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元悪魔、人間に生まれ変わったので神を皆殺しにします~世界をリセマラしようとする神を止めろ  作者: 犬型大


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12/18

12旧知の仲1

「昼食には魔力を刺激するものを入れてある。魔力を体の中で循環させることで魔力のコントロールが向上し、量も少しは増えるだろう」


 昼を食べた後、そんなことを言われた。

 各々の部屋で魔力を体の中に巡らせておけと命令されたので大人しくその通りにする。


 ベッドの上であぐらを組んで瞑想するように目を閉じる。

 いまだに暗天というやつを信頼する気にはならないが、子供たちを強くしようとしていることは間違いない。


「ふぅ……」


 魔力は心臓を中心にして体の中に広がっている。

 刺激するものとやらのせいなのか、やたらと胸が熱いような気がしていた。


 心臓から体を一周させるような感じで魔力を意識すると、胸の熱さが全身に広がっていく。

 効果があるのかはヨルにも分からないが、体のトレーニングと同じで続けていけば何かあるかもしれない。


「……何の用だ?」


 魔力を巡らせるのも飽きてきた。

 やってるフリして昼寝でもしようと思っていたら部屋に人が入ってくる気配を感じた。


「……一番」


 ヨルが目を開けるとそこにいたのは一番の少女であった。


「こんにちは、八番」


 一番の少女はほんの少し目を細めて微笑む。

 それだけで絵になりそうな容姿をしている。


「目的はなんだ?」


 一番の少女は部屋のドアを閉める。

 目的も分からず、ヨルは警戒した目で一番の少女のことを睨む。


「あなた、名前は?」


 暗天の子供たちは顔見知りであるような雰囲気がしていた。

 もしかしたら八番の復讐に来たのかもしれない、と少し期待する。


「……ヨルだ」


「ヨル?」


 一番の少女がゆっくりとヨルのそばに近寄っていく。

 ヨルが座るベッドに四つん這いになって乗っかると、わずかな軋みの音が部屋に響く。


「私はレオナ。…………本当の名前はアタラシュ、レオナ」


「アタラシュ……ん!」


 聞き馴染みのある名前。

 驚きを隠せなかったヨルの首にレオナは腕を回すと、そっと唇を奪った。


「チュッ……ふふっ」


 さらに驚くヨルをよそに、レオナはついばむようにキスを重ねる。


「ヨル……あなたは、ヨルビノシュ、でしょ?」


「お前は……アタラシュレオナ、なのか?」


 唇を離してもなお触れてしまいそうなほどの距離でレオナは微笑む。


「やっぱり! ヨルビノシュ、あなたなのね!」


「やめろ」


 またしても口づけしようとするとレオナの顔面を掴んで止める。

 事あるごとにキスをされては話が進まない。


「いいじゃない。ようやく会えたのだから」


「ようやくっていうほどの時間じゃないだろ?」


「いいえ、人の身には長い時間よ」


 一番の少女の正体は悪魔アタラシュレオナであった。

 ヨルビノシュと共に時を戻り、行方が分からなくなっていた悪魔の片割れである。


 あえて人の言葉で言うのなら幼馴染とでも表現してもいいのかもしれない。

 物静かで悪魔らしい気性の激しさがあまり見られない性格をしていたが、能力は相当高かった。


 それこそクイーンが自分の後釜にと考えるほどであった。

 ただ時にとんでもない執着を見せることもあって、ヨルビノシュに言い寄った色欲の悪魔を再生できないほどにバラバラにして見せたこともある。


 正直怒らせたくはない相手だとヨルも思う。


「よかった……あなたもやっぱり人になっていたのね」


 自分が人になっていたことから、レオナも人になっているのではないかという予感もしていた。

 レオナも同じく考えていて、再会を強く望んでいた。


 十数年という時は悪魔にとってカップラーメンを作るような時間と変わらない。

 しかし人の体においては十年もの時が経てば様々なものが変わってしまう。


「人になってもあなたは素敵……私のヨルビノシュ……もう離さない…………」


 レオナは痛いほどにヨルのことを抱きしめる。

 悪魔の時も美形であった。


 色欲を司るタイプの悪魔でもないのにも関わらず、色欲の悪魔が嫉妬するような見た目をしていた。

 人になってもそれは変わらないようである。


 そして、強い執着心も変わらない。


「お前は変わらないな」


「あなたは……少し変わったわね。こんなふうにさせてくれなかったもの」


「今は力をだいぶ失ってるんだよ」


 明らかにレオナの方がヨルよりも魔力が多い。

 振り解こうにもレオナの力が強い。


 悪魔の時だったら同じようにすれば逃げたり止めたりしたものを、今はヨルの方が貧弱だった。


「そうなの……それは………………いいわね」


「お、おい……」


 レオナはまるで猫のようにヨルの頬に自分の頬を擦り付ける。

 ドアは閉まっているが、他の奴にこんなところ見られたらなんと言われるか分からない。


「いいじゃない、ヨルビノシュ。ここには私とあなたの二人だけ……」


「よくない。それに今の俺はヨルだ。お前はレオナ、だろ?」


「そうね、ヨル。私のヨル。愛しいヨル。……ああ、ヨル」


「くそっ……」


 軽く抱きしめているだけのように見えて、とんでもない力が込められているなんて、やられている本人のヨルにしか分からない。


「……レオナ、聞きたいことがある」


「なぁに? あなたのためならなんでも答えるわよ? スリーサイズ?」


「胸のデカさは興味ない。お前たち……暗天についてだよ」


 レオナがここにいるのは予想外だったが、歓迎すべき予想外と言っていい。

 レオナは暗天側の人間だ。

 

 きっと何か情報を握っている。

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