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元悪魔、人間に生まれ変わったので神を皆殺しにします~世界をリセマラしようとする神を止めろ  作者: 犬型大


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34小隊戦7

「そんなに怒るなよ……それとも、マリリンとでも呼んでやろうか?」


 悪気はないのだけど、つい。

 怒るのが面白くて、からかってしまった。


「この……!」


 ロウキの手に力が入ってフォークが曲がる。


「決めた! お前は殺す!」


 魔力を込めてフォークを投げる。

 たかだかフォークでも魔力を込めれば立派な凶器だ。


 けれども投げつけられたフォークなんてそんなに怖くない。

 首を傾けて、フォークをかわす。


「……ん?」


 目の前にいたロウキが消えた。

 代わりにそこには折れ曲がったフォークがあって、一瞬遅れて床に落ちた。


「死ねよ、クソ野郎!」


 後ろから声が聞こえて、その直後にヨルの頭は横からの衝撃を受けた。


「なに……」


 殴られた。

 衝撃にぶっ飛びながらヨルは自分の後ろの状況を確認した。


 正面にいたはずのロウキが、いつの間にかヨルの後ろにいた。

 そして後ろから殴りつけたのだ。


「ヨル!」


「大丈夫だ」


 ヨルはよろめきながらも踏ん張って堪えた。

 タカミヤの一撃だったら危なかったが、ロウキはそこまで強くはないようだ。


「今の手品どうやった?」


 一瞬にしてロウキが後ろに回り込んでいた。

 ヨルが気付けないほどの速度で移動したとは思えない。


 だがヨルのように時間を止めたとも考えにくかった。

 何かのネタがある。


 スキルか、アーティファクトの力だろうとヨルは考えていた。


「お前が死んだら教えてやるよ」


「……俺としては合格だけどな」


「はあ?」


「性格悪いし、能力もある。お前の抱える劣等感も透けて見えるようだ」


 ヨルは歯を見せるようにしてニタリと口を歪める。

 双子の兄がいて、そいつとつるむこともなく一人で飯を食っている。


 くだらないあだ名に怒りを抱えてすぐに襲ってくる。

 兄の方は優秀なんだろうなと思う。


 比較されて生きてきた。

 名前のことは、モンローという呼び方が気に入らないこともあるのだろうが、兄に敵わない劣等感や兄周りの奴がそんなふうに呼んでいたから出てくるのかもしれない。


 いい人材だ。

 悪魔にも手を伸ばしてしまうニオイを感じる。


「俺の仲間になれよ」


「嫌だね」


「じゃあ……俺が勝ったら、手下になれ」


「……やってみろ!」


 ロウキは近くにあった料理の乗ったトレーをヨルに投げつける。

 料理を撒き散らしながら回転するトレーが飛んでくる。


 トレーにも魔力が込められている。

 手で受け止めたら指でも切れるかもしれない。


「……そこだ!」


 ヨルはトレーをかわす。

 そして後ろに向かって蹴りを繰り出す。


「ぐっ……」


「やっぱり、な」


「どうやって……」


「割と一回見れば、十分なんだ」


 ヨルの蹴りはロウキに当たった。

 防御はされたものの、思い切り腕を蹴り飛ばされてロウキは顔をしかめた。


 炎の魔法や拳撃を一度見ただけでヨルは真似をしてみせた。

 転生前の悪魔の経験と貪欲に相手の力を取り込もうとする観察眼は人間になっても失われていない。


 ロウキが後ろに回り込んだ秘密にヨルはもう目星をつけていた。


「一種の瞬間移動……投げたものと自分の位置を交換するスキルだな?」


 一回目、ヨルの目の前からロウキがいなくなり、フォークが現れた。

 しかもただのフォークではなく、ロウキが折り曲げ、ロウキが投げたはずのフォークだった。


 二回目、トレーをかわした直後にロウキの姿が消えた。

 そしてトレーが現れたのをヨルは確認していたのである。


 そこから答えを導き出す。


「自分の魔力を込めたものか、投げたものと自分の位置を交換できるんだな」


「…………チッ!」


 ロウキは悔しそうに唇を噛む。

 リアクションを見れば当たりだったと分かる。


 どうせなら否定するか、虚勢を張って堂々とすればいいのにまだまだ甘い。

 中途半端に悔しがるなんてヨルを喜ばせるだけだった。


「ネタが分かってもなかなか厄介な能力だが、あんまり周りに見せびらかすものじゃないだろ?」


 場所の入れ替えは強いけれども、力押しでダメージを与えるスキルではない。

 うまく相手の目をくらまして、決定的な隙を狙う技術的なスキルである。


 そう何回も相手に見せるものじゃない。

 ましてこんなふうに周りの目があるなら多用は避けるべきだ。


「んー、じゃあ交換条件だ」


「交換条件だと?」


「霊薬を一個くれてやる。それで今回は手打ちにしよう」


 面白い能力を持っている。

 それに加えてスキルの秘密がバレてもまだヨルの隙を狙う目をしている。


 割と気に入った。

 ヨルにはまだ吸収していない霊薬がある。


 霊薬を交渉カードにしてみることにした。


「どの道あと一日で五人のグループを作らなきゃいけない。お前が強くとも、他の奴が雑魚ならお前は脱落だ」


 もう多くの子供達が五人組を作っている。

 一匹狼を気取るのも悪くはないが、一匹狼同士でつるむとも思えないし、残っているのは誘われなかったような奴らだけとなってしまう。


「まともな戦力と霊薬一個。お得な誘いだとは思わないか?」


「本当に霊薬をくれるんだな?」


「ああ、くれてやるよ」


「……次の試験に合格するまでだ」


 少し悩んだ様子だったが、ロウキはヨルのことを睨みつけて決断を下した。


「第三段階の試験合格までの協力。それが俺たちの関係だ」


「それでいいさ。よろしくな」


 強い警戒心もヨルのお好みだ。

 これで五人目が集まった。


 あとは試験を喰らうだけ。


「俺に触るなよ? それにモンローって呼んだらぶっ殺す!」


「オーケーオーケー、マリ……」


「マリリンもコロス」


「そうか、残念」


 ーーーーー

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