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元悪魔、人間に生まれ変わったので神を皆殺しにします~世界をリセマラしようとする神を止めろ  作者: 犬型大


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14/22

14激しくなる争い1

「一体何が……」


「チッ! こんなところでいちゃつくなよ!」


 レオナがアタラシュレオナであったと判明したことはいいのだけど、その代わりに大きな問題が発生した。


「レオナ……離れてくれないか?」


「いや。ふふ、見せつけてやりましょう」


 レオナはヨルの腕に自分の腕を絡ませる。

 引き剥がそうとしてもレオナの力が強くて引き剥がせない。


 永遠に部屋の中に篭ることもできずに出てきたのだけど、周りから注目されることは避けられない。

 初日でどうしてこんなことになっているのか、ヨルとレオナにしかわからない。


 くっつく二人を見て暗天の子供たちは顔をしかめ、大人たちも何が何だか分からないといった顔をしている。

 レオナは天主の娘であり、たとえ天主が他と同じに扱えと言ったとしてもそうはいかない立場である。


 昼食をかけた戦いではヨルに八番の少年をけしかけた少年を指名して、半殺しにしていたような冷徹な気性なこともわかっている。

 なのに今では幸せそうに微笑んでヨルのことを見上げていた。


 まさしく恋する乙女の顔つきなのだけど、一体どこで恋に落ちる要素があったのかは全員にとっての謎であった。


「……レオナ!」


 こんなことで注目されても嬉しくない。

 ヨルが何とかレオナから逃れようとしていたら、三番の少年が怖い顔をして詰め寄ってきた。


「あんたに名前で呼ばれる筋合いなんてないわよ。気安く呼ぶんじゃない」


「なっ……」


 まるで一瞬で凍りついたよう。

 レオナは笑顔を消して、刃の如く鋭い視線を三番の少年に向ける。


「一番……ここでは名前も身分もない。そう呼びなさい」


「そ、そんなことより、何してるんだ!」


 三番の少年はヨルより少し年が上だった。

 同い年の中では背の高いヨルだが、三番の少年はヨルと同じぐらいの背丈がある。


「なに、ってなに?」


「腕組んで現れて、ここがどんな場所なのか分かってるのか!」


「そんなもの知らない」


「はぁっ!? ……ぐっ!」


「私は私のやりたいようにやるの。誰かの命令なんて受けないし、お前がどんな下心で私のこと見てるのか知ってるのよ?」


 レオナは三番の少年の首を掴む。

 魔力が込められた手の力は強く、三番の少年がレオナの手を掴むも外せない。


 レオナは美人だ。

 その客観的事実はヨルでも認めるところである。


 何人か、レオナのことを異性を意識した目で見ていることは想像に難くない。

 三番の少年が突っかかってきたのも、全体の雰囲気がとか選抜のためとかそんなことではない。


 言ってしまえば嫉妬心からだった。

 けれどもレオナはヨル以外に興味がない。


 むしろ邪魔をされたと怒る。


「かっ……はっ……」


 このままでは殺される。

 そう感じた三番の少年は右手に魔力を集める。


「やめなさい」


 シノヤマが三番の少年の手を掴んで止める。


「不要な殺し合いは禁止だ。戦いの最中で事故で死ぬのとは違う。一番、放しなさい」


 レオナも三番の少年の首から手を放す。


「ゲホッ!」


 激しく咳き込む三番の少年には目もくれず、レオナはサッとヨルの横に戻ってきた。

 そしてまた微笑むような笑顔を浮かべて腕を取る。


 まだレオナには敵わない。

 だから逆らえないなとヨルは思った。


「今日も旗を取ってきてもらう。旗を持ってこられないものは朝食なし。行け!」


 シノヤマがパンと手を叩く。

 やはり行動が早いのは暗天の子供たち。


 しかし昨日のことで旗が足りないと知った誘拐された子供たちもすぐに動き出す。

 もちろんヨルとレオナも真っ先に動いていた。


「だから昨日は晩飯、与えたんだな」


 晩御飯だけは全員に与えられた。

 朝も昼も食べられなかった子は一日分を取り戻すように口に食事を詰め込んでいた。


 食べられない辛さを理解した子は必死になるだろう。

 そして必死になった子が後ろから迫れば全体の競争も激化する。


「レオナ、速度上げるぞ」


「うん」


 暗天の子供たちは魔法を使えたり、レオナのように霊薬で魔力を強化したりしている。

 旗を奪う目的で待ち伏せするのは面倒だ。


 ヨルとレオナは速度を上げて先頭を走る。

 先頭集団は昨日トップだった子たちと変わらないが、今日は後ろの子供たちとの距離があまり大きく開いていない。


 流石に山を登っていくと脱落していく子供も増えていく。

 しかし昨日のように余裕でいられる感じはなくなった。


「旗の数は……変わらないな」


 汗だくになりながら山の頂点までやってきた。

 ヨルはやや息を切らせているのに、レオナは余裕そう。


 一体どれだけ恵まれた環境にいたんだと思ってしまう。


「……ヨル?」


「ライバルは、少ない方がいいよな?」


 旗を手にしたヨルは少し何かを考えていた。

 そして悪い笑顔を浮かべた。


「一本だけ持ってこい……とは言われてないからな」


 ヨルはもう一本旗をとった。

 アーティファクトも霊薬も全部欲しい。


 そのための障害となる他の子供たちはいらない。

 旗が少なければそれだけ飯にありつける子供が減る。


 ただ旗の持ち手は金属製で意外と重たい。

 武器にするにはいいが、何本も持ち歩くのは少し厳しい。


 ひとまず二本を抱えて、ヨルは山を降り始めた。

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