第二十四話 マーベラス突入作戦 後編1/2-4
ーー二分隊サイドーー
先の戦いで辺り一面は砂漠
ここだけ違う世界に来たように思えるほど
地形全てを変えてしまった。
その張本人は
ピラミッドの上に立っていた。
ジニア
「はぁ。ヒマや。
ヒマすぎてかなわん。
どないしとったらえーんや。
キキのやつ大丈夫なんやろか。」
ーー四分隊サイドーー
女は地面に額を擦りながら
地面を這っていた。
キキョウ
「助け……なきゃ……
私が…………私が……」
サフィニア
「あーん。
お姉さん逃げるヌォオン?
這いつくばって逃げようとしてるヌォオン?
ウケるんですけど。
逃げるって意味分かってやってる?
耳も聞こえないんだっけ??
あっ!!お姉さん!!
足……ケガしてるん、だ、よ、ね!!!!」
キキョウ
「ァァア!!
グッ……わた……わたしは……
……争を………終わら……せる…」
サフィニア
「え?なんてー?
急に戦争がなんだって??
僕には関係……ない!!」
キキョウ
「ガッッ」
サフィニア
「ないっ!」
キキョウ
「ゥッグッ」
サフィニア
「ないっない!」
キキョウ
「ゥッア!!グッ」
サフィニア
「ない!!!ない!!!ない!!」
キキョウ
「アァ!!グァっ!!ァァァ!!」
少女が殴るたびに
女は声を上げる。
少女の怪力で
顔を何度も殴られる女。
だが、女は途中から声を上げなくなった。
サフィニア
「はあ、はあ、はあ……
おっかしいな……
殺すつーもーりぃいなんだけどぉぉお!」
女の意識が遠のいていく。
キキョウ
「あぁ……私……死んだんだ……
パパ……ママ………私……頑張っ……た、
頑張っ……たよね?」
女は暗い暗い部屋にいた。
キキョウ
「あれ?私………ココって。」
そこに女と男が入ってきた。
キキョウ
「ママ!!!!
パパァア!!」
女は思わず抱きついた。
ママ
「よく頑張ったね。」
パパ
「キキョウ。偉いぞ」
女は溢れる涙をこらえることが
出来なかった。
キキョウ
「私ね、私ね、」
パチンッ
そして世界が廻る。
キキョウ
「ゥッ!??ココは!!」
外から滅刃の怒号が
聞こえる。
目の前には小さな少女がうずくまっていた。
ママ
「キキョウ良い??
何があってもこの中から出てきちゃダメ!
分かった??分かったわね?」
キキョウ
「アレは小さいころの私………
これは!!!!!嫌!!
お母さん!!!逃げて!!
逃げてぇえ!!!!逃げてよ!!」
パチンッ
世界が廻る。
キキョウ
「え?ココは……どこ?」
豪華絢爛な
東洋風の屋敷の中にいた。
カーン。カーン。と心地よい鐘が聴こえる
周りを見渡していると突然、引っ張られるように
立った状態のまま足を引きずられた。
襖が何枚も何枚も勝手に開き
まるで早送りの様に駆け抜けていった。
キキョウ
「キャァア!!」
そしてピタリと止まった。
キキョウ
「ハァ……ハァ……何なのこれ」
見渡しても湯煙で
何も見えなかったが
鐘の音は先ほどより大きく聴こえる。
キキョウ
「湯気……かしら?
ん?外………なんて、綺麗な音なの?」
女はそっーっと歩き出すと
人影が見えた。
キキョウ
「誰……ですか?」
人影は 不敵 に笑うと
湯煙を払った。
キキョウ
「!?」
目の前には湯に浸かりながら
酒を飲む猿の様な不思議な生き物がいた。
神と名乗る者
「我は神なり。」
キキョウ
「神……様……ですか?」
神と名乗る者
「世界が憎いか」
キキョウ
「急に……何を………」
パチンッ
そしてまたもや世界が廻る。
神と名乗る者
「見ろ。」
外から滅刃の怒号が
聞こえる。
目の前には小さな少女がうずくまっていた。
キキョウ
「コレは!!!」
ママ
「キキョウ良い??
何があってもこの中から出てきちゃダメ!
分かった??分かったわね?」
少女キキョウ
「うん……分かった。」
ママ
「絶対に声を出しちゃダメ!!
いい??分かったわね?」
少女キキョウ
「分かった。」
女はそう言って
少女を閉じ込めた。
扉越しに悲鳴が聞こえる。
ママ
「いや!!いやぁ!
やめて!!私の……ウデェェ!!!!」
キキョウ
「やめてぇ!!!!!」
神と名乗る者
「幼いお前は何を感じた。」
キキョウ
「ハァ……ハァ……
どうし、て、こんな真似をするの!
私が死んだんなら
早く地獄でもどこでも連れて行きなさい!」
神と名乗る者
「幼いお前は何を感じた。」
キキョウ
「何を??感じたですって?
感じたわ!!
恐怖!!絶望!!悲しみ!!怒り!!
ママと、パパを殺した奴ら
全員が憎い!!!!!」
神と名乗る者
「ほう。」
神と名乗る者は指をパチンと鳴らした。
するとまたもや世界が廻る。
キキョウ
「グッ……今度は……何……」
ナーベルク士官学校 入学式。
キキョウ
「これは……」
女が緊張した面持ちで
重い扉を開けた。
神と名乗る者
「もう一度聞く
幼いお前は何を感じた。」
キキョウ
「期待……希望……決意……」
パチンッ
世界が廻る
神を名乗る者
「見ろ。」
キキョウ
「これは!」
キキョウ
「ァァア!!
グッ……わた……わたしは……
……争を………終わら……せる…」
サフィニア
「え?なんてー?
急に戦争がなんだって??
僕には関係……ない!!」
パチンッ
世界が廻る。
再び湯煙が満ちた場所へやってきた。
鐘の音は止んでいた。
神と名乗る者
「浸かれ。」
キキョウ
「え?」
パチンッ
キキョウ
「アツっ」
女はいつの間にか温泉に浸かっていた。
神と名乗る者
「世界が憎いか?」
キキョウ
「憎い!!
誰かが!!幼い者が!!愛する人が!
私と同じ目に合わない世界を作りたい!!
だけど……私にとって、世界、は、憎い……
憎いけど……その世界で誰かを助けられるなら
私は助けてあげたい!!!!」
神と名乗る者
「力もないのにか?人間。」
キキョウ
「ない……私は弱い……
今日……隊長達の戦いを見て
私は弱いんだって。改めて分かった……」
神と名乗る者
「ほぉ?弱いと認めるのか。」
キキョウ
「認めるわ……
だって私いま、自分が死んで
お風呂に浸かってるこの瞬間
とっても安心してるもの。」
神と名乗る者
「では、何故
泣いているのだ。人間。」
キキョウ
「え?」
女はポタポタと
涙をこぼしていた。
神と名乗る者は酒をグビっと
飲みながら手で湯をすくった。
神と名乗る者
「水は良い。姿形に囚われず
気の向くままに形を変える。
時に身体を温め、時に身体を癒し
時に身体を傷つける。
人間よ。貴様の心は
あの頃 感じた熱を忘れてはいない。
幾度も姿形を変えたとしても
その心に宿った熱は消えないだろう。
世界が憎いなら裁くがいい。
灼熱の魂を震わせ
弱さを自覚し突き進むがいい。
憎む世界を切り開く覚悟はあるか?」
キキョウ
「覚悟?
私は帝国特務戦闘部隊"千刃花"
三刃花隊副隊長 キキョウ
覚悟があるかなんて愚問よ!」
神と名乗る者
「フン。見せてみろ。人間。
貴様の描くその夢を。」
神と名乗る者は
己の盃を
女に差し出した。
神と名乗る者
「さぁ、呑め。」
キキョウ
「これは……」
神と名乗る者
「貴様の魂に呼応した。
お前の憎むこの世界は
この先、十界の如く
厳しいものとなる。
この世が混沌に呑まれる時
神は人間に力を授けん。
神の振るう刃の鞘となれ
新たな鞘の契りの酒だ。」
キキョウ
「私が……鞘花に……」
女はそれを受け取ると
全て飲み干した。
すると鐘の音が再び聞こえた。
神と名乗る者
「さぁ、もう行け!!
世界が閉ざすその前に
人間よ!!良く聞け!!
我が名はーーーー」
キキョウ
「え?」
パチンッ
そして
世界が廻る。




