報復
『……はい、わかりました。シバさんもお気を付けて』
後輩との通話を終えて、時刻を確認すれば午後八時過ぎ。
繁華街である守邦駅北側も一層と騒がしくなる時間帯だ。
「シバ、準備できたぜ」
「ああ……そんじゃ、行きますか」
坊主頭の突入班五人を引き連れ目的の雑居ビルへ向かうなか、俺は紺色の帽子を深く被る。
亜由ちゃんからの情報によれば、姿をくらませた大学生二人が繁華街にある雑居ビル三階の部屋に入るのを確認したらしい。
阿久津のヤツ、本当に優秀な彼女を持って幸せ者だな。
『ガチャ』
エレベーターや監視カメラのある正面玄関を避け、普段使われていないであろう非常階段の扉を通り、素早く階段を昇っていく。
黒い服を身に纏った仲間五人と、紺の作業着を着た俺は教えられた部屋の前まで来た。
インターホンにはカメラがついており、無言で五人に少し離れるよう指示を出す。
あとは手筈通りにやれば、問題ないはずだ。
『ピンポーン』
『……はい』
「夜分遅くに失礼いたします。私、守邦ガスの柴原と申します」
『ガス会社の人がこんな時間になんの用?』
「はい。実は先程、このビルの一階にあるお部屋でパイプの経年劣化によるガス漏れの不具合がありまして。急遽オーナー様から全室調べるように仰せつかったのですが、こちらのお部屋でガス漏れの不具合がないかの調査を今から行わせていただけないでしょうか?」
『え……そんな連絡きてないけど……』
「はい、急なことで申し訳ございません。しかし、オーナー様からはすぐに全室調べるよう言われておりまして……」
『……こ、困るなあ。今、部屋が散らかってるから。また今度にしてくれない?』
「ご心配には及びません。調査は玄関先にありますパイプスペースで数値を計測するだけです。作業も三分ほどで終わります」
『……ほんと?』
「はい、特に問題がなければパイプの状態を確認して交換が必要とあれば、また後日、お客様が都合のつく日程で対応とさせていただきます」
『……わかった。すぐに済ませてよ』
内心苦笑する。
よくもまあこんな嘘がベラベラと自分の口から出るものだ。
そして扉が開き、一人の男が姿を現す。
やせ型でネズミのような顔をした男は、俺に向けて不愉快そうな視線を向けてくる。SNSで自撮り写真を上げていた男のようだが、随分と上手く写真を加工しているようだ。
「……どうぞ」
「失礼します……いけっ」
「は? え、ちょ、なにアンタらんぐっんんんん」
突入班の五人が部屋になだれ込み、その内二人がネズミ顔の男を捕えて首を絞める。
玄関で暴れるネズミ顔は二人に任せて、部屋の内部へ侵入すればタヌキ顔の男が呆けた顔で俺たちを見る。
「へ? な、なんだアンタらは」
「抑えろ」
「や、なにを、んぐごっんん」
先程の男のように仲間が二人でタヌキ顔の男を捕える。
そして部屋の中を見渡せば、酷いものを見せつけられた。
「なんだ、これ……」と、残った一人の仲間が呟く。
部屋の壁一面には女の全裸写真が数十枚張り付けられていた。
写真に写し出され女たちは、顔や身体に酷い怪我を負っていて、拷問でも受けたかのような姿をしている。俺が予想をした通り、こいつらは随分といい趣味をしているみたいだ。
そして、机の上にはノートパソコンが一台あり、カプセル状のクスリが透明の袋に梱包されていたり、注射器が転がっていたり、茶色い葉っぱを紙に巻いたりしている作業途中だった。
どうやら、この大学生二人は副業を沢山お持ちのようだ。胸くそ悪い。
「シバ、運ぶぞ」
「……ああ、頼む」
二人一組で大学生二人を運び出す。首を絞められ過ぎて意識でも失ったのか、大学生の男は大人しくしており、都合よく状況を進行する。
そして残った一人の仲間に指示を出す。
「俺がこの部屋から出て一分経ったら火災報知器に向かって火を点けろ。ライターは持ってきてるな?」
「勿論だ」
「その後は急いでここを離脱しろ、痕跡は残すなよ。んじゃ、第二合流地点で会おう」
そう言い残しインターホンについた自身の指紋を拭き取り、俺も先に出た突入班の後を追う。
そして事前に決めていたルートで輸送班と処理班が待つ第一合流地点まで向かう。その途中、けたたましく鳴る非常ベルを背に歩きながら作業服を脱ぐ。
皮肉だね。
強姦魔連中の捜索を初めて二ヶ月。俺たちは夜の街でどこが人目につきづらいか、どこに監視カメラがないか熟知していた。そのおかげで闇夜に紛れて男二人をあっさりと拉致できてしまうのだ。夜の街を駆けずりまわったかいがある。
「シバ、服と帽子貰うぜ」
第一合流地点に行けば既に仲間が準備を完了していた。
処理班には突入班の服の処理を任せている。先ほどの部屋に服の繊維が残っていたとしても、痕跡そのものを消せば問題はないだろう。
作業服を手渡し輸送班の阿久津と視線を合わせる。バイク計六台。その内の二台には拉致した大学生二人を運転手と身体を密着させ半透明の紐で身体を固定している。
「シバ、予定通り俺たちは先に行くぞ」
「ああ、二手に別れて第二合流地点な。集団で街中を走っていたらお巡りさんに怒られちまう」
「わかってる。そんで、こいつらを降ろした後は?」
「動けない程度に痛めつけておいて。けど、やりすぎるなよ。少なくとも話しができる程度にだ」
「了解した」
そう言って阿久津たち輸送班は夜の街へとバイクで駆けだして行った。
そして残った仲間たちを見れば、鼻息荒く、今にも弾けそうなやつが何人かいた。
「さて、移動すっぞ。皆、落ち着いて行動することを忘れるな。これから全員でバラけて第二合流地点まで移動だ」
「なあ、シバ……アイツらっ、殺してやろうぜ」と、突入班の一人が意気込む。
「冷静になれっての。今はいち早くこの場を離れることが重要よ。いいな?」
俺の注意を素直に聞き入れてくれる仲間たちに、心の中では感謝の念を送る。
鼻息を荒くする仲間の姿を見たからこそ、冷静でいなくてはと己を諌めることができる。
そして突入班と処理班は解散をして各々の方角へ散らばっていく。しかし、目指す場所は同じ。
少しばかり歩き、あらかじめ駅前の駐輪場に停めておいたバイクに跨り、守邦市郊外にある山を目指す。
***
守邦市の採石場。
環境を保護する団体と企業が揉めて以来、市や企業から放置された一面の砂地が大学生二人の処刑場となる。
バイクを降りて出迎えた仲間に確認をする。
「状況は?」
「問題なし。採石場には俺たちしかいないし、見張りからも特に連絡はない。例の大学生二人も到着済みだ。あともう少しすれば他のメンツも揃うだろうし、シバから言われていたものもあと少しで用意できる」
「オーケー。急ごしらえの段取りにしては順調だな」
「ただ、少しな。阿久津がだいぶハッスルしているみたいだ……」
「……やれやれ、困った暴れん坊だな」
足早に砂地を歩き、単車のライトや懐中電灯で照らされた仲間たちの元へ急ぐ。
そしてあれだけ注意をしたにもかかわらず、俺の相棒は我慢しきれなかったみたいだ。タヌキ顔の男を片手で持ちあげる巨漢に向かって遅い釘を刺す。
「おい、阿久津よ。やりすぎるなって言ったよな?」
「遅かったな。ちょいと撫でてやったつもりなんだが、こいつらには刺激が強すぎたみたいだ」
「なに漫画みてえなこと言ってんだ。とにかくそいつを降ろせ」
俺がそう言うとドサリと音を立てて男が地に落ちた。暗がりの中、目を凝らせばタヌキ顔は全身の至る所に殴打の痕があり気絶していた。
しかし、もう一人のネズミ顔は意識があるらしく地面を静かに這っている。こんな状況でも逃げようとする姿勢は見事だが、あまりにも惨めだ。
そして俺はネズミ顔の男の前に立つ。
「おいっ」
「ヒッ……」
「ちょいと話をしようか。最初に確認するけど、最近守邦市で女を拉致して、商品にして男どもに売っていたのはお前たち二人で間違いないよな? あの部屋にあった写真が何よりの証拠だろ?」
「し、知らない! お、お、お前たちはなんなんだよ! 本当に、許さないからな! パパに頼んで――」
「なあ、ちゃんと会話をしようぜ。チンピラの男六人組とクスリを使って女たちを襲わせていたのはアンタらなんだろ?」
「お前ら……一体誰なんだ……」
「被害にあった女たちの友人ってところかね。さて、そっちの質問には答えたんだから今度はそっちが答える番だ。あ、その前に一つ約束をしておこう。俺の質問に正直に答えてくれたらアンタだけは見逃してやってもいい。そっちで伸びている男か、アンタが報復を受けてくれればこっちも納まりがつくからさ」
「……ほ、本当か? 俺だけは、見逃すんだな?」
「ああ、約束するよ」
思わず呆れてしまう。
今の発言でこの男たちが事件に関わっていたと認めているようなものだが、少しばかり泳がせてみる。
「……ちが……やった」
「ん?」
「俺たちが、チンピラを使って……女たちを拉致して、売り物にした」
「ふんふん、それで聞きたかったんだけどさ、どうしてそんな面倒なことしたの? チンピラに金を渡してまですることかな。アンタの趣味?」
「……ア、アイツらは、罰を受けて当然の人種なんだ!」
「へえ、人種?」
「ギャ、ギャルなんて生き物は虐げられて当然なんだよ! 社会的になんの実績もないくせに偉そうに街中を闊歩して、おまけに、俺のことをキモいだのなんだの公然と言いやがって!」
「……でもさ、全員がそうって訳じゃないでしょ?」
「あんな馬鹿女ども全員一緒だ! まともに話も通じない、品性の欠片もない! だから、俺は勝ち組になってヤツらで遊んでやったんだ! お、俺は負け組のアイツらをぐふぉっ」
「おっと……悪いね。足が滑った」
聞くに堪えないとはこのことか。ついネズミ顔の男を蹴り飛ばしてしまうのも仕方がない。
身勝手でどうしようもない主張。この男には余程個人的な恨みが女にあるのかもしれないが、被害に遭った女たちからすれば迷惑でしかない。
「シバ、汲んできたぜ」
「サンキュー」
仲間が二つのバケツを傍に置いて中を見る。その時、近くで寝ていたタヌキ顔の男がピクリと動いたが、今は気にしない。
少ない光に照らされたバケツの中身は淀んだ色をしている。
そしてあらかじめゴム手袋を装着した仲間たちに視線を送り、ネズミ顔の男を膝で立たせて顔を上に向けさせる。さらに口を大きく開かせて準備を整える。
「あがっ……かっ、な、はあ?」
「なあアンタ、喉渇いてないか? このバケツの中身なんだけどさ、近くにあるドブから汲んできたものなんだ」
「ヒャ、い、いあらっ」
「お前さ、わかってる? きっとお前たちが玩具のように遊んでいた女たちも似たような気分だったと思うよ? 想像してみろよ、きたねぇオッサンからケツの穴をガンガン突かれるのなんて、嫌でしょ?」
「うる、うるひてっ」
「俺さ、皆からは仕切り役って呼ばれてんだけど、仕切り役って問題に関わった双方の立場に立って解決案を考えて人を動かしたりするのね? んで、アンタにも相応の罰を受けてもらうことにしたんだよ」
「ひやっ、たふけれっ」
「本当なら消毒液でも飲ませてやろうかと思ったんだけどさ、ちょいと趣向を凝らしてみた。ドブの汚水って色んな菌とかが混じってひでえ匂いすんじゃん。言ってしまえば正体不明、つまり自分たちでは女に手を出さない、警察でも手を焼いていたお前たちみたいなもんだと俺は思ったのね」
バケツを一つ持ち上げ、あまりの異臭に顔を歪める。
危ない菌が脳内に達すれば死に至ると聞いたことがあるが、運がよければ助かるでしょ。
仲間に視線を送り男の鼻をつませる。そして一気に汚水を口に向かって流し込む。
「ごぼぼぼぼぼぼっ」
「おらっ飲めよ! テメエが弄んだ女たちからのご馳走だ!」
「ぶおっ、んぐ、ごほっ、うぐっ」
バケツ一杯分の汚水を口に注ぎ終わり、男は首に手を当て地に向かって吐き出そうとしている。
「ダメダメ、まだ終わってないんだから。そんじゃ縛っちゃっていいよ。そして阿久津、出番だ」
「おう」
仲間たちがネズミ顔の男をガムテープで全身を拘束していく。勿論、中身が飛び出ないように口もしっかりと塞ぐ。そしてロープで男の両足首を縛り、ロープの反対側の先端を大型のバイクに繋ぐ。
そして意気揚々と大型のバイクに跨った阿久津はエンジンをかけた。
「シバ、何周すればいい?」
「そうだな……ひとまず三周くらい行ってきて」
「わかった。初めてのダートだが、楽しませてもらうぜ」
「あとで代われよなー」
「アホか。大型の免許をとってから言いな」
「なんだよ、阿久津はケチだなあ」
そう言ってヘルメットの下でニヤリと笑った巨漢はアクセルを捻りバイクを走らせる。バイクに繋がれた男は砂煙を上げながら砂地を滑っていき、口を塞がれているにも関わらず男の絶叫が聴こえた。
そして俺は残ったタヌキ顔の腹を蹴り上げる。
「ごほうっ」
「おはよー、つうか途中で起きてたっしょ? タヌキみたいな顔だけに狸寝入りってやつ?」
「ひ、ひう! お、お前たち本当に許さないぞ! け、警察に突き出してやるう!」
「うん、いいよ」
「へ?」
「俺たちはそれぐらいの覚悟でやってるってこと。そんで俺の顔をよおく覚えておいて。もしもまた、俺の顔を見ることがあればアンタらにまた酷い目にあってもらう。そうだなあ、次はアンタらが股間にぶら下げているナニをズタズタに切り刻んで口の中でぐちゃぐちゃに咀嚼させてやるよ。もしも同じ刑務所に行くことがあればよろしくな」
「……」
「でもね、アンタは運がいいかもしれない。さっきの俺とネズミ顔の話はどこから聞いてたの?」
「……バケツが、持ってこられたあたりから、です」
「ふうん、そっか。実はちょっと困っててさ、あそこでバイクに引きずられている男は最後まで口を割らなかったんだよ。俺たちとしても、こんなことをやりたくてやってるんじゃない。わかるよね?」
「……は、はい」
「だからさ、アンタらがやったことをこのボイスレコーダーに向かって正直に話して欲しいんだ。そうすればアンタだけは見逃してもいい」
「ほ、本当に?」
「ああ、約束するよ」
***
大学生二人への報復が終わった。
バイクのタイヤ痕を木の枝をトンボ替わりにして砂地をならす仲間たちを見ながら、俺は感慨にふけっていた。
達成感などはなく、ただ終わったという感想しかない。
このあとは、被害に遭った女子たちに、犯人を痛い目をあわせてやったと報告をして終わりだ。
「シバ、アイツらを近くの道路わきに捨ててきたぜ」と、阿久津が話しかけてきた。
「死んだ?」
「いや、かろうじて息があったな。運よく近所のやつに通報されれば死ぬことはないだろう」
「そ、お疲れさん」
「……シバ、一応言っておくが今回の仕切りには誰も文句なんてねえぞ。むしろ足りねえって騒いでるヤツもいるくらいだ」
「ああ、俺も個人的にはそう思うよ。実際に男六人組のほうは逃がしたことになるからな。ちょっと残念だよ」
「……らしくないな」
「……かもね」
決着はついた。
今回の問題に正しい解決法なんて存在しない。だからこそ、こんなにも不快感のある終わりなのだろうか。
そして俺の携帯が震えて画面を見れば、お調子者を気取った後輩からだった。
「どうした、東」
『シバさんっ、大変なんすよ!』
「デカい声出すなって、なにかあったの?」
『キクちゃんが、警察に連れていかれた!』
「……は?」
突拍子もない言葉に頭の中が一瞬真っ白になった。
彼に暴力の世界は似合わない。だからこそ、南条には彼を前線から遠ざけるよう言い含めていたはずなのに。
それから慌てる東を落ち着かせつつ状況を聞けば、頭を抱えたくなった。
俺たち三年は警察にバレないように慎重に行動をした。しかし、二年生たちの状況はどう足掻いても誰かが犠牲になる。
彼は賢い男だ。
だからこそ、自らが犠牲になることで被害を最小限にできると考えたのだろう。
『俺たち、これからどうしたらいいんすか? 南条はもう解散しろとか言い出すし。俺、このまま黙って帰るなんてできねえよっ』
「いい、大丈夫。南条の言う通りにするんだ」
『シバさんまでっ』
「それから南条と周りにいる連中に伝言を頼む。彼は俺が助けるってさ」
『……どうやって?』
「おいおい、先輩を信じろよ。東たちはすぐに、普段の学校生活に戻れるからさ」
『ちょ、シバさんっなに考えて――』
通話を切り携帯をしまう。
怪訝な顔で様子を窺がっていた阿久津は、黙って俺を見ていた。
「阿久津、あとは任せていいか?」
「構わないが、なにがあった?」
「ちょっとね、けど結果は変わらない。片付けがすんだら皆に帰るよう伝えて」
「……シバ?」
「んじゃ行ってくるわ」
責任をとるって言ったもんな。むしろ清々しい気分すらある。
悪事に悪意を持って報復した。そして仕切り役である俺が報いを受けるのであれば、俺自身が納得する。引き金を引いたのは俺なのだから。
しかし、彼は違う。彼が今回の問題に大きく貢献したのは疑いようがない。だが、責任をとるのは俺の仕事。今日が仕切り役の仕事納めになるのかな。
バイクを自宅に置き、徒歩で守邦警察署に向かうまでの間に思考を巡らせる。
どうすれば彼の代わりになれるだろうか。
俺が後輩を脅して無理やりやらせた、なんて話は流石に通じないだろうか。
「ま、なんとかなるでしょ」
夜空に向かって一人つぶやく。
自信はある。警察が相手でも、彼を解放することくらいはできるだろう。
だが、一つ心残りがあるとすれば、真面目なくせに天真爛漫な彼女の存在だ。俺が刑務所から出てくるまで待ってはくれないだろう。恵理、昔からモテるもんな。
『ねえ、なんで彼女とかつくらないの?』
『知らね。つうか興味ねえし』
『じゃあ、私とつき合おうよ』
『なんで?』
『うーん、なんとなく』
意味がわからなかった高校一年の夏。
あれから随分と経ったなと思いつつ、警察署に到着した。が、近くにあった電柱に思わず身を隠す。
「……なんで、あの子が?」
警察署玄関に、守邦高校の制服を着た女子が一人いた。
陽代美莉愛、東の話では男六人組に拉致されたが、救出をして自宅まで送ったという話だった。
そんな彼女がどうして警察署の前に一人でいるのか、俺には理解できなかった。




