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第24話 恐るべし!阿修羅田仏陀16歳、登場!!

試合開始のゴングが鳴り響く直前、茶助は場内の電光掲示板に表示されたオッズを確認した。


「どれどれ……!?」


そこには冷酷なまでの数字が並んでいた。

筋肉ゴリラマン:1.3倍

茶助&レン:10.0倍


「なっ……! なめやがって、あんな岩みたいな筋肉野郎が1.3倍で、こっちは10倍かよ!」


「そりゃそうだろ! 常識的に考えて俺たちが勝つ確率なんてゼロ%だ!」


絶望的なオッズにレンが頭を抱えて叫ぶ中、茶助の目はギラギラと怪しく光っていた。


「ひゃ、10倍……!! ってことはだ、もしここで奇跡的に勝ったら、俺たちの取り分の山分けも一気に跳ね上がるってことじゃねえか……!」


「お前、頭の中が金すぎんだよ! 相手の巨漢が殺る気満々でこっち睨んでるぞ!」


ゴリラのような巨漢ファイターが、バキバキと指を鳴らしながらゆっくりと歩み寄ってくる。圧倒的な殺気に、レンは腰を抜かしそうになっていた。


「くそっ、まともにやり合ったら一瞬でスクラップだ……! なんとか一撃、不意打ちを入れてやる……!」


茶助は咄嗟にワゴンから掴み取った『強力な高圧洗浄ノズル』のトリガーに手をかけた。


「よし、あの足元めがけて超高圧の水流をぶっ放して、バランスを崩して転ばせてやれ!」


茶助が叫んだ。


狙いを定め、渾身の力を込めてスイッチを入れる茶助。


だが、あいにく素人の悲しさか、手元が激しくぶれた。


「って、うわっ、重っ……! レンっ、暴れんなよ!!!!」


「おい茶助、どこ狙ってんだ!?」


ビュッ!! と轟音を立てて噴き出した極太の水流は、なんと足元ではなく、突進してきたゴリラマンの下腹部の急所を直撃した。


「ぐ、ぐぅぁああっ……!!?」


世界中のあらゆる生物の男が等しく絶望する悶絶ポイントに、工業用高圧水流がモロにヒットした。


身長2メートルの巨漢ファイターは、白目を剥いてその場にストンと膝をつき、そのままピクリとも動かなくなった。一撃KO。


シーン……と静まり返る地下闘技場。

数秒の静寂の後、どよめきと大歓声が爆発した。


「な、なんだ今の技はぁーーっ!? 卑怯、だが鮮烈――っ!! 勝者、特別ルーキーコンビ――っ!!」


レフェリーの絶叫とともに、茶助とレンの奇跡的な(そして極めて泥臭い)勝利が宣告された。


「……え?」

「……勝った……のか?」


高圧洗浄ノズルを持ったままポカンと突っ立つ茶助とレン。


しかし、その観客席の一角で、この一戦の「10倍」という大穴を誰よりも冷静に見据え、そして的中させた男がいた。


その名は――

阿修羅田仏陀(あしらだ ぶっだ)、16歳。


彼は曇りのない澄んだ瞳でスマホの画面を見つめ、静かに呟いていた。


「ふむ……あの金髪の少年の邪念に満ちた欲望の波動と、水流の予期せぬ軌道計算。必然の勝利でしたね」


なんと仏陀は、この無謀な試合に自らの全財産である1000万円を丸ごと賭けていたのだ。


オッズ10倍。仏陀の手元に戻ってきた払戻金は、なんと1億円。


茶助とレンは思わぬ勝利に酔いしれている。


「ひゃっほーーう!! 茶助!これで俺の借金もチャラだぁぁ――っ!!」

「オレたちへの掛け金の10%だから取り分が気になるな」


ここでアナウンスが入る


「なお今回の試合に的中者が1名おられます。1000万賭けておられましたので1億円の払い戻しなります。勝利チームには全体の掛け金の10%のインセンティブ1000万円が支払われます」


高額の払い戻しにホール内がざわつく。


「誰だよ!俺たちに1000万も賭けたやつは!!」


叫ぶ茶助の横に珍念がやってきた。


「的中させたのはお前たちより1つ年下の16歳だぜ!しかもこの無欲山・本山の門徒で将来の幹部候補さ。お前たちに紹介してやる!」


珍念が茶助とレンを仏陀のところへ連れて行く。


そこには小柄で細身の一見ごくごく普通の高校生が、席に座って静かに「じゃがりこ」を食べていた。


仏陀は両手を合わせて合掌し、静かに一礼した。

「茶助とレン勝利おめでとう。僕は阿修羅田仏陀16歳。よろしくね。」

「お、おう。。。」


あまりの仏陀の普通ぽさに茶助とレンは言葉を失う。


「とんでもないオッさんギャンブラー想像してたけど、お前が1億円?!お前のおかげでオレたち1000万のバックだよ。ありがとな!」


茶助が興奮気味で仏陀に手を伸ばして、握手を求めたが、仏陀はこれを遮って言った。


「あ、ちょっと待ってね。今からすることがあるんだよ」


大金が手に入り狂喜乱舞する茶助とレンを横目に、仏陀は微塵も欲に目が眩むことなく、手元のスマホを神妙な手つきで操作した。


――ピコーン。


『ご寄付ありがとうございました。ユニセフより』


仏陀は、元本の1000万円だけを手元に残し、利益である9000万円の全額を、その場で即座にユニセフへと寄付してしまったのである!


「お金とは、天下の回りもの。欲望の泥沼から生み出された濁った金こそ、清らかな使途へ還すべきです」


「お前、な、何してんだよ!!」


レンが叫ぶ。


清らかな微笑みを浮かべる仏陀16歳と、1000万円ものバックマネーに興奮する茶助達の絶叫が、地下闘技場に虚しく響き渡るのだった――。

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