第四十九話 See you again-6
リナリア
「ったく!!兄さんったら!
はぁ。
もう、やっつけたみたいだし
一旦、帰ろうか。」
アキレイ
「待て。リナリア。
生き残ってる人がいるかもしれない。」
リナリア
「兄さん。私達も探した。
でもだめだった。
いなかったの。」
アキレイ
「いいや。まだいるかもしれん。
まだ西と南を捜索してないだろ。探すぞ!!
リナリアは南を頼む。
俺は一人で探せるから
全隊連れていけ。」
リナリア
「ふぅ……
そうね。探しましょう!!」
リナリアは隊士たちを連れて
アキレイの指示通りに
南の捜索へと向かった。
アキレイ
「やるぞ。紅大蛇
『八頭蛇天ノ鬼霊蛇!!』
アキレイはそう叫ぶと紅大蛇を
地面にさし柄に額を当てて
目を閉じた。
すると刀身から赤い蛇が西側全体へと這い
一気に広がった。
アキレイ
((違う………いない……
もっと……奥だ……
全て……蟲に喰われてしまったのか……))
八頭蛇天ノ鬼霊蛇の熱探知により
広範囲の探索を可能にしたアキレイは
更に更にと奥深くに探索範囲を広げた。
アキレイ
((どこだ…………何!?
見つけた……かろうじて息はありそうだ……))
アキレイ
「行くぞ!!紅大蛇!!」
アキレイは爆炎の勢いを利用して
空中へ飛んだ。
アキレイ
「そこか!!」
そこは蛇の像を祀る教会跡地だった。
蟲に蝕まれた教会は
ほぼ跡形もなく、鉄で作られていたであろう蛇の像も
形を保ってはいなかった。
アキレイは着地すると教会跡地に駆け込んだ。
アキレイ
「はぁ……はぁ……生きてるか!!!
助けに来たぞ!!!!!
返事は出来るか!!!!」
八頭蛇天ノ鬼霊蛇で探知した場所へ
まっすぐ歩いていった。
そこは蛇の像がある柩の中だった。
アキレイはフタを開けると
中には少年が入っていた。
アキレイ
「大丈夫か!!!」
少年はまだ幼く
小刻みに震えながらアキレイを見た
その身体にはびっしりと
蟲が張り付いていた。
アキレイ
「待っていろ!!
少し熱いがその蟲を殺してやる!!」
アキレイは炎を指に灯すと
ゆっくりと丁寧に焼き払った。
アキレイ
「これ……は………」
少年の左腕と左足はもう無かった。
アキレイ
((何故……声も……上げない……
痛みを……感じないのか!!))
アキレイ
「痛くないのか?」
アキレイ
((そんなはずがない……))
少年はアキレイを見つめたまま動かなかった。
アキレイ
「今、照刃で治療してやるからな。」
『照刃四十四•治癒音波 四汽連祷』
アキレイは指でピアノを奏でる様に指を動かすと
その一本一本から優しい波動が少年を包んだ。
空気が振動し、優しい音色が奏でられる。
アキレイ
『組曲 波穂』
『組曲 蒼天滴』
『組曲 翠風光』
『組曲 楓葉舞』
『照刃四十四•治癒音波 四汽連祷』
照刃刃術の中でも
珍しく四つの詠唱が必要な照刃である。
指の動きを少しでも間違えると組曲は失敗し
完全な治癒効果は見込めない。
更に時間を要し複雑な照刃の為
照刃の中でも滅多に使われない刃術である。
アキレイは少年を助けたい一心で
自身が使える最大 照刃を発動した。




