計画的不利
ダメだ、まるで攻撃が当たらない。
敵は3人、同時に斬りかかって来て離脱して行く。
宮殿の柱が遮蔽物になって弾丸は避けられる。
「クソッ!ハインケルと愉快な仲間達よ!堂々と姿晒してみろよ!」
「そういえば貴方には私たちの名前を教えていませんでしたね。私はドルニエ、ドルニエ・エスコバルでございます。」
「……メッサー…」
どうやら下品なの、紳士的なの、無口なのの集まりみたいだ。
しかし3対1は不利すぎる。
どうにかならないものか、そうだ、おそらくもうじき旺田少佐たちが合流するはずだ。
そうなれば桜木大尉や犬神中尉も佐々木兵曹長もいる。
戦力的には圧倒的に有利になる。ラッキー!
あの糞野郎どもを地獄に送ってやれる。
今は時間を稼ぐ、それで死んでも少佐たちが合流すれば奴らは七面鳥のように撃ち殺される。
「おい、愉快な3人、かかって来いよ。俺に一泡吹かせるつもりで来い。」
「ま〜だ馬鹿なことを言ってやがるのか。いい加減に、くたばれ!」
ハインケルの剣は3人の中で1番鋭い。しかし性分のそれで揚げ足を取りやすい。
激情に駆られた人間なんてまるで鴨だ。
鳥の首をひねるように一瞬で終わるさ。
「特別親衛隊なんてこんなもんか?まるで話にならねえな、俺1人に手間取ってちゃ隊長たちは殺せねえよ!」
「黙れ!黙って命を置いてけえ!」
ハインケルは予想通り斬りかかって来た。
しかし考えている間にも時間は稼げた。
「ズガガガガガガガガガガガッ!!!」
「何!?弾丸!?」
「戦争したいの一点張りで、右翼扱いされた日々、されど我らは国防軍、国を守りし砦なり!
と言うことで火虎忠影再び推参!」
きたきた、国防軍1の荒くれ司令官、国防軍1のスナイパー、国防軍1のきちがいが来た。
「敵は降参しない限り全員殺せ!反撃するなら一族末代まで晒しあげろ!人を人とも思わないのが俺たちだ!同情するな!」
「サーイエッサー!!!!!」
「第二斉射!撃ちーかたー始めぇー!」
「ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!」
相変わらずこのえげつなさはテロリストみたいだ。
「さっき以来だな!少しへばってんじゃねぇのか?まだ本丸落としてねえぞ!」
銃声の中で隊長の声が聞こえた。
「流石に3対1はキツイですよ。」
「まぁいい!皇帝は俺と佐々木で殺してくるからお前はあの口の悪そうなツラの奴をぶち殺して来い!」
「わかってますよ。言われずとも俺は奴らを殲滅しますよ。こう見えて初の人殺しは高校でやりましたからもう慣れましたよ。」
隊長は俺を見るなり笑顔で「任せたぜ。」と言って皇室に突入して行った。
「さぁて、ドルニエは桜木大尉が、メッサーは犬神中尉と無口同士で殺し合いをしてるが、俺らも口が悪いもの同士片付けるか。」
「先に片付くのはお前だ!命を置いていけ!」
命命ってガチでうるせえ。
「手前はさっきから下品なんだよ!」
同時に殴りかかった。
拳は互いに互いの頬に直撃し、バランスを崩す。
「バランスを崩したら俺が有利だ!死ね、ハインケル!」
ズドンッと音を立てて飛び出した弾丸はまた斬り落とされた。
「そんなものは聞かないと言っているだろう!」
これまで何発も撃ち込んでいるが流石にこのパターンに慣れただろう。
「手前は死ぬ、造作もなく、出来ていたことが出来ずに死ぬ。」
「意味がわからねえな!」
次の瞬間、全てが俺の思惑通りに動いた。
45口径の弾丸がハインケルの鎖骨を砕いていた。
「ば、ばか…な!?」
ハインケルは倒れた。
弾丸喰らって倒れない奴なんていない。
「俺は…確かに、弾を…斬ったんだ。」
「斬れてないから当たったんだ。常識考えろよ。」
足元には確かに斬り落とした弾丸が転がっている。
そらそうだ、弾丸は確実に斬り落とされていたからな。
斬れていないんじゃない、斬り忘れていたんだ。
「目に見えないところからの狙撃…など。」
「お前の目の前で放った弾丸がお前を貫いたんだよ。」
普通ならこんなことをオートマチック拳銃でする奴なんていない。
俺は第1射の弾丸にすぐさま放った第2射の弾丸を隠したんだ。
死角に入り込んだ第2射は放った俺だけがその存在を認識できる。
ハインケルは気がつかないうちに連射された第2射で死にかかっているんだ。
「俺は、国のために…戦って来た…これまで、皇帝のために、ハンブラビ帝国の盾になってきた…なのに、なんで、…俺の忠義は、なんだったんだ。」
「手前には忠義なんてないんだよ。俺と一緒だ、忠義のない殺し合いは悲劇しか生まないんだよ。自分のことくらい把握しろよ馬鹿が。」
「俺は、帝国の為に、帝国の為に戦ってきたんだ!」
「死に様まで下品だな。救いようのない馬糞野郎だ。」
「黙れ!俺は帝国の…」
「帝国帝国、命命。お前やかましいんだよ、死ねよ。」
ズドンッ
俺は俺以上に口が悪い奴が嫌いだ。
死ねよ。




