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元悪魔、人間に生まれ変わったので神を皆殺しにします~世界をリセマラしようとする神を止めろ  作者: 犬型大


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50孤独な戦い3

「仕方ないか」


 モンスター倒すよりも他の奴を倒した方が楽そう。

 そう思ったのだけど、モンスターと戦うしかないようだ。


「順当に行けば一からだな」


 扉に描かれた数字は一から三。

 普通に考えたら一から順番にやっていくのだろう。


「……二から行くか」


 しかしここは暗天。

 普通なら一が最も簡単でさんが難しいのだろうが、普通なんて基準で考えるのは危険である。


「いや、三から行くか」


 ひねくれた考え方をすればいくらでも可能性はある。

 一からに見せかけて実は一が難しいこともあり得るし、裏をかいて二が難しいのかもしれない。


 そもそも一からというのもヨルの思い込みで、三からカウントダウン的にやっていく想定だということだって考えられる。

 全部そんなに変わらない難易度だってあり得る。

 

 結局分からない。

 だからなんとなくて三にした。


「開くのか?」


 ヨルは扉に手をつけてグッと押す。

 すると真ん中からゆっくりと開いていく。


「また下か」


 扉の向こうには下に向かう階段があった。

 一体どれだけ地下に伸ばして施設を作っているのだ、とため息を漏らしてしまう。


「……アリ、か?」


 階段を降りると小部屋があって、壁に大きな写真が貼ってある。

 写真に映し出されているのは赤い色をしたアリだった。


 アリの上にはターゲットと書いてあるので、写真に映されている赤いアリを倒すことが試験なのだろう。


「害虫駆除な」


 ただの虫相手じゃないことは分かっているけれど、ヨルは動揺することもない。


「それじゃ、アリの巣をつつきに行くか」


 ヨルは部屋の奥にあるドアを開けて先に進む。


「だいぶ雰囲気違うな」


 ドアの向こうはいかにもダンジョン風になっていた。

 しっかり作られた地下施設だったのに、ヨルの目の前には洞窟のような通路が伸びている。


 モンスターと戦うのにダンジョンを再現したのだろうと思う。

 ただ天井にはちゃんと一定間隔で明かりも設置されているし、地面が多少デコボコとして歩きにくくなった他に不便はない。


「…………いるな」

 

 洞窟の中を進んでいくと、わずかな音をヨルは察知した。

 何かが蠢く音がする。


「なんとなく、そんな気はしていたけど……一体だけじゃなさそうだな」


 アリ一匹倒せ、というのはあまりにも楽すぎる。

 そんなはずないだろうと思っていたのだけど、音の感じからするに蠢く何かは一体だけのものではない。


 ヨルは何が起きてもすぐに対処できるように月影を抜く。

 思えばヨルはモンスターを相手にした経験は少ない。


 そもそも悪魔がモンスターと戦う必要なんてなく、モンスターみたいな悪魔どもと戦ったことはあってもモンスターと直接戦うことはあまりなかった。

 悪魔も馬鹿な奴は半分モンスターみたいなものなので、経験はあると言ってもいい。


「ちょっとは楽しめるかな……?」


 緊張なんてしていない。

 むしろ追い詰められるほど強い方がいいとすら感じている。


「……あれは違うみたいだな」


 広い空間に出てきた。

 いろんなところに穴が空いていて、本当にアリの巣に迷い込んだかのような感覚になる。


 そこには何匹かアリがいた。

 ただ写真に映っていたような赤いものではなく、黒いアリである。


 アゴも小さく、デカいけれどあまり強そうじゃないなとヨルは思った。


「来いよ」


 ヨルが剣を向けると、アリは顎を擦り合わせてキシキシと威嚇する音を出す。

 二体のアリがヨルの方に走り出す。


 トラやライオンなどの大型獣と同じぐらいのサイズ感のアリが迫ってくると、意外と迫力はある。


「まず一匹」


 ヨルは挟み込もうとしてくるアリの顎をかわして飛び上がる。

 落ちる勢いも活かして、月影を振り下ろす。


 ほとんど魔力も込めなかったのだけど、月影はアリの硬い外骨格を切り裂いて頭を真っ二つにしてみせた。


「なかなかやるな」


 この言葉は月影に向かってのものだ。

 鋭さをしっかり試す機会がなかった。


 人を斬るだけなら普通の剣でもさほど変わりがない。

 ひとまずアリぐらいならなんの問題もなく切り裂くことができる、と分かっただけでも一個収穫だ。


「じゃあ次は……」


 まだアリはもう一匹いる。

 ヨルは剣を左手に持ち替え、アリの上に飛び乗った。


「…………ん? おっと!」


 アリの頭を鷲掴みにして、少し待つが何も起こらない。

 思わず怪訝そうな顔をして首を傾げてしまうヨルは、アリが頭を上げたので大きく飛び退く。


「んー、どうした?」


 ヨルが視線を向けた先にあるのは手首のバングル。

 本来なら相手から命を吸い取るはずなのだけど、アリは元気に襲いかかってきていて困惑する。


 改良には成功した。

 なぜ発動しないのかヨルにも分からない。


「……反応がないわけじゃなさそうだな」


 よくバングルを見るとわずかに文字が光っている。

 全く何もしていないのではなさそうだった。


「……それもそうか」


 アリの攻撃をかわしながらしばし悩んだヨルは一つの結論に辿り着いた。


「じゃあ……これならどうだ?」


 ヨルは襲いかかってくるアリの懐に潜り込むと、左手に持っていた月影を振るう。

 一瞬でアリの右半分の足が斬り飛ばされて、バランスを崩してそのまま地面に倒れる。


「これでもダメか。なら……」


 再びアリに触れるがバングルの反応は非常に弱い。

 ヨルは冷たい目をしたまま足を振り上げると、アリを蹴り飛ばす。


 鈍い音がしてアリが吹き飛び、壁に叩きつけられる。

 体液が飛び散り、アリは力なく残った足を動かしている。


「やっぱりか……」


 ヨルがアリの頭を掴む。

 するとバングルの文字が光り始めた。

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