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第21話 茶助!渋谷区南青山・本山に入門する!

JR渋谷駅から国道沿いに外苑方向に向かい、青山学院大学を過ぎたところあたりに、ひときわ目を引くガラス張りの大きな黒いビルがある。


MUSHINJI BUILDING


1階部分には、テラスのあるカフェがあり、スーツ姿の男性がパソコンで何か作業をしながら仕事をしていたり、大学生と思しき女性2人が名物のモンブランを食べながら談笑している。


そこにやたら辺りをキョロキョロしながら歩いている金色の袈裟、サングラス姿の男子2人。


通りすぎる人々が思わず振り返る。

あるいは目を逸らして足早に通りすぎる。


その男子2人は勿論、茶助とレンである。


「おい、レン。このビルだと思うけど英語何て書いてあるんだ?!」


「MU…JI、これは無印良品のビルじゃないのか?」


ちなみに2人はロイヤル・プレミアム学園の285位、286位コンビ。


茶助はサングラスをズリ下げながら、ビルのエントランスを見上げた。


「無印良品って、こんなにカッコいいガラス張りだっけ……ていうか、ここ、『ムシンジビル』ってカタカナも書いてあるぞ!」


2人はようやくここが無欲山無心寺本山であることに気づきビルの中に入る。


「それより茶助、本当にここなのか? 入門って書いてあったけど、お寺っていうより、なんか最先端のIT企業かアパレルの本社っぽくないか?」


レンが不安そうにテラス席のカフェを横目で見やる。


カフェのテラスからは、微かに甘いコーヒーの香りと、優雅なジャズが流れていた。


場違いなサングラスの二人がおそるおそる自動ドアをくぐると、そこにはお香の匂いと、ピカピカに磨き上げられた大理石のエントランスが広がっていた。


受付の女性が、笑顔で声をかけてくる。

「いらっしゃいませ。南青山・本山へようこそ。ご予約のお名前をどうぞ」


「あ、ええと、お寺……じゃなくて、入門しにきた、茶助とレンです!」


受付の女性は少しも動じず、流れるような手際でタブレットをタップした。


「茶助様とレン様ですね。お待ちしておりました。最上階の『無心ホール』へどうぞ。エレベーターでお上がりください」


「す、すげえ……。お寺の受付なのに、なんか受付のお姉さんがめっちゃワンランク上のキャリアウーマンっぽいぞ……!」


茶助はごくりと喉を鳴らし、レンと共にエレベーターへと乗り込んだ。


無心ホールはビルの26階にあり、ガラス張りのエレベーターがビルを上がっていく。


茶助はガラスにへばり付いて外を見ている。


「すげーぞ、レン。街がキラキラ光ってる!」


レンも最初はクールを装っていたが少し興奮気味である。


「茶助落ち着け、田舎者丸出しだ……おっ!スカイツリー見えてるじゃん!!!」


チン、と上品な音がして扉が開くと、そこは薄暗い大きなホールで360度、東京が見渡せるスペースだった。


至るところにヨガマットやソファー、畳敷きの坐禅スペースがあり、多くの男女が瞑想に耽ったり、思い思いの時間を過ごしていた。


ある者はVRのゴーグルをつけて、坐禅をしていた。


「なんだあれ?ゲームか?オレやってみたい。」


茶助がそう呟いたとき、1人の男性が2人のところに近づいてきた。


年齢は60代後半位、あごひげ、オールバックに高級なゼニアのスーツを決め込んでいる。


「お前たちか、あの残念な無念の弟子というのは。あいつは一応兄弟子だが、オレはあいつを兄弟子だとは認めていない。」


「お前誰だ!無念和尚の悪口を言うのは!」


茶助は男の前まで詰め寄り、顔を近づけて睨みつけた。


「茶助!待て!また殴るな!」


慌ててレンが間に割って入る。


「これだから困るんだ。田舎者のガキは。オレはここの住職、道楽院珍念だ!」


「お前がここの和尚か!無念和尚から紹介状を預かっている!」


珍念は茶助とレンをじっと見つめると、二人が持っていた紹介状を取り上げた。


そして――


ビリッ。


目の前で、無造作に破り捨てた。


「な、何すんだよ!」


茶助が声を荒らげる。


珍念は破り捨てた紹介状の切れ端を床に落とすと、薄く笑った。


「お前たち……無念の弟子が、どこまで耐えられるか試してやる」


「……え?」


レンの顔から笑みが消える。


珍念は二人を交互に見ながら、静かに言った。


「入門は許す」


茶助とレンが顔を見合わせる。


「どういうことだ?!」


珍念は続けた。


「ここ南青山・本山は、お前らが考えているような生やさしいお寺じゃねえ。煩悩を抱えた俗物どもが、己の欲望と徹底的に向き合い、そして――散っていく修羅の庭よ」


珍年が片手をパチンと鳴らすと、背後の360度ガラス張りのホールが一瞬で暗転した。


天井に埋め込まれていた無数のLEDパネルが起動し、東京の夜景とデジタルアートが融合したサイバー空間が足元に広がる。


「さあ、第一回戦だ。お前たちが抱えるそのどうしようもねえ煩悩、この道楽院珍念が丸裸にしてやろうじゃねえか!」


スタイリッシュかつ最高に胡散臭い南青山・本山の住職・珍念の登場により、茶助とレンの破天荒な修行は、いよいよ本番へと突入していく――!


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