第215話 サマルタント洞窟遺跡再調査
土曜日になりました。
あたしは再び、サマルタント洞窟遺跡に行くのです。
そしてアノ洞窟ウナギこと、ケイブイールをゲットするのです!
うな丼のために!
それか、うなぎのひつまぶし!
今回のメンバーは、あたしとポチャリーヌ、スピネルさんとミメットさんです。ミメットさんのお仕置きは昨日で終わったので、問題なく参加出来ます。
それと今回は、セネカとウリルの参加は無しです。さすがに魔獣や魔物に襲われる可能性が高い場所に、一般人を連れて行けないからです。
あたしは討伐隊の一人だからいいのですよ。
それと、ムート君や使徒達も連れて行けません。いじわるではなくて、あたし達の目的がテレビなのを知られたら止められそうだしね。
と言う訳で、あたしとポチャリーヌはドラゴニアのハンターギルドに来ました。
ここでスピネルさん達と待ち合わせです。二人は前回と同じ会議室で待っていました。
「で、何でいるのラビエル?」
呼んでもいない、ラビエルとリリエルちゃんがいた。
「ひどいぞ七美、我が輩らも連れて行くのだ!」
「そうなのですぅ、私たちも一緒に行かないと、ペギエル様に怒られちゃいますぅ」
ペギエル様にバレてた。
「しょうがないな、大人しくしておれよ」
「ハイですぅ」
「任せておけなのだ」
使徒達はポチャリーヌの言う事を素直に聞いていました。
それはいいのですが、もう一人予定外の参加者が……
「ムート君も呼んでないのに」
「ひどい!」
予定外参加者とはムート君なのでした。
「お主を連れて行くと、色々まずい事があったのだが……もう意味が無いな」
と言ってポチャリーヌはため息をついた。
ペギエル様に知られると、絶対怒られるからです。
まあ、とっくの昔にバレてたみたいですがね。
「討伐隊とは関係なく、僕も友達なのに……」
ちょっと拗ねてるムート君です。
今日は人間の姿ですが、これでアリコーンの姿で拗ねちゃったら、萌え死にしてしまいそうです。
あたしだけじゃなく、女性陣が。
「分かった分かった、お主らも連れて行ってやるぞ」
結局ムート君達も一緒に行く事になりました。
「どうやって行くの? 今日はラビエルとリリエルちゃんがいるので、転移魔法で送ってもらう?」
あたしはポチャリーヌに尋ねました。
「いやいや、討伐隊の任務では無いので、ラビエルらには頼めないだろう。なので、今日も空間跳躍魔法を使うぞ」
そう宣言するポチャリーヌ。
ペギエル様にバレていても、取り敢えずプライベートな用事の体裁は気にしているのですね。
「え~~? 私達はいらないですかぁ?」
リリエルちゃんは、つまらさそうに言いました。
「たまには楽でいいだろ? 今日は妾の顔を立ててくれ」
「まあ……それならいいですぅ」
まだ少し不満そうでしたが、ポチャリーヌに撫でられて機嫌を直したリリエルちゃんでした。
「フン! ポチャリーヌが元魔王と言えど、そんな事が出来るのか?」
「造作も無いわ、これを見よ!」
スピネルさんとミメットさんに魔力を貰ったポチャリーヌは、会議室の真ん中に転移ポータルを開きました。
ポータルの向こうには、サイレグ博物館が見えました。
ラビエルはくやしそうだけど、リリエルちゃんとムート君はポカンと見てたよ。
「どうだ! 妾の力は。使徒の力を使わなくても、これしき何でもないわ!」
と言って、メッチャ自慢げなポチャリーヌ。
「あんた一人じゃ魔力が足りないのに?」
「む……、今はしょうがないのだ……」
「いやぁ~、これだけでも凄いですよぉ~」
ポチャリーヌは、ミメットさんに慰められていた。
「では行くぞ!」
「あれ? いきなり博物館に行くの? 入国の手続きはいいの?」
「我らはまだ出国の手続きはしていないだろう? まだエルドランテ王国にいる事になっておるから、いきなり王都に行っても問題無い」
「え? ああそうか」
そう言えば、帰りは直接ドラゴニアに出て来たのでした。
いやその前に、あたし達はリュウテリアの出国手続きもしてなかったよ。つまりあたし達は、国外に出ていない事に……
うん。考えてもどうにもならなさそうだ。
あたし達はポータルをくぐり、サイレグ博物館に行きました。
「お待ちしておりましたポチャリーヌ様、そしてナナミィさん。スピネルさんとミメットさんには護衛の件、よろしくお願いします」
研究所主任をしているタイラントさんが、お迎えしてくれました。
「また来てやったぞ、今回はお前も同行するのだな」
「おおっ! ラビエル様もいらっしゃるとは、今日は私も同行する事になりました。再調査隊のメンバーはあと3人いますが、ラビエル様がいれば、安心して調査が出来ます」
「うむ、任せておけ」
なんてラビエルが言うけど、知り合いだったの?
そう言えば前回は、ラビエルとポニエル様が護衛をしていたので、それで顔見知りなのでしょう。
「リリエル様にも感謝申し上げます」
「まかせておけ、ですぅ!」
タイラントさんは、リリエルちゃんにも感謝しておりました。
ポチャリーヌに抱かれてぬいぐるみみたいだったのに、目ざとく気付き話し掛けるなど、そつの無い人だ。
でもさすがに、人間姿のムート君が、女神様の息子なのは気付かないよね。
そして、再調査隊の残りの3人とも顔合わせを済ませ、今から洞窟遺跡へ行く事になりました。今度はラビエルとリリエルちゃんの転移魔法で行きます。
理由は簡単、スピネルさんとミメットさんの魔力が少なくなったからです。空間跳躍魔法は、かなり魔力を消費するみたいです。
「行くぞ! 着いたぞ!」
周りは山の景色に変わりました。
目の前にはポッカリと口を開けた洞窟、サマルタント洞窟遺跡の入り口です。前回はここでリヒテルが出迎えたのです。
奴も今となっては、女神様を攻撃した大罪人なんだけどね。
発掘作業も終わり、周りには誰もいません。作業小屋とか道具が置かれていた棚とかも片付けられています。
でも掘った跡とか残っているので、この世界では調査後に埋め戻すとかはしないようです。
「ここでの調査は、2日間を予定しております。宿泊の為に簡易宿泊キットを持って来ていますので、そちらをご利用下さい」
研究員さん達は背負っていたリュックから、大きな箱を取り出して組み立てて行きました。リュックは空間拡張バッグと言う、外側に比べて中身が凄く広くなっている物ですね。
そしていくつかのパーツを繋げると、小屋の形になりました。いわゆるプレハブ工法ってやつ?
小屋は2つ建ちました。男女で別れるそうです。
「ここは彼らに任せて、我々は先に洞窟に入りましょう」
「では私達は、タイラントさんの前を歩きましょう」
と言ってスピネルさんがミメットさんと一緒に、タイラントさんの前に出ました。
そう言えばこの二人は、護衛の依頼をされていたのでしたね。
「スピネルさんより、ナナミィちゃんが先頭の方がいいんじゃない?」
「え? でも、危険な魔獣とかが居るのでしょう?」
ムート君の提案に、タイラントさんが戸惑っていました。
「彼女はここの魔物達と友達になったからね。それに危険な魔獣が居る場所も知っているし、先頭を任せてもいいかも。ラビエル様も一緒なら心配無いですよ」
「ああ、それならお願いします」
と言うわけで、あたしとラビエルが先頭で洞窟に入る事になりました。
「あ。そう言えばあたしは、正規ルートを知らないんだけど」
そうなのです、あたしは見学の途中に未調査区画に入り込み、さらには鉱山跡も通ったりしたのです。
「あの時ナナミィ達は、こちらの知らないルートで最下層まで行ったんだよね?」
とスピネルさんが言いました。
あたし達はスピネルさんが離れた隙に、勝手に入って行ったのでした。おかげで、戻って来たスピネルさんは慌てる事に……
「その節はすみませんでした!」
今更ながら、あたしは謝るのでした。
結局、洞窟内のルートをよく知っているスピネルさんが先頭で、あたしとラビエルがその後に付いて行く事になりました。
こっちの道には警備ドロイドがいないので、安心して歩けます。
しばらく歩いても、危険な魔獣などには出会いませんでした。
それもそのはず、前回の調査の時に、ラビエルとポニエル様が排除していたからです。なので、さっさと通り過ぎます。
「待って、魔物の気配がする」
スピネルさんが剣に手を掛けつつ、片手であたしを止めました。
「魔物ですか? あたしには敵意や殺意は感じませんが?」
「それは向こうが気付いてないからよ。私が様子を見て来ます」
後ろにいるみんなにそう言って、スピネルさんがゆっくりと歩いて行きました。
その時ガラガラと音がして、あたしの横の壁が崩れました。
見るとそこから魔物らしき生物の姿が!
あたしは魔力弾を使おうと、魔力を高め……
「おや? ナナミィはんじゃないですか?」
「え?」
壁に開いた穴から顔を出していたのは、オケラのような格好の魔物だった。
「「タケゾーか?」」
あたしとラビエルはビックリ。
「ラビエル様もお久しぶりです。こんなに大勢で、また調査ですかいな?」
タケゾーはスプリガンと言う魔物で、おもに遺跡や洞窟などに住んでいます。
前回の遺跡調査に同行した時に、お友達になったのです。




