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外典・マガツヒ教創世記 ~働きたくないので弱小女神で宗教を始めたら、街を乗っ取る最悪カルトになっていた~  作者: 溝上 良
第2章 

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第42話 気合の入れ方おかしくない?











 目を焼かんばかりの大量の光が、爆発的に広がった。


「ぐっ……!? なんだ、攻撃か!?」

「ぐおおおおおおおおおお!? 目がっ、目がああああああああああああっ!?」


 最初はマガツヒ教側の攻撃だと思ったアリドーラだったが、最も守られるべき教祖が、目を覆って地面をのたうち回っていたので、そうじゃないことが分かった。

 そもそも、自分たちにダメージが一切入っていない。

 すなわち、攻撃ではなく、単なる事象に過ぎないということ。

 しかし、これほどまでの光が何もないところが発生する事象なんて聞いたことがないし、何らかの原因はあってしかるべきだ。


「なん、だと……?」


 そこで光の発生源を見ると、それは聖女ユーリエだった。

 真っ白な長い髪をたなびかせた彼女は、文字通り宙に浮いていた。

 飛んでいるのではなく、浮かんでいるというのが正しい表現だろう。

 だが、翼のない人間が空を飛ぶことなんて、本来不可能だ。

 魔法を行使すれば可能かもしれないが、その魔法はかなり高度なもので、世界でも使うことができるのは限られている。

 ならば、ユーリエはその限られた人間なのか?

 いや、違う。彼女にそんな魔法を使う力はない。

 彼女は……。


「ば、バカな……」


 呆然と立ち尽くすアリドーラ。

 見れば、シーサイスとアバドンは涙を流し、跪いている。

 マガツヒ教信徒でもなければ天使教信徒でもないアリドーラには理解しがたい光景のはずだが、今のユーリエを見ていると、自然とそうなってしまう気持ちも理解できてしまった。


「白い……翼……」


 宙に浮いているユーリエ。

 その背中から、巨大で真っ白な翼が一対、大きく広げられていたのであった。











 マガツヒ様の力を、俺とユーリエは借りることができる。

 別にいらないけど。

 まあ、マガツヒ様が本来振るえる力を使うことができる、というものではないらしい。

 俺たちの潜在的な力? とかなんだとかを、マガツヒ様の力で本来なら出せないレベルまで無理やり引き出す? とかなんとか。

 バカ女神が一生懸命嬉しそうに説明していたが、正直右から左でほとんど聞き流していたので分からない。

 ともかく、マガツヒ様の力を使って、通常よりも強大な力を振るうことができるようになるというのが、今ユーリエが使っている力だ。

 ここまで聞くと、じゃあなぜそれを頻繁に使わないのかと思うだろう。俺は思う。

 力は強ければ強いほどいい。

 降りかかる火の粉は払えるし、金や名声も寄ってくる。

 まあ、ぶっちゃけ名声なんてものはいらないけど、金は好き。ほしい。

 だから、普通なら俺もガンガン力を使うだろうが……そうしていないということは、当然デメリットがある。


『なんで? 僕に遠慮しているの? 全然気にしなくていいのに……』

「そんなわけないでしょ」


 妄言をぶちまけるマガツヒ様を鼻で笑う。

 遠慮なんてするわけないだろ。俺が一番大事なのに。

 そんなことで力を使わないよう自重するはずもない。

 では、なぜ俺とユーリエはかたくなに力を使おうとしないのか。

 その理由は、今のユーリエを見ればよく分かる。


「ほんぎゃあああああああああああ!? いだあああああああああああああああい!!」

『僕、毎回思うんだけど、小声で絶叫するってどうしているの? 君とユーリエは当たり前のようにできているけど、どうやっているのか全然分からないんだけど。神の頭脳を持ってしても』

「見栄とプライドと虚勢です」

『えぇ……』


 大絶叫しているユーリエ。

 それは、苦痛に彩られている。

 神々しい姿に他の奴らは目を奪われているが、俺はそこ以外に目がいってしまう。

 真っ白で美しい巨大な翼。

 神聖さを知らしめるような翼で、とてもきれいだと思う。

 俺ですらそう思う。

 だけどなあ……。


「あれ、背中から出てくるときに皮膚引き裂いているから、血が噴き出しているんだよなあ……」

「ああああああああああああっ!! マジで痛い! ほんっとうに痛い! なんなのこれ! この欠陥能力マジでいらないわ! 死ね!!」

「聞こえるぞ、それ」


 パタパタと落ちてくるユーリエの血液。汚い。

 ……いや? 聖女の生き血と喧伝したら、高値で売れるか……?

 うちの宗教、狂信者ばっかだし。

 ハメルみたいな聖女大好き連中なら、言い値で買いそう。

 …………。


「ユーリエ。もっと翼出せないか? あと5対くらい」

「出せるか! 出せたとしても出さないわよ! てか、出したくないのに出てくるのやめてくださいよバカ女神様!!」

『バカって言われた……』


 バカはバカでしょ、あんた。


「でも、本当にあんな感じで苦痛が発生するの何とかしてくれません? これがあるから、俺もユーリエも安易に力を使えないんですけど」

『いや、だから本来そんなデメリットないはずなんだよ、僕の力を使うことに。今まで何人かお気に入りの子に同じようにしていたけど、苦痛を味わっているのって君たち二人だけなんだよ。逆にこっちがなんでって聞きたいくらいだよ』

「「…………」」


 信仰心を持っていないとか、そういうこと?

 それが原因?

 ……じゃあ、何も言い返せないじゃん。


「よし。まあなんでもいいけど、せっかく力を使ったんだ。さっさとこの状況をどうにかしろや」

「くっ、むかつくわね……! どっちにしろ、あなたも力を使わないといけない状況になるのに……!」

「え? なにそれ?」


 ぎろりとこちらをにらんでくるユーリエ。

 それより、今とんでもないこと言っていなかった?

 俺も力を使わないといけないの? なんで?

 お前が半泣きになっている苦痛を味わいたくないんだけど?


「死ねぇ、ライアー!!」

「気合の入れ方おかしくない?」


 そんな状況で、ユーリエは力を使った。



過去作のコミカライズ最新話が公開されました。

期間限定公開となります。

下記のURLから飛べるので、ぜひご覧ください。


『人類裏切ったら幼なじみの勇者にぶっ殺された』第10話

https://manga.nicovideo.jp/watch/mg1119120

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