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第79話:見ノ越にて

 見ノ越に着いた一同は、それぞれの車へと分かれていった。

正則と教授は、乗ってきたレンタカーへと向かう。美藍、里奈、名方の三人は、名方の車へと乗り込んだ。

美藍は、車に乗り込む前、ふと父を振り返った。

「じゃあ、粟飯原の家で」

「ああ」

正則が頷くのを見届け、二台の車は、それぞれ美馬の家へと向けて出発した。

粟飯原の家では、祖父母が玄関先で出迎えていた。

「美藍、大丈夫だったかえ」

祖母が、心配そうに駆け寄ってくる。

「正則、久しぶりじゃのう」

祖父も、感慨深げに息子を見つめた。

「美藍らに、危ない目にあわすんじゃないよ」

祖母が、少し咎めるように正則を見ると、美藍は慌てて割って入った。

「おばあちゃん、大丈夫だよ。心配してくれて、ありがとうね」

「まぁまぁ、とりあえず中へ」

祖父に促され、一同は家の中へと入っていった。

名方は、居間で祖母と静かに向き合い、これまで抱え続けてきた、源治の最後についての報告を伝えた。

祖母は、しばらく黙って話を聞いていたが、やがて、深く息を吐いた。

「兄さんの最後が、聞けて……ほんに、良かった」

その声には、長年の胸のつかえが、静かに解けていくような、安堵の色が滲んでいた。

「崖から落ちて、痛い思いしてなくて……良かったわい」

その言葉に、名方も、静かに頭を下げた。

「では、私と教授は……これで、失礼させていただきます」

名方が立ち上がると、里奈も、それに続いて腰を上げた。

「あ、私も、乗せてって」

「家族水入らずに、お邪魔なんで(笑)」

里奈がそう言って、明るく笑う。美藍は、思わず、里奈の手を取った。

「里奈」

「うん?」

「里奈、本当に、ありがとう」

里奈は、少し照れくさそうに笑った。

「ううん、楽しかった。教授から頼まれたとき、こんなことに巻き込まれるなんて、思いもしなかったから」

「じゃあ、また学校で」

里奈はそう言い残すと、名方や教授と共に、車へと乗り込んでいった。美藍は、遠ざかっていく車を、いつまでも見送り続けた。

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