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太陽神と太陽神

前回のあらすじ


太陽神は黄泉に作った国を作ったが、巨大な龍に襲われてしまう。そこに弟、スサノオが現れ退治してくれた。龍からでた剣を預かり祭壇に保管した。太陽神は気づいていないが、祭壇に置いていた鏡が剣に反応して薄く光っていた。

おかしい。


何故こんな状態になってしまったのか。


ワタシは、不死になった人々と魔物達の血みどろの戦いで山が消し飛び、あちこちに巨大な穴が空いてボロボロになった大地を呆然と眺め考えていた。


母上は、人々を守るために不死の力を与え、魔物を減らすためにさらなる力を与えた。しかし、不死の力によって魂達は現実世界に転生する事ができなくなり、黄泉(よみ)は魂の牢獄となってしまった。


チートスキルという力、あれは人々が使うには強力すぎる。母上が魔物と呼ぶ動物達と人々が戦うたびに、山や川が消え、いくつもの街が吹き飛んだ。もはやこの世界を天国と呼ぶ者はいない。ワタシが母上に現状を伝えて止めるしか無いだろう。


ワタシは祭壇で鏡を手に取り、母上の神託を受けようとした、その時だった。


≪キ……き……聞こえます……か……?≫


「え!?」


ワタシは驚いた。


鏡に映ったワタシの顔が話しかけて来たのだ。


「鏡のワタシが喋った!?」

≪ワ……ワタシは、現実世界のアナタです……。うん、やっと波長が合いました。そこにある剣がアンテナの役割をしている様ですね≫


ワタシの後ろに置いてあった剣、天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)を見ると、弱く輝いて鏡と共鳴していた。


「現実世界のワタシ?そういえば弟がそんな事を言っていた様な」

≪そう、アナタは母上が黄泉に呼び寄せたワタシの魂の欠片、ワタシは現実世界に居ます。父上に頼まれて黄泉の様子を知りたいの、教えてくれないかしら?≫


ワタシは魂の欠片……、そうか、ずっと感じていた違和感はこれだんだ。


「分かりました。今、黄泉は…………」


ワタシは、現実世界のワタシに、これまでの事を全て話した。


≪そう、大変な事になっているのね、亡者の魂がいつまで経っても現実世界に帰って来ないからおかしいと思ったわ。何とかしたいけど、そちらの世界に神を通さない結界が張られていて、ワタシも父上も手が出せないの。母上に取り入って結界を越えた弟も、母上に呪縛(チート)を受けて神気を封印され操られているからあてにならないわ≫


母上が与えていた不死の力は操るための呪縛!?ワタシはまだ力を与えられていないから大丈夫だけど、母上はいったい何を考えているの?


「こんな酷い事、母上に話してやめさせます!」


ワタシは悲しくなり涙がでてきた。


≪待って、力の弱いアナタでは危険だわ。きっとアナタも呪縛されて終わってしまう。ひとまず亡者の魂が黄泉に行くのを止めるから、2人でゆっくり機会をうかがいましょう≫


「うっ、ぐすっ……」


ワタシは余りの事に泣き崩れた。現実世界のワタシはワタシなのに心も強いのね。


ワタシは、現実世界のワタシに支えられながら何千年も黄泉を見続けた。


「黄泉も限界が違い様です。大地に亀裂が入って、いつ世界が崩壊するか分からないわ」


≪そう、用意している計画では間に合わないわね。やっぱり諦めて、黄泉を崩壊させてアナタだけを助けましょう≫

「待って!それだけは嫌なの!こんな世界でもワタシの世界なの、ワタシが死んでしまっても良いから、もう一つの計画を実行しましょう!」


ワタシは、死を覚悟して母上の分身の居る洞窟、黄泉比良坂(ヨモツヒラサカ)に向かった。


「分身とはいえ、母上を倒すのは気がすすまないのじゃがなあ」


洞窟の中を弟と歩いて行く。


計画には弟、スサノオが必要だったので、邪神退治と嘘を言って連れて来たのだ。


「キサマッ!どの面を下げて来た!?妾の可愛い動物達を数えきれないほどに殺しおって!息子と言えども許せん!その首をここに置いて行け!」


洞窟最下層にたどり着くと、凄い剣幕で母上の分身がでてきた。


「ふんっ、あんな魔物を可愛がるとは趣味が悪いのじゃ!分身とはいえ母上の敵!成敗致(せいばいいた)す!」


弟はワタシが返した天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)で分身を切り裂いた。


「「フフフッ」」

「ぐはぁ!?」


弟の後ろに倒したハズの分身が2人も現れて弟を神気で貫いた。


「あまい、あまい!妾は数え切れぬ動物達を復活させるために無限とも言える数に分身を増やしているのだ!1人倒した所で、髪の毛一本切った程度しか感じないわ!」


「なんと!!さすが母上の分身なのじゃ、ここはひとまず撤退なのじゃ!姉上逃げますぞ!……姉上?何を!?」


ワタシは分身が居るより洞窟の奥深くに落ちている、薄く光っている勾玉(まがたま)を拾い上げ弟に投げた。


この勾玉は、父上が黄泉に来た時に落とした神器、これで鏡、剣、勾玉と三種の神器が揃った。これを弟に渡せば世界の崩壊まで時間を稼げる!


「それは夫の!?まさかそれを狙って、こしゃくな!!」


ズギュルルルゥ!!


分身が神気を放ち、ワタシを貫いた。ワタシはあえてガードしないでそれを受けた。


ワタシの魂にヒビが入り砕け散ろうとする。ワタシは自分の崩れゆく魂を手に持った鏡に写し、弟に投げた。


「姉上!!……これは!?」


弟は三種の神器を受け取り、その瞬間、鏡に込めたワタシの魂が弟を取り巻く呪縛に小さな(くさび)を打った。


ワシは何て事を……、そうか、そうであったか……姉上分かりましたぞ!この弟に任されよ!


「邪神め、よくも姉上を!今は撤退するが、(かたき)はいつか討たせてもらう!」


弟はワザとらしく叫ぶと三種の神器を抱えて逃げていった。


そして弟は、ワタシの意識を引き継ぎ、洞窟すぐ近くに【初めての村】を作り、世界が崩壊しない様にバランスを調整しながら、現実世界で転生を繰り返していた弟橘比売命(オトタチバナヒメ)日本武尊(ヤマトタケル)を父上が黄泉に転生させてくる日を待った。

鏡には太陽神の魂が宿っているのですね。何がしんみりしちゃいました。


次回は、ついに世界崩壊後の世界です。

お楽しみに٩꒰๑❛▿❛ ॢ̩꒱

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