
いや、落ちると言えば下なのは当たり前だけど、さっきまで横に落ちていたからね。
落ちる方向がいきなり変わって、体勢の立て直しが間に合わない!
100mほどの高さを一気に落ちてしまい、しこたま体を打ち付けてしまいました。幸い背中から落ちなかったので、翼は無事でした。
なんとか魔力による防御が間に合って、骨折や内臓破裂は免れたけど、打撲のダメージで動きづらくなりました。
これは早くムート君に、治癒魔法で治してもらわなくては。
『だから、顔に出すぎると言ってるだろう。ふむ、ラビエル達に助けてもらおうとしているな』
バレた?
いやいやいや、ドラゴンの表情なんて分からないでしょうに。
『100倍の重力を喰らわせてやろう。まあ、ラビエルは死んだりしないであろうが、そっちのドラゴンはどうだろうな?』
あたしがムート君に助けてもらおうとした事がバレてる。
このままじゃ二人が危ない。
でも、体が痛くて思うように力が入らない。
邪神ナイアが片手をかざして、スキルを使おうとしてる。
なんとかしなくちゃ。
「大丈夫よ七美ちゃん。わたしたちが助けてあげるのよ」
「そうだぜ七美。まかせておけ!」
「そうだよ~」
下からメロンちゃん達の声が聞こえました。
助けると言っても、落とし子程度では助けになるとは思えません。
「みんなの気遣いはありがたいけど、もうどうにもなりそうにないよ」
あたしは力無く言うのでした。
「諦めるな七美!」
「そうよ、一緒に戦うのよ~」
「合体だよ七美ちゃん!」
「……はい?」
いま合体って聞こえたけど、聞き間違いかな?
「合体はロマンだぜ七美!」
いや、ちゃんと合体って言ってる~。
え? どういうコト?
「みんな、合体よ~!」
「「おおっ!」」
勇ましいかけ声と共に、メロンちゃん達があたしに向かって飛んで来ました。
そして3人の小さな体が光に変わり、あたしの体を包み込んだのです!
あたしの中に、何かが入って来るのを感じる。それは嫌なものではなく、優しいものでした。
この光はメロンちゃん達の体が、純粋な魔力に変化したものみたいです。その中にあの子達の魂を感じます。
それどころか、なんかドバドバ入って来るぅ!
これって、メロンちゃん達が取り込んだ、落とし子なのかな?
ああっ! ダメ! そんなに入らないよ~~!
しかし、あたしの体に変化が起きたのでした。
すでに8mもの大きさがあった女神竜の体が、さらに大きくなって行ったのです。
どういうコト? メ○シンカなの?
さっきまで頭上にあった邪神ナイアの顔が、ほとんど目の前にあります。つまり、自分も50mぐらいの身長になってるわけですよ!
まさか、ゴジラみたいになってるの?
慌てて自分の体を確認してみたけど、ほとんどそのまま大きくなったようです。怪獣にならなくてよかった。
でも振り返ってみてびっくり。翼が4枚になってました。
びっくりしているのは邪神ナイアも同じです。
『何が起こったのだ? それが真の姿なのか?』
「そ、そうよ! これが真なる神の姿、スーパー女神よ!」
取り敢えず、この状況を利用しない手はない。
スーパー女神なんてのが存在するのかは不明だけど、ここは勢いで押し切っておこう!
(七美ちゃん聞こえる? 今の七美ちゃんは、わたし達が食べた落とし子の能力が使えるのよ~)
頭の中でメロンちゃんの声がしました。
「それって、あたしの中に落とし子が取り込まれているから?」
(そうなの。それに、今まで出会った落とし子を手の先からそのまま出せるのよ)
なんかもう、魔物とかのレベルを超えているようだけど、開き直って頑張るしかない。
気が付いたら、さっきのダメージも無くなっていました。
やはり、メロンちゃん達は有能だ。




