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第451話 思わぬ攻撃

『これで守らねばならん者も避難させたし、心置き無く戦えるという事だな?』


 今までのあたし達のやり取りを、黙って見ていた邪神ナイアがそう言いました。

 騎士団や警備隊はともかく、アドリアス王子を避難させたので安心です。


 ナイアも国境門から離れて行ったので、邪魔される事も無いでしょう。


「その通りなのだ! そんなでかい図体をしていても、我が輩らに掛かればイチコロなのだ!」

「イチコロって……虫じゃあるまいし」

「いや、しぶとい所はゴキブリと一緒よ」

「「確かに!」」

 軽口をたたいていますが、緊迫の場面でもあるので、笑うのは控えております。

 遠くで「誰がゴキブリだ~」って言ってるのは、たぶん気のせいでしょう。


『ゴキブリとは何だ? ふむ……黒くて小さな生物の事か。なるほど、強い生命力を持っているのだな』

 邪神ナイアがなんか言ってる。

 あれは分身のナイアから、情報をもらっているのでしょうか?

『ゴキブリとは侮辱表現なのか? まあそう怒るなよナイア』


 やっぱり分身と繋がっているんだ。アブホースさんとメロンちゃんと同じで、本体と分身の間では意思疎通が出来るんだね。

 まあ、どうでもいい事ですが……。


『我に対して侮辱的な発言をしても、何とも思わないがな』

「いや、こだわっているだろう?」

『それより、戦いを再開しようではないか』

 邪神ナイアが楽しそうに言った。

 こっちは、どこも楽しく無いんだけど。



『まずはお前』

 と言って邪神ナイアはバハムートを指差した。

「は?」


 バハムートが間抜けに聞き返します。

 邪神ナイアの指先から光が……!


 とっさに避けるバハムート。

 しかし、翼の先をかすってしまいました。


 光はバハムートの後ろに当たり、地面が円形に真っ赤になった。

 その様は溶岩のようです。


 あ。これは爆発するヤツだ。

 じゃあ水をかけて冷やせばいい。


 ダメだ。もっとひどい事になりそうだ。

 水が一瞬で沸騰して、水蒸気爆発が起こりそうですよ!

 それなら属性魔法で火を水に変えてやろう。


 ここまでで2秒経ちました。急げ急げ!


「ヴァルナ!」

 水の真言を唱えると、溶岩が水に変わりました。

 これで大丈夫です。

「うわっ!」

 いや、大丈夫じゃなかった。溶岩が水に変わったのはいいけど、大量の水があふれてバハムートにかかってしまいました。


『ほう。属性魔法を使うか。さすがは次期女神だな』

「そりゃどうも」

 邪神などに褒められても、たいして嬉しくも無いよ。

『知っているか? 属性魔法は強力だが、弱点が無い訳でもない』

 今度は立てた人差し指からビームを出した。

 それは上に向かって飛んで行ったが、途中でUターンしてこちらにやって来ました。ビームがあたしの足元に着弾して地面を溶かしたので、再び属性魔法で水に変えてやりました。


「どこが弱点ですって。ほら、この通り」

 あたしはドヤ顔で言ってやった。

『ならばこれはどうだ?』

 さっきのビームは消えずに残っていて、ぐるりと回って横から襲って来ました。

「無駄よ。ヴァルナ!」

 ビームの光は熱エネルギーなので火属性のはず。水の真言で無力化出来ます。


 でも、ビームはそのまま急接近!

 ええっ! なぜに?


「おおっとぉ!」

 地面に倒れて、何とかかわしました。体が大きいのでかわすのも一苦労です。

『これで分かっただろう。属性魔法では、属性の無い魔力そのものの変質は出来ないのだ』

「ちょっと待ってよ! 魔法を使うのに、属性が無いなんてありえないよ!」

『お前の言う属性とは、地水火風空の五大の事だろう? この光の帯は無属性の魔力なのだ。それを念で操っているにすぎん』

「つまり……魔力を超能力で動かしているってこと?」

『うむ、今風に言うとそうなるな』


 なんだ今風って。

 邪神のくせに話が通じるところが、微妙にムカつくな。やっぱり分身がこちらの世界にいるから、影響があるのかな?

 それにしても、自分の能力を敵にバラしてるってどうなの?

 普通、秘密にするもんでしょうに。


「こいつは余裕だな。桁違いに強いからって我が輩らを舐めているな」

「そうなの?」

「そうだよ。僕達3人ならあっという間に決着が付くのに、まるで本気を出していない」

 言われてみればその通りですよ。

 あたし達を倒そうと言うよりは、試しているみたいな。


 それならこちらにも考えがあるよ。

 超能力と言えば精神力の事です。精神集中が乱されればどうなるか試してやりましょう。

 ここでラビエルと打ち合わせする暇もないので、心が繋がっているメロンちゃん達に協力してもらいましょう。

 メロンちゃんはシエステのお家に行ったので、頼むならクロンちゃんとシロン君ですね。

「クロンちゃん、シロン君。奴の邪魔をして」

「「分かった~、任せて!」」

 あたしの近くにいた二人は、さっそく影に潜って行きました。


 向こうでラビエルが「なんで我が輩に頼らないのだ」と、ぶつぶつ文句を言ってる。それを見てバハムートが苦笑してます。


『では再開といこうか』

 邪神ナイアが、またビームを投げ付けようとしています。

 ここだ!

 あたしの意思を受けたクロンちゃんとシロン君が、邪神ナイアの影から飛び出して攻撃したのです。

 今度は長細いハリガネムシの落とし子だ。こいつは固い体でグネグネ動き、空も飛べるヤツです。

 身長50mもの巨体には、たいしてダメージを与えられませんが、気を逸らすぐらいにはなります。


『なんだこいつは? 鬱陶しいぞ』

 邪神ナイアは、片手でハリガネムシを払っていた。思った通り、ビームは途中で止まっていました。


「ムート君、今だ!」

「おおっ!」

 そして二人して、ドラゴンブレスをお見舞いです!

『うわっ!』

 邪神ナイアに効果バツグンだ。

 油断していたのか、モロに喰らったよ。女神竜と竜王バハムートのダブルブレスなら、EXランクの魔物でも倒せる程の威力ですもんね。

 あたしとバハムートは、代わる代わるブレスを吐き続けました。これなら相手に避ける隙を与えないでしょう。


 邪神ナイアが動けない隙に、ラビエルに攻撃してもらうのです。ラビエルの方が魔力が小さくても、防御していないならば効果はあるはずです。


「ラビエル!」

「がってん承知の助なのだ!」


 あたしの言いたい事を察してくれたようです。

 いや待て、何であんたが『がってん承知の助』を知ってる?


 なんて、あたしの疑問を知ってか知らずか、ラビエルが魔力弾を発射しました。

 今までこっそりと準備していたようです。


「喰らえ! がってんアタッ~ク!」

『???』

 一瞬あっけにとられた邪神ナイアが動きを止めた所に、魔力弾が直撃しました!

 っていうか、がってんアタックってなんだ?

 そんなふざけた攻撃ですが、かなりの魔力を込めたのか、邪神ナイアの腕の一本を吹き飛ばしてしまいました。もちろん凄い爆発で、周りの林や街道が消えて無くなってしまいました。

 いくらナイアのバリヤーで守られているとは言え、遠慮が無いなあ。


 そのバリヤーのおかげで、国境門から内側の街には被害が出ていませんでした。

 しかし外側には、バリヤーが無いので被害が出ています。バリヤーの外側のあたしやバハムートやクロンちゃん達は、爆風と土埃をモロに浴びていますけど。


「どうだ! 訳の分からない事を言われると、一瞬頭が真っ白になるだろう? 七美から訳の分からない言葉を聞かされてきた経験から編み出したのだ!」

「ちょ~っと待て。それってあたしが訳の分からない事ばかり言ってる、お馬鹿さんって言いたいのかな~?」

「え? いや、そういう訳ではなくてだな……」

 ラビエルはあたしに睨まれて、タジタジになってます。

「じゃあ、どういうワケ?」

「いやぁ、七美のお馬鹿も可愛いではないか……なんて」

「なんですってぇ~~!」


 あたしは丸いピンク色のブレスを、ラビエルに向かって吐き出しました。

 それをラビエルは、タイミングを合わせて避けた。

 ピンクのブレスは反物質のブレスです。触れる物みな消滅させるのです。


 邪神ナイアは不意を突かれたのか、避ける間も無く反物質ブレスが命中しました。

 あたしとの身長差の関係で、当たった所は低い場所です。致命傷にはならないけど、二本の足の太もも辺りが対消滅で消えてしまいました。

 足が半分無くなった邪神ナイアは、後ろに倒れてしまったのです。


 偶然だろうって? いやいや、そんな訳はありませんよ。ラビエルが言った事で思い付いたのです。あたしとラビエルが言い争えば、注意をそらせると思いました。

 そしてテンションを上げれば、反物質ブレスも出しやすくなりますしね。

 突然やってみたけど、うまく行きました。

 二本足ではあの巨体は支えられないのか、邪神ナイアは立てないようです。

 足を修復される前に倒さなければ。


『してやられたな』

 腕も一本失ったので、片手で上半身を起こしています。

『これぐらいなら問題無いな』

「フン! 強がりを!」


 たぶん強がりではなくて、本当に復活出来るのでしょう。

 けっしてこちらが有利という訳ではありません。


『では、さっさと足を修復して……』


 ボンッ!!


 突然邪神ナイアの胸の真ん中に大穴があいたよ!


『ガハッ……』

 背中から内臓を吹き出しながら、邪神ナイアは倒れてしまいました。

 いったいどこから攻撃が?

 それに、攻撃のための魔力を、まったく感じなかった。

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