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元悪魔、人間に生まれ変わったので神を皆殺しにします~世界をリセマラしようとする神を止めろ  作者: 犬型大


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35小隊戦8

「よう、マナベ」


「これは唐仁トウジン様」


 子供たちは研究所の裏手にある森に集められていた。

 五人ずつのグループにまとまる子供たちの顔を眺めていたマナベに、五十代ほどの男性が声をかけた。


 左目を閉じたトウジンの姿を見て、他の暗天の覚醒者たちは少し距離を取る。


「わざわざ第二柱の毒王たるトウジン様がどうしてこちらまで?」


「なんだ、来てはいけなかったか?」


「いえ、そのようなことは……」


「はは、冗談だ」


 朗らかに笑う様子だけを見ればただの人の良さそうなおじさんであるが、甘く見てはいけない。

 唐仁宗泰トウジンムネヤスというこの男は毒王と呼ばれている。


 名前の通り毒を操る覚醒者で、触れるだけで人を殺せると言われるほどの力を持っている。

 故に周りの人は少し距離を取った。


「私には子供がいないからな。誰か良いのはいないかと思って見に来た」


 トウジンは子供たちのことを見る。

 すっかり子供らしくない険しい顔をした子も多い。


 上手くやっているのだなと軽く笑顔を浮かべる。


「暗牙隊の隊長から見て、どうだ?」


「やはり上位幹部の子は小さい頃から教育を受けていますので、強いですね」


「そういうことを聞きたいのではない。出自に関わらず見込みのあるやつはいるかと聞きたいのだ」


「見込みのある子ですか……何人か。中でも一人……ぜひともうちに欲しい子もいます」


「ほう? それは面白そうだな。お前に欲しいと言わせるとは」


「これからどうなるのかは、まだ分かりませんが」


 マナベが視線を向ける先、そこにはヨルがいた。


「見込みがある子がいたら養子にでもなさるつもりですか?」


「その気だ。良いのがいれば、な」


「始まるようですね。いま椅子でも用意させましょう。ごゆるりと見学なさってください」


 マナベが近くにいた自分の部下にジェスチャーで指示を出し、トウジンに深く頭を下げる。

 そうしている間にセキイシが子供たちの前に出てきていた。


「グループを作り、昨日のうちにグループの札を受け取ったな」


 グループの子供たちは数字の入った札を胸につけている。

 ヨルたちは奇しくも6番であった。


「まず昨日までにグループを作らなかったやつは……脱落だ」


「えっ……!」


「そんな!」


 ほとんどの子はグループを作った。

 誰からも誘われずもはやしょうがなく余った子たちで組んだ子もいるが、最後まで組まなかった子もいる。


 最終的には本当に余った子でグループにしてくれるだろう、なんて甘えた考えだった。

 しかし暗天はそう甘くない。


「三日の間に五人でグループを作れと言った。それすらできないのなら次に進む価値はない」


「そんなの納得できるか! ただグループを作れなかっただけで……」


 甘えた考えがあったのは間違いない。

 ただ他にもグループを作れなかった子はいるのだし、たかだかそれぐらいで脱落になるのは納得できなかった。


 しかし、そんな叫びを聞いたセキイシは冷たい目をして、腰に差していた剣を抜いた。 


「だけ? 三日猶予を与えたら自分の立場を忘れたようだな」


 剣から炎の斬撃が飛び、抗議をした少年の首が刎ね飛ばされた。

 首が落ち、血が噴水のように噴き出す。


「おー、ひどいことをするもんだ」


 グループを作っているので関係ないヨルは感情なく血の噴水を見上げる。


「ルールは絶対。五人組になれなかった奴は脱落。他に何か言いたいやつはいるか?」


 目の前で首が斬り飛ばされて文句を言える人がいるだろうか。

 グループでまとまることで少しばかり和気藹々としていた空気が、一気に凍りついてしまった。


 セキイシは人の士気を下げるやり方が上手い。

 グループを作ることができず、数字の名札をつけられなかった子供たちはどこかに連れて行かれる。


 流石に殺されはしないと思うが、きっとこの先会うこともないだろう。


「それでは第三段階の試験の話をしよう」


 セキイシは剣を収めて腕を組む。


「おっ?」


 セキイシの横に大きなモニターが運ばれてくる。

 久々にまともな文明っぽいものを見た気がする。


「四つのグループで争ってもらうことは前に説明した。この森の中には四つの拠点がある。そこには各一本ずつ旗を立ててある。その旗を取り合ってもらう」


 モニターに映像が映し出される。

 セキイシの言う四つの拠点らしいものが見られている。


 次に森を俯瞰する全体図に切り替わり、拠点の位置が点で示された。

 それぞれの拠点の間の距離は同じようで、四角を描くように配置されているようだった。


「終了時点で旗を奪われていたら負け。自分の旗以外の旗を一つでアーティファクト一つ。旗を二つでアーティファクト三つ。旗を三つでアーティファクト五つだ」


「仲間内でも争わせるのか」


「ただ旗を守るだけじゃ……何も手には入らない」


 旗を一つ奪っただけではご褒美は一つしかもらえない。

 全部奪えなければ全員分のアーティファクトはなく、争いが生まれる。


 だからと言ってリスクを冒して他の旗を奪いにいくのも意見が分かれることだろう。

 奪いに行って旗を奪われると脱落になってしまう。


 リスクと報酬を考え、他の子の意見とも釣り合いを考えなきゃいけない。

 思っていたよりも面倒。


 ヨルはそう思った。

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