表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
父の形見は美少女Vtuber  作者: 伊阪証


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/51

爆弾解除

新プロデューサーの作業部屋は、事務所と呼ぶには狭く、個人の配信部屋と呼ぶには物が多すぎた。三文演義の古いロゴが入った機材ケース、買収後に貼り替えられた管理用のラベル、外付けSSD、ケーブル、音声インターフェース、動作確認中の小型モニター、契約書の束、桜太が持ち込んだ経営資料、誰かが差し入れたらしい栄養補助食品の箱が、用途ごとにまとまっているようで、実際には手を伸ばした順番に堆積している。だが、汚くはない。必要なものが取り出せる場所にある。片付いていないのではなく、片付ける時間をまだ別の作業に回している部屋だった。斎太は入口に立ったまま、その雑さの種類を見た。壊れている人間の部屋ではない。間に合っていない人間の部屋だ。

新プロデューサーはモニターの前にいた。見た目だけなら普通の若い大人で、気弱にも有能にも見える。そういう顔が一番判断しにくい。表情に疲れはあるが、寝ていない人間の濁り方ではない。目の下に酷い隈があるわけでも、声が荒れているわけでもない。ただ、画面を切り替える速度と、手元のメモを確認する回数が少し多い。頭の中に抱えている作業が多く、どれを先に落とすかを常に測っている人間の動きだった。

桜太はその横で椅子に座り、資料を一枚ずつ見せていた。教えるというより、引き継ぎの最中に事故を減らすための矯正に近い。

「この案件は受ける前に支払い条件を見る。金額じゃない。支払いのタイミングと修正回数だ。金額が良くても、修正無制限なら現場が死ぬ」

「はい」

「この外注費は、項目名が合っていても中身が曖昧だ。曖昧な請求は通すな。相手が悪人かどうかは関係ない。曖昧なまま通すと、次も曖昧になる」

「はい。確認します」

「確認します、じゃない。誰に、いつまでに、何を確認するかを文面で残す。口頭で済ませるな。お前が善人でも、相手が善人でも、忘れた瞬間に事故になる」

「……はい。確認先と期限を入れます」

斎太はそのやり取りを聞きながら、昨日の自分の言葉を思い出した。大人だから大丈夫。今、この場にいる新プロデューサーは、少なくとも大人として逃げてはいない。桜太に詰められ、経営資料を見せられ、曖昧な項目を潰され、それでも席に座っている。そこは評価していい。だが、それは「JKに好かれても調子に乗らない」の証明にはならない。経営を学ぶ態度と、好意を受けた時の態度は別だ。ここを同じものとして見た瞬間、斎太はまた見落とす。

新プロデューサーは斎太に気づき、軽く頭を下げた。

「すみません、今少し立て込んでいて」

「知ってる。見に来ただけ」

「見に……?」

「四人の件」

言った瞬間、新プロデューサーの手が止まった。露骨な動揺ではない。だが、止まった。モニターの中では経費の表が開いたままになっている。桜太はそれを閉じず、斎太へ視線だけを向けた。ここで恋愛話に広げすぎると、経営の授業が崩れる。だから斎太は長く言わない。

「個別対応を続けると誤読が増える。短文返信も、対面の短時間対応も、相手側で意味が膨らむ。だから、接触の形を見える化したい」

新プロデューサーはすぐに頷かなかった。そこは良かった。何でも反射で受ける人間ではない。彼は少し考え、手元のメモに「接触/見える化」と書いた。

「それは、四人を避けるという意味ですか」

「違う。避けると悪化する。避けた分だけ相手が意味を盛る。かといって一人ずつ丁寧に受けても、今度は距離が近くなる。積極的でもアウト、消極的でもアウト。だから、個別の密室を減らす」

「なるほど」

「なるほどで済む?」

斎太が聞くと、新プロデューサーは少し困ったように笑った。

「済まないです。ただ、言われていることは分かります。僕の返信が短いのは、正直よくないと思っていました。でも長く返す時間がない。長く返すと、それはそれで個別対応が深くなる。だから、どうしても『了解』『助かります』『確認します』に寄っていました」

「その三つ、全部危ない」

「はい。今は分かります」

桜太が横から口を挟んだ。

「分かっているなら、まず使う場面を分けろ。了解は作業確認。助かりますは成果に対して。確認しますは期限付き。感情の返事に使うな」

「はい」

「はい、も便利に使いすぎるな」

「……分かりました」

斎太は少しだけ笑いそうになったが、笑わなかった。新プロデューサーは真面目だ。真面目だが、真面目だからこそ短い言葉で全部を受けてしまう癖がある。返事を遅らせるよりは短く返す。無視よりは反応する。相手を不安にさせないために最小限返す。その最小限が、相手側で最大限に膨らむ。

「四人には、こっちから説明する」

斎太が言うと、新プロデューサーは目を上げた。

「お願いします、でいいんでしょうか」

「そこも危ない」

「……そうですね。僕からも、必要な範囲で説明します。ただ、全員に個別で話すと同じことになります」

「だから、まとめる」

「まとめる?」

斎太は少し考えてから言った。

「四人で外堀を固めればいい」

桜太がわずかに目を細めた。新プロデューサーも止まった。斎太は自分の言い方が悪いことを分かっていたが、口から出たものは戻らない。

「言い方を変える。四人が別々に動くから、隠れた接触と誤読が増える。なら、四人が互いに見えている状態で接触した方がいい。予定も、相談も、手伝いも、個別に流れないようにする。逃げられないように囲うんじゃなくて、逃げ道を密室にしない」

「それ、本人たちに言うと前半だけ残るぞ」

桜太が言った。

「分かってる」

「分かってる顔じゃない」

「分かってる。だから説明する」

斎太はそう言ったが、説明が間に合わないことはすぐに分かった。

四人は既に動いていた。

きっかけは小さかった。コラボ雑談の後、それぞれが自分の中で感情を整理しようとした。朱木榊は、守る側を守るために、個別の負担を減らすべきだと考えた。碧野畏敬は、業務と感情の線引きには仕組みが必要だと考えた。新緑抹茶は、躊躇しているうちにまた遅れるくらいなら、今回は自分から形を作るべきだと考えた。菫天紫は、喪失を一人へ預けないために、四人で見える場所を作るべきだと考えた。四人とも、理由は違う。だが、向いた先は同じだった。

数時間後、新プロデューサーの予定表が変わった。

個別相談枠が消え、代わりに「共同確認枠」が入った。内容は配信運営、案件確認、素材提出、企画相談、体調報告、連絡文面の確認。四人のうち最低二人が同席し、必要に応じて元個人勢三人の誰かが外から確認する。直接会う場合は記録を残す。通話も、業務相談なら共有チャンネルへ要点を落とす。個別DMは緊急時以外使わない。緊急の定義も畏敬が作った。榊は、負担が偏らないように相談順を作った。抹茶は、返事待ちで固まらないように「茶を淹れて一回置く」などという謎の冷却手順を混ぜた。天紫は、相談内容が感情へ寄りすぎた時に戻すための言葉を用意した。

斎太がそれを見た時、最初に出た言葉は「早いな」だった。

次に出た言葉は「怖いな」だった。

アキは画面を覗き込み、眉を寄せた。

「これ、あなたの外堀発言の影響?」

「俺は密室を減らせって意味で言った」

「相手には、逃げられないように四人で固めるって聞こえたでしょうね」

「訂正する」

「もう半分実行されてるわ」

実際、四人の動きは速かった。畏敬が作った共有表はかなりよくできていた。連絡の種類、返信期限、返答テンプレート、確認者、感情的負荷の有無、未成年が関わる場合の保護者・運営確認欄まである。榊はそこに、負担が新プロデューサーへ戻りすぎないよう、相談前に自分たちで整理する項目を足していた。抹茶は「即返事禁止」「一杯分置く」「深夜に決めない」という運用を入れた。天紫は、誰かが不安から相談を増やしていないかを見る欄を作った。四人とも、本気で「事故らない形」を作っている。だが同時に、四人で新プロデューサーの動線と連絡先と作業時間を固めていることも事実だった。

ベルはそれを見て、困った顔をした。

「しっかりしているわね」

「しっかりしすぎてる」

斎太は頭を抱えた。

「悪いとは言いづらい。個別DMを減らすのは正しい。共有化も正しい。未成年管理としてはむしろ良くなってる。けど、恋愛方向の外堀として見ると完全に逃げ道を塞いでる」

「本人は?」

アキが聞く。

「新プロデューサー?」

「ええ」

斎太は通話を繋いだ。新プロデューサーはすぐには出なかった。三分ほどしてから、少し息を切らした声で応答した。

『すみません、今、榊さんと畏敬さんと素材の確認をしていました』

「外堀、どう?」

『外堀?』

「共同確認枠」

『ああ。助かっています』

斎太はアキを見た。アキは黙って聞いている。

「本当に?」

『はい。最初は少し驚きました。個別に連絡が来ていたものが共有化されて、予定もかなり細かく押さえられたので。ただ、作業としては楽です。誰に何を返したか探さなくていい。相談内容が整理されてから来る。感情の話と業務の話が分かれている。僕が短文で返しても、誰かが文脈を補ってくれる』

「拘束されてる感覚は?」

新プロデューサーは少し黙った。

『あります』

「あるんだ」

『あります。でも、制作環境って大体そういうものなので』

「どういう意味?」

『締切、共有フォルダ、確認者、修正履歴、素材提出、進捗管理。クリエイター側から見ると、自由に放置される方がきつい時があります。何をいつまでに出せばいいか決まっていて、誰が確認するか分かっている方が、作業はしやすい。今回のこれは、恋愛的な圧というより、制作進行の圧として処理できています』

斎太は返事をしなかった。

新プロデューサーは続ける。

『もちろん、歪だとは思います。四人の動機が完全に業務だけではないのも分かります。でも、個別に曖昧な連絡が積み上がるよりは、今の方が事故りにくい。僕も、個別に受けていた時より返答を選びやすいです』

「調子に乗ってない?」

自分で言って、斎太はかなり直球だと思った。だが、回りくどく聞く方が危ない。新プロデューサーは困ったように笑った。

『乗る余裕がないです』

「JKに好かれてる可能性については」

『怖いです』

即答だった。

『正直、嬉しいより怖いです。僕が何かを返した瞬間、相手の活動や未成年管理や事務所の信用に触れるので。好意かどうか以前に、僕が受け取り方を間違えると事故になります。だから、今の共有化は助かっています。個別に甘い言葉を返さなくて済むので』

アキがわずかに息を吐いた。斎太も、少しだけ肩の力を抜いた。少なくとも、今の新プロデューサーは調子に乗ってはいない。好かれていることを報酬として受け取るより先に、事故として見ている。そこは大きい。だが、その恐怖があるから完全に安全、ではない。怖がっている人間は流されないとは限らない。むしろ、怖いから仕組みにすがることもある。

「四人の動き、止めるべきだと思う?」

斎太が聞くと、新プロデューサーは少し考えた。

『全部止めると、多分また個別に戻ります』

「だろうな」

『ただ、言葉は直した方がいいです。外堀とか、逃げられないとか、そういう形で扱われるとまずい。僕も人間なので、笑って済ませる時と、本当に逃げ場がないと感じる時が混ざると思います』

「そこは直す」

『お願いします。でも、今の形そのものは……悪いとは言いづらいです。歪ですけど』

歪だが、悪いとは思えない。

斎太はその言葉を聞いて、今回の着地点の一部を見た気がした。正常ではない。恋愛の外堀固めとして見れば危うい。未成年管理としても、四人の感情が混ざっている以上、綺麗ではない。だが、実際には個別DMが減り、短文の誤読が減り、相談内容が整理され、新プロデューサーの負担も少し下がっている。悪いとは断定できない。むしろ、前の状態より事故りにくい。だからこそ、扱いを間違えると全員が「これでいい」と思ってしまう。

通話を切った後、斎太はしばらく黙っていた。

アキが言う。

「どうする?」

「止めない。けど、名前を変える」

「名前?」

「外堀じゃなくて共同管理。逃げられないようにするんじゃなく、個別接触を減らす。四人にもそこを言う。恋愛戦術として扱うな、業務と安全管理として扱えって」

「それで聞く?」

「聞く。聞かせる」

アキは少しだけ笑った。

「珍しく強い言い方ね」

「俺の言い方が悪くてこうなった部分もあるからな」

「分かっているならいいわ」

斎太は四人用の通話枠を開いた。すぐに全員が揃うわけではなかったが、返信は早かった。榊は「分かりました」、畏敬は「議題を整理します」、抹茶は「茶を淹れてから行く」、天紫は「言葉を確認します」と返した。四者四様だったが、全員が来る気はある。斎太はその返信を見て、外堀が固まっているのは新プロデューサーだけではないと思った。四人もまた、自分たちの動きに囲われ始めている。始めた以上、途中で引く理由を失う。そこも見なければならない。

通話が繋がる。画面上に四人のアバターが並ぶ。朱木榊の赤、碧野畏敬の青、新緑抹茶の緑、菫天紫の紫。色だけ見ると、妙に収まりがいい。斎太はその収まりの良さが少し怖かった。

「先に言う。外堀って言い方はやめる」

榊が少しだけ目を伏せた。

『すみません。私たちも、少し言葉が強くなっていました』

畏敬は資料を開いているらしく、声がいつもより硬い。

『目的は個別接触の抑制と業務整理ですわ。恋愛的な包囲ではありません』

抹茶が即座に言った。

『でも逃げられないくらい整えた方が事故らないのは事実』

「抹茶」

『言い方が悪いのは分かる。でも、逃げ道が個別DMになる方が危ないでしょ』

天紫が静かに補う。

『逃げ道は必要です。でも、隠れた場所に逃げる形は危ないと思います。だから、見える逃げ道にしたいです』

斎太は四人を順に見た。四人とも、本当に考えている。恋で暴走しているだけではない。だが、それぞれの考えが新プロデューサーの周囲に集まると、結果として拘束に近づく。榊は守るために、畏敬は整理するために、抹茶は遅れないために、天紫は喪失を預けすぎないために、同じ仕組みを作っている。

「業務整理としては悪くない。実際、新プロデューサーも助かってると言ってた」

四人の空気がわずかに緩んだ。

「ただし、恋愛の外堀として扱った瞬間にアウトだ。相手が逃げられない形を作るんじゃない。相手が個別に抱え込まなくて済む形を作る。ここを間違えるな」

畏敬が頷いた。

『表の名称も変えます。共同確認枠では少し硬いので、業務共有枠へ』

「名前は任せる。目的も明記して。個別接触の削減、返信誤読の防止、未成年管理、業務負担の分散」

榊が言う。

『感情の相談はどうしますか』

「そこは家族側か、指定した相談窓口へ分ける。新プロデューサーに直接投げない」

天紫が少しだけ静かになった。

『感情の相談を、全部切り離す必要がありますか』

「全部じゃない。仕事に関係する感情はある。ただ、新プロデューサー本人への感情を、新プロデューサーに処理させるな」

その言葉で、四人とも黙った。ここが本題だった。新プロデューサーへ向いた感情を、新プロデューサー本人に処理させる。それは一番楽で、一番危ない。相手に気持ちを受け止めてもらえれば、短期的には安心する。だが、それは相手を逃がさない。相手もまた、受け止めたふりをするか、流されるか、怯えて短文になるしかなくなる。

抹茶が最初に口を開いた。

『それ、茶を淹れた本人に茶葉の保存まで任せるみたいな話?』

「たぶん違うけど、言いたいことは分かる」

『飲む側が自分の飲み方まで相手に決めさせたら駄目ってことね』

「そう」

畏敬が続けた。

『自分の感情の会計を、相手の帳簿に載せない』

「それ」

榊は少し考えてから言った。

『祈りを、神社の人間個人に背負わせない』

「そう」

天紫は目を伏せた。

『喪失を、居場所を作ってくれた人に預けきらない』

「そういうこと」

四人は、それぞれの言葉で理解した。そこは強い。だから危ない。理解できるから、自分たちの理屈でまた動けてしまう。斎太はその強さを否定しない。ただし、進む方向だけは見える形に置く必要がある。

「恋は否定しない。そこは変えない。本人の意思があって、理由があって、相手側にも問題がなくて、管理上も事故らないなら、手を貸す。ただ、今はまだ条件が揃ってない。だから、外堀じゃなくて安全柵として扱え」

「安全柵」

抹茶が繰り返した。

「逃げられないように囲うんじゃなくて、落ちないように囲う。そこを間違えるな」

榊が静かに頷いた。畏敬は資料の名称を書き換えている。抹茶は少し不満そうだが、反論はしない。天紫は、ほっとしたようにも、少し寂しそうにも見えた。

通話が終わる頃には、共同確認枠は「業務共有枠」に変わっていた。個別DMのルールも整理された。感情相談は新プロデューサー本人へ直接投げず、家族側や指定窓口へ分ける。新プロデューサーの返信テンプレートも、畏敬が勝手に作りかけていたものを一度止め、桜太と本人の確認を挟むことになった。抹茶の「茶を淹れて一回置く」は、なぜかそのまま残った。深夜に決めないための冷却手順として、意外と悪くなかったからだ。

斎太は通話を切り、椅子に深く座った。

アキが隣で言う。

「歪ね」

「歪だな」

「でも、前より事故りにくい」

「それが一番面倒なんだよ」

斎太はモニターを見た。業務共有枠。安全柵。個別接触の削減。未成年管理。返信誤読の防止。言葉は整った。だが、その下には四人の恋がある。榊の献身、畏敬の整理、抹茶の選択、天紫の喪失。それらは消えていない。ただ、剥き出しのまま新プロデューサーへ向かわないように、別の形へ組み替えられただけだ。

新プロデューサーは拘束されている。予定も連絡も動線も、以前より見られている。だが、彼はそれを制作環境として受け取っていた。締切、共有、確認者、修正履歴。クリエイター気質の彼にとって、それは自由を奪うものというより、制作を前へ進める枠だった。異常だ。だが、完全な悪ではない。

斎太は小さく息を吐いた。

「悪いとは思えないのが一番厄介だな」

アキは頷いた。

「正常ではないけど、機能しているものは、壊すだけでは済まないわ」

四人は止まっていない。新プロデューサーも逃げていない。三文演義も沈んでいない。だが、全員が普通ではない形で踏ん張っている。その踏ん張りが、今夜から少しだけ整理された。

外堀ではなく、安全柵。

拘束ではなく、共有。

恋愛戦術ではなく、事故防止。

言葉を変えただけではない。

だが、言葉を変えなければ、同じ仕組みは簡単に別の意味へ落ちる。

斎太は画面を閉じた。

自分の雑な一言が、四人の本気で形になりかけた。

その怖さだけは、しばらく忘れない方がよかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ