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外典・マガツヒ教創世記 ~働きたくないので弱小女神で宗教を始めたら、街を乗っ取る最悪カルトになっていた~  作者: 溝上 良
第2章 

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第41話 うっひょおおおおおおおおおお!











「はぁぁぁぁ……」


 俺は大きなため息をつく。

 本当、バカを相手にするのは疲れるわ。

 こんなこともいちいち言わないと分からないのかよ。きっついなあ……。

 俺の視線の先には、断固拒否の姿勢を見せるユーリエ。


「あのさあ、この状況見てくれる? お前がマガツヒ様の力を使わないと、もう詰みなんだよ。お前が嫌とか言える立場じゃないの。分かる?」


 不死の軍団。

 そんなものが存在するとは思っていなかったが、実際目の前で起きていれば受け入れざるを得ない。

 そして、相手が死ぬことがなければ、こちらは勝つことはできない。

 シーサイスの毒も相手が死ななければ意味がないし、アバドンは……知らね。

 まあ、こんな状況になるまで何もしていないということは、不死性をどうにかすることはできないのだろう。

 とすると、ユーリエに頑張ってもらうほかない。

 聖女として、マガツヒ様の力を使うことができるのだから。

 おら、さっさとやれや。


「ふざけないでよ……! あなたもマガツヒ様から力を借りることができるでしょ! あなたがやりなさい!」


 確かに、ユーリエの言うことも一理あるが、マガツヒ様の力は俺の場合ちょっと今回の事案には当てはまらないような気もするし……。


「いや、不死って呪いみたいなもんじゃん。絶対にお前の力で何とかできるし。俺の力よりお前の方が適正だわ。おら、さっさとやるんだよ」

「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎっ!!」

『僕の聖女が、とんでもない顔している……』


 頭の血管が切れてしまうほど力んで顔を真っ赤にしているユーリエ。

 しかし、俺が言っていることも間違いではないので、強く否定することはできない。

 ユーリエは頑張らなければいけないのだ。

 ……ぶふっ。がんばえー。











「面倒臭いナ」


 にじり寄ってくる不死の軍団に対し、アバドンは吐き捨てた。

 彼らは死なないからこそ、死の恐怖がない。

 実力ではアバドンとシーサイスよりはるかに劣っているが、死なないことを前提にごり押しすることができた。

 火力の大きな技でも持っていたら話は別だったが、アバドンもシーサイスも、どちらかというと一対一の戦いを得意とする。

 広範囲、大多数の相手を一気に吹き飛ばすことができる力を持っていないのが現状だった。

 となると、今の状況はひたすらにまずかった。


「痛みは感じているはずなんだけど……。少ししかひるまないわね。どれほど訓練を受けているのかしら」


 シーサイスは苦々しく呟いた。

 にじり寄ってくる不死の軍団は、当然二人の激しい抵抗にあって、身体は傷だらけだ。

 少しずつ回復していっているが、それよりも先にダメージを負うため、大怪我を負っている状態である。

 瀕死の人間が死も恐れずににじり寄ってくる様は、なかなかに迫力があるものだった。

 まあ、この二人には通用しないが。

 ちなみに、また別の二人である教祖と聖女は、半泣きである。


「これなら、他の十天鬼衆を連れてきた方がよかったわね。無駄に火力があるバカもいるし」


 高笑いしているバカを思い出す二人。

 気に食わない女だが、破壊力抜群の力を持っていた。

 抜群すぎて、周りにも甚大な被害を与えるが。

 だからこそ、今回の護衛には選ばれていなかったが、アリドーラにこんな力があると知っていたら、間違いなく彼女を連れてくるべきだった。

 嫌いだから絶対に一緒に行きたくないが。


「交渉の場でおとなしくすることなんてできないかラ、結局無理だっただロ。それよりモ、この状況をどう切り抜けるかダ」

「どっちかがしんがりを務めて、もう一人がその間に二人を連れて逃げるしかないでしょう」


 自分も浅くない傷を負っているにもかかわらず、顔色を変えずにため息をつくシーサイス。

 それを聞いて同じく顔色を変えていないアバドンは、コクリと頷いた。


「ヨシ。なラ、お前が囮ダ。私が二人を無事に避難させル」

「はあ? 薄汚い種族であるアバドンが適正でしょう。あなたがやりなさい」

「種族差別とカ、お前の種族らしいナ。嫌われてそウ」

「「…………」」

「(何やってんだこいつら。今そんなことしている場合じゃないよね? バカなの?)」


 にらみ合うシーサイスとアバドン。

 そして、守られているくせに主張だけは一丁前なライアー。

 その間も、にじり寄ってくる不死の軍団を時折攻撃して近づけないようにしていたが。


「この状況で隙だらけのことを、と言いたいところだが、どうにもこの二人は強すぎるな。いつまで経ってもじり貧だ。となると……」


 アリドーラがジロリと見る先には、ライアーとユーリエがいた。


「お前ら、先にあっちを狙え」

「くっ……!?」


 二人に迫る不死の軍団。

 ここに至り、初めてシーサイスとアバドンが焦りの表情を浮かべる。

 絶対に守らないといけない存在。自分たちの命よりも優先させるべき存在。

 それに危害が及びそうになるのを、余裕を持って対応できるはずもなかった。

 最悪の場合、自分たち二人が囮になってでも、ライアーとユーリエは逃がしてみせる。

 そんな悲壮な覚悟が決まりかけたときだった。

 光があふれた。


『うっひょおおおおおおおおおお! 僕の力を聖女が使ってるううううう! 最高だああああああ!』



過去作のコミカライズ最新話が公開されました。

期間限定公開となります。

下記のURLから飛べるので、ぜひご覧ください。


『人類裏切ったら幼なじみの勇者にぶっ殺された』第9話

https://manga.nicovideo.jp/watch/mg1046954

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