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元悪魔、人間に生まれ変わったので神を皆殺しにします~世界をリセマラしようとする神を止めろ  作者: 犬型大


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39小隊戦12

「これで旗一本いただき」


 ヨルは旗を引き抜いてタクマに投げ渡す。


「さ、次だ。早く終わらせれば一時間ぐらいただ飲み食いするパーティーができるかもな」


 ヨルたちは次の拠点に向かう。

 結果的に時計回りに拠点を狙っていく形になった。


「ヨル……」


「ああ、見られてるな」


 ベッタリとまとわりつく視線を感じて、レオナはそっとヨルに身を寄せた。

 拠点間は道が軽く整備されていて、それ以外は森である。


 四つの拠点に囲まれた内側の森の方向からの視線は他のグループのものじゃない。


「サルだな」


 ヨルとレオナ以外に気づいていない視線の正体はサルだった。

 旗を狙う奇妙なモンスターが森からヨルたちのことを見ていた。


 観察でもしているような視線は、絡みつくようでヨルはかなり不快感を感じている。

 ただ今のところ襲ってくるような感じはない。


 襲ってくるなら相手してやるが、自ら森の中に突っ込んでいくのは面倒だ。


「とりあえずこっちも様子見、だな」


 サルはヨルたちを襲うチャンスを窺っている。

 手を出してこないのなら、こちらもひとまず様子を見ることにしておく。


「おっと?」


「こっちみんなよ? 野球選手じゃないんだからあんな距離無理だって」


 遠くから三人のガキどもがヨルたちの方に向かってきていた。

 ヨルたちが気づけたということは、向こうも気づける距離であるということ。


 相手はヨルたちに気づくとすぐに背中を向けて逃げてしまった。

 ヨルはロウキのことを見る。


 相手は遠すぎてナイフを投げても届かない。

 位置替えのスキルを使っても追いつけなかった。


「こう……投げて入れ替えてを二回ぐらいやったら追いつけんだろ?」


「お前、このスキルだって無限に使えるわけじゃないんだぞ? 三人の中に突っ込んでいったらやられるだろうが」


「お前がボコボコにされてる間に追いつくから大丈夫だろ」


「ボコボコにされてんだから大丈夫じゃねえだろ」


 割と本気な目をするヨルに、ロウキは苛立った表情で睨み返す。


「まあもう逃げた後だしな」


 戯れている間に三人はもうかなり遠くなっていた。

 本気で走れば追いつけないこともないが、拠点に戻るのなら今追いかけずともそのうち追いつくことになる。


 ヨルたちは悠々と歩いていく。


「きたぞ!」


「おーおー、守ってんな」


 拠点が見えてきた。

 太陽の光眩しく、手で影を作ったヨルは拠点の様子を見てニヤリと笑った。


 拠点にいる子供の数は九人。

 一つのグループを壊滅させ、グループに接触を図っていた一人を倒したから、残りは五人のグループと四人のグループである。


 九人いるということは、残った二つのグループは手を組んだようだった。


「手間が省けたな」


 手を組むことは予想できていた。

 一度に相手にする人数が増えることは面倒であるが、まとめて倒せるならその方が楽である。


「こっちに来るな!」


 壁の後ろに隠れるようにしながら18組の青年が叫ぶ。

 やはり組号が若い18組の方が協力を画策していたようである。


「こっちは九人もいるんだぞ!」


「だからどうした?」


「えっ?」


「有象無象の雑魚がどれだけいようと、そんなもの数には入らない」


 嘘でも虚勢でもない。

 命の取り合いをしている暗天の試験で手を取り合って、壁の後ろに隠れている奴らに負ける気はしない。


「だがお前らに選択肢を与えてやる」


 コウヤとタクマはヨルの顔を見て背筋が寒くなった。

 悪い顔をして笑っている。


 何かするつもりだと感じた。


「んー、かっこいい」


 そんなヨルの顔を見てレオナが顔を赤くしているのもまたタクマは怖い。


「選択肢だと?」


「そこにある旗は一つだけ」


 なんでどいつも旗を自分で持つということは思いつかないのか、不思議である。

 ヨルの行動を見て、次の四番の連中からは自分で旗を持っていくということに気づくだろうから、ゲームの形はまた変わるはずだ。


 だが18組のグループも34組のグループも旗を持ち出せることに気づいていない。


「お前らはそこにこもってればいいが、俺たちはもう一つの拠点の旗を取りに行く」


 打って出ることもしない。

 ルールの裏を考えようともしない。


 非力なくせにただ自らルールの檻に囚われているマヌケは、自ら首を絞めることになる。


「そうだな……お前らで決めろ。どっちの側を守る? 争え。勝った方には……手を出さないでいてやるよ」


「な……そんなのに騙されるはずが……」


「ロウキ」


「チッ……はいよ」


 ロウキはナイフを投げる。

 パッとロウキの位置が移動して、二つの組の子供たちは驚く。


「ああやって移動していったらお前らは追いつけるかな?」


 ロウキの位置替えも何回も連発はできない。

 それを知らないと、他の子たちにはロウキがナイフを投げて高速移動していけるように見える。


 ロウキはまたナイフを投げて、さらに移動する。


「分かった。その旗は見逃してやるよ。もう一つの旗を俺たちは取りに行く。……そうなった時に、そこの旗を守るかな? それとも別の旗を守るの、手伝ってくれるかな?」


 34と書かれた名札の子たちが18と書かれた名札の子たちのことを見る。

 ここは18組のグループの子たちの旗がある。


 ヨルたちが34組の旗を取りに行って、18組は見逃してくれるのだとしたら34組をわざわざ助けに行く必要はなくなる。

 けれども18組の子たちは今四人しかいない。


 対して34組の子たちは五人揃っている。

 二つの組の子たちの視線がぶつかる。


「……信頼は、崩れたみたいだな?」


 このままなら34組は旗を失う。

 18番を倒せば、自分たちは不合格にはならない。


 瞬く間に、二つの組の間に争うという選択肢が浮上した。

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