第五十話 丸の内警察署『小木曽勇作警視正』
丸の内警察署(取調室)。
ドアーの横に警察官とMPが一人ずつ立つ。
中央の机には取り調べ官『小木曽勇作警視正』が座って居る。
七人は壁の前に直立不動で整列する。
並んだ七人の両脇には警官とMPが立つ。
小木曽警視正は椅子を立ち周明の側に来て、キツく睨む。
そして厳しい口調で、
「バカ者ッ! ・・・そこに座れ」
周明を取り調べ机の椅子に座らせる。
小木曽警視正も席に着き、周明と対座する。
「・・・マッカーサーに会いに行った目的はッ!」
周明は堂々と胸を張り、
「ないッ!」
「ない?・・・」
小木曽警視正はジッと周明を睨む。
そして小木曽警視正は調書に走り書きをする。
小木曽の書いた文字がアップされる。
*『ヨク ヤッタ』
周明はその走り書きを一瞥し、小木曽警視正を見る。
小木曽警視正は厳しい口調で、
「・・・貴様等は『蟻』か?」
黙って小木曽警視正を見詰める周明。
小木曽警視正が、
「・・・何処へ行きたいッ!」
覚悟を決めている周明は小木曽警視正をジッと見詰めて。
「何処へでも」
小木曽警視正は暫く考える「ふり」をして、
「・・・よしッ! これ以上聞く事はない。貴様等七人は脳病院からの脱走患者だ。呆れてモノが言えないぞ。また、松澤病院に戻れッ!」
周明は痩せた身体で椅子を立ち、小木曽警視正を見る。
小木曽警視正も起立し、周明を見詰める。
小木曽警視正の顔が、誇らしげな笑顔に変わる。
「・・・行け。・・・待合室で医者と看護婦が待ってる」
ドアーを開ける警察官。
七人は踵を返し、列を崩さず取調室を出て行く。
七人の前後に警察官とMPが付いて行く。
丸の内警察署内の待合室のドアーを、警察官がノックする。
西丸医師と畑 婦長が緊張した表情で、長椅子に座ってドアーを見詰めている。
警察官が待合室のドアーを開ける。
周明以下、六人が待合室に入って来る。
最後に警察官とMPが待合室に入る。
二人は全員を確認して待合室を出て行く。
静かにドアーが閉まる。
変装した周明、肥田、堀田、首藤、岡田、杉原、山田の七人は正面を向いて西丸医師と畑 婦長を見る。
西丸医師と畑 婦長は七人を眼で一周する。
暫くの沈黙が部屋を包む。
突然、西丸医師が衣服の変わった七人の姿を見て笑い始める。
畑 婦長も笑い出す。
西丸医師と畑 婦長の笑い声が徐々に大きくなる。
通路を歩いて来る小木曽警視正・・・。
待合室から起こる大きな『笑い声』に、一瞬立ち止まる。
暫く笑い声が通路に響く。
小木曽警視正が突然、高らかに笑い出す。
「ハハハハ、ハハハ」
続く




