第1章 最強探索者達、配信者を助ける。29話
「……ん」
目を覚ますと見えてきたのは白い天井だった。
「ここは」
確認するために周りを見る。
周りには点滴、カーテン、点滴は自分の腕に刺さっているのを確認する。
「……びょ、いん?」
カスカスの声で何とか絞り出す。
「なんで……」
記憶を思い出そうとすると、ガラガラと扉が開く音が聞こえてくる。
カーテンを開けられそちらに視線を向けるとそこに居たのは
「おや?目が覚めた?」
「(あっ)……よざくら……さん」
「そうだよ」
夜桜さんはベットの横に椅子を出し腰掛ける。
「君は何処まで覚えてる?」
「何処まで……?」
「たしか」
記憶を思い出す。
夜桜さんが、敵にトドメを刺した辺りで意識を失った気がする……。
「敵にトドメをさした辺りだったような?」
「……うん、大体あってるね」
「そのあと、君を奈落階層から連れ出し探索協会付属病院へ運び入れ、君は今日まで眠っていたんだ」
「なる、ほど」
「君の現状を伝えておこうか?それとも回復してから聴きたい?」
「……」
「お願いします」
夜桜さんは頷くと報告書みたいな物を取り出す。
「今、君は魔力症という探索者特有の症状が起きている。この魔力症は高濃度の魔力地域に一定時間居ると体内の魔力濃度が濃くなってしまって自力で魔力を放出する事が出来なくなるものだ」
「暫くは通院して地道に魔力症を緩和させていくのが今のところ一番いい方法だね」
「そうなんですか」
「一気に治してしまうと体内の魔力保有するための器が壊れてしまうんだ」
「これが壊れるとダンジョンがある現代だと息苦しくて住みずらくなってしまう」
「だから、ゆっくり治していこう」
夜桜の説明を聴きながらそうなんだと他人事のように考える。
それにしても……。
「普通はお医者さんがするものじゃない?っていう顔をしてるね」
「え……」
「君、凄く分からりやすい表情をしているからわかるよ」
ふふっと笑いこちらを見てくる。
「そうだね通常ならお医者さんがくるんだけども、ちょっと来れないわけがあるんだよね」
「君の固有スキル 無効化の覚醒スキルに問題があってね、ステータスを確認してみてくれないかな?」
「ステータスですか?」
「そう!ステータスを見ながらの方が納得しやすいと思うからね、スキルを使用する場合はスキル名を言えば使えるよ」
「えっと……"ステータス"」
目の前に電子モニターのような半透明の画面が表示される。
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【ステータス】
【名前】有馬 悠
【年齢】26
【性別】男
【詳細数値】
【レベル】2
【体力】155
【魔力】110
【攻撃】10
【防御】14
【器用】15
【知力】10
【幸運】9
【SP】10
【固有スキル】無効化
┗解放されているスキル
【殺意なる攻撃の無効化】パッシッブスキル「切り替え可能」
※これは敵意または殺意と思われる感情を向けられた攻撃を無効化するスキル。
※自身に対して向けられていると黄金の盾で防ぐ事が出来る。
※展開した盾の内側に味方がいる時、味方も護ることができる。
【通常スキル】
【ステータス】自身のステータスを見る為のスキル。他人のステータスは見えない。
【鑑定】人物以外の情報を見る事が出来る。ただし、レベルによって見えない。
【投擲】物を投げるときに補正が入る。
【危険察知】危険を事前に気づく事が出来るスキル。
【採取】薬草などの採取できる物の品質が少し補正される。
【称号】
【東京第二都市ダンジョン奈落階層到達】奈落階層に人生で初めて到達したものに送られる称号。隠しスキル【適応力】を獲得。
【ランダム転移事故被害者】ランダム転移に遭遇してしまった可哀そうな人。隠しスキル 【不憫】を獲得。
【生還者】奇跡的に絶望な状況から生還できた者に送られる称号。
【覚醒への道しるべ】固有スキルを初めて覚醒させ者に送られる称号。
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「開きました」
「じゃあ、固有スキルって箇所の下に解放されてるスキルって書いてない?」
「……書いてあります!」
「今回、私が説明しに来てる理由はそれが原因だと思うんだよね」
「……なぜ?」
「解放されているスキルに殺意なる攻撃の無効化ってあるでしょ?ちなみに私がそのスキルを知ってる理由はあの時に君がスキルを使用したから知ってるのと」
「今起こっている原因を調べるため、猫柳会長に読んでもらったから知ってるんだ」
「そうなんですか、ですがなぜこのスキルが原因なんでしょうか?」
「うんとね、まずスキルには2種類発動方法がある。1つ目アクティブスキル……これは簡単に言えば自分の意思でスキルを使用するって意味でこれに関してない今回の件に関係とふんでる」
「2つ目パッシブスキルが今回の原因かな……簡単に説明すると、常に発動したり自分の意思とは関係なく条件的に発動するスキル」
「え、でもこのスキルの発動条件だと敵意または殺意に反応するって書いてありますよ?お医者さんの検査にそんなものないのでは?」
何故か凄く申し訳なさそうな顔をしながらこちらを見てくる夜桜さんは続ける。
「普通ならそうなんだけどね、普通なら。でも今回のはなぜか発動した。」
「多分だが、自分に向けられた感情に対して過剰反応したからかな……曖昧な説明しか言えないのはスキルの説明にある通り敵意または殺意しか反応しないはずなのに何故かしている。」
「医者から向けられてるものがスキル的には害があるものだと錯覚した……ゲーム的に言えばバグを起こしたと同じものだ」
「バグ?誤作動したって話ですか?」
「そうなるね、ちなみにこの点滴でさえもスキルが反応していた」
腕に繋がれている点滴をみる、点滴の針を刺す時にその針は腕に刺さるがその刺す動作がスキル的には敵意と判断したんだろうと推測する。
だが、この点滴は誰が刺したんだろうと疑問に思う。
「なら、これは誰がやったのですか?バグならお医者さんでもさせないのでは?」
「それがね何故か探索者ならさせるし触れる」
「え?」
「一応この病院は探索協会付属の病院だから現役の探索者をしている看護師や医師がいる。ただ、今回は病院に探索者の資格持ち丁度いなくて、気づくのが遅れてしまい診察もまともにできなくて困ってたところに私が来たっていうのが経緯かな」
「それはなんというか……あのぉ……そのぉ」
「凄く申し訳ないです」
「君のせいかと言われると君のせいかもしれないが、君のせいじゃないと言われると君のせいではないから、まぁ……気にするなとしか言えない」
「まぁ、君は暫く安静にしようその後君の事を心配している人達に向けて対応していこうか」
「対応……?あ!配信!!」
さぁ……っと冷や汗をかき配信が途中で途切れていたことを思い出す。
「探索協会から声明は出しているが、退院したら配信をしてりすなー?達に顔を見せればいいよ」
息が漏れ少しの安堵をこぼす。
「意識も戻ったようだし今日はここまでにして明日精密検査を行うように指示しておくよ」
「指示?探索者は医者にも指示できるんですか?」
「ん?あぁ、違う。私も医師免許持ちの探索者なんだよ」
「え?(ハ、ハイスペックだ)」
夜桜さんを見つめると夜桜さんの眉毛が少しだけ下がる。
「まぁ……時間は無限なんでね」
なんともいえがたい表情を一瞬見せたがすぐに表情を戻す。
「?」
「まぁ、気にしなくていいよ。君はしっかりと休んで直していきな」
「じゃあ今日はここまでにしようか」
「え、あ、はい」
「一応暇つぶしは用意してあるからそれで暇をつぶして、あと今日はベットから降りないように!今の君はかなり脆いからね」
「はい」
念押しをされて夜桜さんは退出をする。
病室で一人になり、考える。
「いろんなことが起きたな……」
「無事に帰ってこれて、幸運だったのかな……」
ぽたっぽたっと涙が溢れてくる。
涙を抑えることが出来ず、安心からくる感情に今はただ身を任す。
シーンとした部屋の中を静かに泣きながら、眠りにつく。
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涙を流しているのを部屋の外から聞く夜桜はあたりを警戒する。
「……まだ諦めないな」
「あの子の覚醒したスキルはまだパッシブスキルのままだ」
「触れる事は出来ないのに、監視するのは意味がないんじゃないか?」
独り言のように聞こえるしゃべり事は誰かに向けてつぶやく。
廊下にある窓へ視界をむける。
そこには夜桜が映り込むが、窓に映る姿は確かに夜桜なのに不気味な表情を浮かべるなにかだった。
その不気味な夜桜?はこちらを認識すると悔しそうな表情を浮かべ……消え去る。
そこに残るのは、睨みつけるように窓を見ていた夜桜だけが残るのだった。
「干渉を止めたか」
「はぁ……今日はここで見張り番かな」




