第1章 最強探索者達、配信者を助ける。28話
アルが運び込まれた探索協会付属病院にて、少し問題が起こっていた。
「スキル"診断"……軽度の魔力症と疲労」
医師がカルテを書きながらアルをスキルで見ていく。
「魔力症用の点滴と疲労回復用ベッド用意して」
「はい」
「外傷、内臓損傷は見られない」
「先生、点滴の用意が出来ました」
「利き腕がどちらかは分からないが、まぁ左にしておこうか」
——殺意なる攻撃の無効化を発動。
——???からの攻撃を無効化。
——隠しスキル 干渉力の無効化を獲得。
——???の干渉を無効化します。
——今後???からの干渉は全て無効化されます。
——このアナウンスは再度通知されません。
アルの腕を取り点滴を刺そうとすると、アルを守るように金色の盾が出現する。
「きゃっ!」
「これは!?」
その金色の盾に触れようとすると先程まで触れられていた医師までも触れなくなってしまった。
「スキル?この子の情報は協会から上がってきてるか?」
「は、はい、こちらになります」
看護師は医師に探索協会から回ってきていたアルのデータを見せる。
「固有スキルは……なるほど、でダンジョン内でスキルが半覚醒していると」
「……仕方ない猫柳会長を呼ぼう、我々では対処出来ない」
「分かりました」
看護師に探索協会会長を呼ぶように指示を出す。
「警備員を呼んできてくれ、部屋と通路前に猫柳会長以外来るのを拒むように伝えて」
「了解しました」
「かなりの厄介事だったか」
書き込んだカルテを見ながら、警備員が来るのを待つ。
——————
(夜桜視点)
病院内に入ると異様な空気が漂っていた。
「(これは……)猫柳」
空白の鏡玉で辺りを見回している猫柳に声を掛ける。
「あぁ、見えている」
空白の鏡玉は喰らう者が干渉している時にその力を発揮する。
空中に目に見えない干渉力の流れを見ることが出来るレンズがいくつも展開されている。
「帯刀許可をくれ」
「許可する」
夜桜は猫柳から病院内で帯刀許可を貰い、空白の断章を腰に差す。
「猫柳会長こちらです!」
「申し訳ありません、武器はアイテムボックスに入れるか警備員に預けるかしてください」
看護師は病院内でのルールを夜桜に申し出る。
傍には警備員もいる。
「いや、私が許可を出しているから彼女から武器を取り上げないでくれ」
「!そうですか、申し訳ありません。では案内致します」
案内される最中夜桜は辺りを隈なく見る。
猫柳もまた辺りを空白の鏡玉越しに確認する。
「(不自然な流れが何処かへ向かって伸びているなこれは)……」
看護師に案内されているさなか不自然な流れも続く。
「こちらになります」
「(流れの終着地点もここか)ありがと」
不自然の流れは扉の向こう側へ向かえないのか扉の前で留まっている。
室内に入ると見えてくるのは、アルを囲うように展開している金色の盾がそこにあった。
「これは、ダンジョン内でみた彼のスキルだね」
夜桜が答える。
猫柳はアルを空白の鏡玉越しにステータスを確認する。
「なるほど」
——————
【ステータス】
【名前】有馬 悠
【年齢】26
【性別】男
【詳細数値】
【レベル】2
【体力】155
【魔力】110
【攻撃】10
【防御】14
【器用】15
【知力】10
【幸運】9
【SP】10
【固有スキル】無効化
┗解放されているスキル
【殺意なる攻撃の無効化】パッシッブスキル「切り替え可能」
※これは敵意または殺意と思われる感情を向けられた攻撃を無効化するスキル。
※自身に対して向けられていると黄金の盾で防ぐ事が出来る。
※展開した盾の内側に味方がいる時、味方も護ることができる。
【通常スキル】
【ステータス】自身のステータスを見る為のスキル。他人のステータスは見えない。
【鑑定】人物以外の情報を見る事が出来る。ただし、レベルによって見えない。
【投擲】物を投げるときに補正が入る。
【危険察知】危険を事前に気づく事が出来るスキル。
【採取】薬草などの採取できる物の品質が少し補正される。
【隠しスキル】
【干渉力の無効化】喰らう者からの干渉を無効化する。
【凶星】とても大きな災いに遭遇しやすくなるスキル。
【幸運の兆し】幸運が訪れやすくなる。
【成長】スキルが習得しやすくなるスキル。
【適応力】どんな環境にもすぐに適応する力。
【不憫】不幸な目に会いやすくなる。
【称号】
【東京第二都市ダンジョン奈落階層到達】奈落階層に人生で初めて到達したものに送られる称号。隠しスキル【適応力】を獲得。
【ランダム転移事故被害者】ランダム転移に遭遇してしまった可哀そうな人。隠しスキル 【不憫】を獲得。
【生還者】奇跡的に絶望な状況から生還できた者に送られる称号。
【覚醒への道しるべ】固有スキルを初めて覚醒させ者に送られる称号。
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「夜桜、予想通りだった」
「居るな」
「あぁ、いるぞ」
夜桜がアルに触れようと手を伸ばすと、金色の盾は夜桜の手を拒まず触れる事を許す。
「私はいいらしい、多分だが喰らう者に抗える者は触れると思うよ」
「これは私の感と経験則からくるものだ」
「それであってるだろうね、隠しスキルに喰らう者からの干渉を無効化するスキルがある」
「これが原因でスキルが発動してるんだろうね」
「この事実をこのままいうわけにはいかないので、少し事実を曲げる」
眉毛を下げ悩むしぐさをする猫柳。
それを聞き、夜桜は肯定する。
「それでいいと思う」
「大災害以降、喰らう者の名前は教科書に載る程の認知度であるが、その実態を深く知るものは資格を得ている者だけでいいと私は思っているよ」
「この子は喰らう者から干渉を受けてしまったが正式な資格を得ている分けではない、だからまだ知らなくていい、時が来たらおのずとわかる……だって彼らから説明をされるだろう」
「そうだね、なら納得するか分からないが少し難しいい方をしながらで話そうか」
「……その説明役私に任せてくれない?」
「別にいいがどうしてだ?」
「多分というか」
「必ず、来るから……喰らう者が」
夜桜の視線が部屋の外に向けられる。
「なる……ほど、分かったお前に任せる」
猫柳は病室を出る前に夜桜を見る。
「真実は俺とお前の中で隠せよ?」
夜桜は一瞬、見つめ返し目を逸らす。
それは猫柳の指示を無視する瞳ではなく、分かり切っている事を2度も言わなくていいと言っているかのように。
病室から出ていく猫柳を横目に夜桜は部屋中を歩く。
「……」
言葉はなくただ歩き、部屋の主が起きるのを静かに待つのだった。




